日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

仕事の権限は
ヤル気を起こさせ、任せるもの!

  会社の中で、特に中小企業の会社では、上司はたくさん仕事を抱えているのが普通です。しかし、仕事は上司より与えられるものだと思って仕事をするのと、自分から進んで上司の仕事をするのとでは、個人にとっても会社にとっても、1年間で身につく力には大変な違いが生じます。仕事の権限はヤル気で上司から獲得するものです。仕事が上からどんどん下にまかされるようになっていなければ伸びている会社だとは言えません。


工場長の仕事を
楽にすることから始めよう!
 
  御社でも経歴の長い工場長に仕事が集中しているようです。何でもかんでも工場長まかせでは、現場は楽ですが、工場長はたまったものではありません。工場長にも同じ24時間しかありません。今の様子では、体調を崩してしまう心配もあります。工場長の仕事を現場に少しでもまかせるようにして、負担を軽くしてあげたいものです。
 工場の問題、課題は、できるだけ現場が自主的に取り組む力をつけさせるのも、社長や工場長の大きな経営課題です。実際は、社員が自分はその立場にないと思って消極的になっているだけではないかと思います。頼りなく思われますが、何かきっかけをつくって、こうした雰囲気を打破したいものです。
 そのためには、社長さんと工場長のリーダーシップで、社員が自由に意見交換ができる場を定例的にセッティングすることが良い方法だと思います。社員の意見を引き出し、聞き入れ、「そうか、いいアイデアだ」と評価し、やる気を持たせ、皆の前で「A君、失敗してもいい、ぜひ君に挑戦してもらいたい」と実際にやってもらうことをはっきり表明する場を持つことです。

  少しくらい間違えても良いのです。工場長からまかされ、責任を持ってどんどん挑戦する。人生にとっても損にはなりません。会社にとって、少しくらいの失敗があっても、結論を早く出すことが大切です。その時は、現場を上げて直ちにバックアップする体制をつくるようにすればいい。その方が結果として効率が良く、社員もいい仕事ができようになります。
  先ずは、工場長の仕事を楽にするという大義名分から始めましょう。それが社員の実力を伸ばすことにつながります。そして、仕事が面白く、楽しくなります。社長さん!工場長が体調を悪くしてからでは遅いです。こんな方法で現場の実力向上を指導して見ませんか。(2007.10.19 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
現代のリーダーに不可欠なのは
チームワークの手腕!

 「日本版6シグマ」にあっては、経営トップのリーダーシップと現場のボトムアップ力が一体となった問題解決力のある組織づくりが一番の目標であり課題である。この点から、「日本版6シグマ」は、創造的な情報処理技術に裏付けされたメソドロジーを武器とした、リーダーと現場が一体となったチームワークづくりの実践を重視している。

 ジャック・ウエルチも「GE版6シグマ」で、「ビジネスリーダーの役割は変わりつつある。リーダーは高い業績水準を達成するだけでなく、それを維持しなければならない。さらに、複雑で、すっきりしない結論の出し難い課題にも取り組まなければならない。リーダーは組織の一人一人の意欲を高め、彼らを育成し、彼らが正当に報われるよう心を砕く。これらすべてがリーダーの役割だ。」としている。そして、「ここで求められるリーダーは、もはや進むべき方向を定め、成否を分ける決定を下し、組織を鼓舞する並はずれた人物ではない。現代のリーダーに不可欠なのは、まさしくチームワークの手腕なのだ」と言っている。
 ジャック・ウエルチは、組織の一人一人が持っている力の全体に積極的に助力を求め、これを組織の力にできる力、即ち、組織のチームワーク力の向上を演出できる力を多彩なリーダーシップ能力と言っているのである。これはまた権限の委譲とリーダーシップは相容れないものではいということを言わんとしているのであろう。
 これらのことは、とりもなおさず、「日本版6シグマ」における創造的な情報処理技術に裏付けされたメソドロジーを武器とした、リーダーと現場が一体となった問題解決の実践につながるということではないだろうか。


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