日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

機械設備の更新問題について!

 社長さん! 結構無理をして実施した一昨年の設備投資の結果は大成功でしたね。この設備投資がいよいよ今年度の売上高と利益の増大に大きく貢献しそうです。設備投資には、大分迷われたようですが、決断して本当に良かったと思います。あの設備投資がなければ急な大口注文にも対応できなかったと思います。

 設備投資は、常に考えておかなければならない重要検討事項です。売り上げの伸びが見込めない状況での投資には消極的になるもので仕方がないことです。しかし、古い設備の更新については、常に計画を持って準備をすることも忘れないようにしましょう。 


工場の能力アップに向けた
設備更新計画の検討を!
 現在故障もなく働いている機械を更新するには勇気がいることは良くわかります。しかし、世の中の機械設備の能力は一段と進歩しています。こうした設備の導入にあたっては、古い設備をすぐに廃棄するのではなく、新旧設備の組み合わせを検討し、レイアウトも変更して無理のない能力アップを工夫する必要があります。

  発注者の立場からすると、工場の能力は機械設備で判断することもあります。確かに機械設備の不十分さを社員の経験と腕でカバーすることもできますが、機械の能力は進歩しており、社員の経験と腕をしのぐ場合も相当出てきています。世の中の機械技術の進歩を良く見ながら、無理のない計画的な設備更新を検討したいものです。

  社長さんは、現在の工場のスペースでは新しい設備の導入は無理ということでしたが、レイアウトを再検討してはいかがでしょうか。工場の中には原料や材料、機械工具で占められたスペースが結構あります。
 原料や材料は、在庫量を減らす努力も必要です。その上で重量に応じて二段や三段の棚を購入し、整理する方法などの工夫もありそうです。

  各機械設備ごとに置かれてある冶工具にも共通に使用できるものがあるはずです。各機械設備の操作に共通して必要な冶工具は一箇所に集めて集中管理するのもひとつの方法です。作業別に必要な冶工具をセットにしてワゴン車に載せて移動させるのも、段取りを考える良い機会になります。冶工具は近くにあれば便利なことは確かですが、考え方を変えれば改善も可能と思われます。

  このようにレイアウトを含めて、あれこれ考えると現在の工場のスペースで空きスペースも出てくるものです。新しい設備導入のスペース問題も解決するかもしれません。ぜひ、現場の社員と一緒に検討してみて下さい。(2007.4.20 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
設備投資問題にいかに社員を巻き込むか!

 中小企業の「日本版6シグマ」にあって、製造設備更新の問題は、会社としての組織的な問題解決力を問われる格好のテーマである。
 社長が将来の顧客からの受注増を見込んで、「製造設備を増強したい」という方針を打ち出したとする。中小企業の場合、一般的に設備投資は社長の決断一つで決まることが多いが、例え、社長の決断が正しかったとしても、投資額に見合った増収・増益が確実に実現できるように、それぞれの職場で、次のような諸問題を十分に検討しておかなければならない。
@顧客からの受注増の見込みはどれくらいか。
 その時の納入価格はどれくらいか。
A既存の設備で
 更新を必要とする設備はどれか。
B導入する新設備の性能は
 どんなレベルのものであるべきか。
C新設備の運転仕様に問題はないか。
D既存の設備と新規に導入する設備の
 全体のレーアートはどうするか。
E新しい生産設備全体における
 効率的な運転体制をどうつくかるか。
F新しい生産設備体制での
 生産高見通し、コスト見通しはどうなるか。
G投資回収計画はどうなるか。

 日本の中小企業にあって、設備投資問題は、これまで経営トップの勘と決断でなされてきた例が多かったのではないだろうか。しかし、上記のような課題について、各部門を巻き込んだ上で、社長がスピーディな意思決定を行う。これが「日本版6シグマ」による組織的な問題解決力をベースにした意志決定である。
 「日本版6シグマ」によって、このような社員全体の参加をベースにした意志決定のプロセスを上手くリードできるならば、設備増強の投資判断をより確かなものにできるだけでなく、社員全体に、自らがつくた新設備体制をはやく軌道に乗せようとする機運の一層の高まりが期待できるはずである。


back