日本企業
 ボトムアップ力の強さで、
 復活できるか!
 
   
 研究会の加藤文男会員から、「目標管理と6シグマの比較」についての興味深いレポートを戴きました。

  「目標管理」は、マズローの欲求五段階説を背景に、「現代の経営」の著者ドラッカーが人間性重視の経営手法として提唱した。
  「目標管理」は、部下の自主性を尊重し、目標は部下が自分で決定することが基本である。目標をどう達成するかは、致命的な問題がない限り、自分で考え自分で行動することが要求される。成果も自分で評価する。

 「6シグマ」は、1980年代に世界市場を席巻した日本製品の高信頼性を超えることを目標とし、百万回に3.4回程度のエラーしか発生しない全社的なシビアなビジネスシステムの構築を前提としている。
 市場や顧客の重視の視点で、改革的なテーマが選択され、目標の高さも、実現のためのキャスト体制も、成果に対する報償方式も、目標管理とは比較できないほどシビアである。
 がんじがらめに縛ったり、縛られたりすることを嫌う日本企業社会で、このような「6シグマシステム」を定着させることができるだろうか


「6シグマ」はトップダウン型

 人間性尊重として本人の自主性に任された部分の多い(自由裁量の範囲の多い)目標管理と異なり、「6シグマ」では、経営として、システムをしっかりと構築し、従業員への教育訓練に充分なコストと時間をかけ、人間的な弱点で本来の目的を達成できなくなることを予め予防しようとしています。 

 かつて、日本製品の競争力を支えた製造現場の「小集団QC活動」は、社員の自主的なやる気を重視した「ボトムアップ型」でした。ここにこそ、モノづくりの面での、世界に例を見ない日本企業の優秀さがあるとされてきました。
 
 これに対して、アメリカの「6シグマ」は、トップダウンで進められています。ただ、トップの意志を十分に理解させ、共有化させた上で、社員のナレジややる気を信頼し、まかせきる(エンパワーメント)ことで、高い実績を達成できる完成度の高い「経営システムづくり」をめざしています。


ボトムアップ型
日本版6シグマを!

 この度、大企業のビッグな工場の二人の管理スタッフにあい、モノづくりの面での品質向上やコストダウンに向けて、これまでのやり方にとらわれない、改善ではない、改革的な取組をしようとしている現場を見学する機会がありました。

 これまで、現状維持路線からの脱出を嫌い、長い間保守的で伝統的なルールの中で運営されて続けてきた工場が、さすがに、「今まさに自己革新を果たそうとしている」という気運を感じ取ることができました。
 
 しかし、経営トップ層の直接的なパワーで牽引しようとするアメリカの6シグマ的な取組ではなく、それは、現場の自主的なやる気を前提にした「ボトムアップ型活動」が前提になっていると思われました。
 
 現在の世界的なレベルでの競争環境の中、特に再びアメリカ企業との競争が前提です。日本企業のモノづくりの強さは、果たして、これまでの社員の「勤勉さ、和と協調の精神」といった日本人の優秀さをベースにした「ボトムアップ力」の強さで、本当に復活を果たすことができるであろうか。

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