日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

部下のやった仕事を誉めて下さい!

 先日、ある会議の席上、社長さんが「俺ならもっとうまくやれたのに」ということを言っておられるのを聞きました。社長さんが簡単にできるのは当然です。部下が折角、一生懸命やったことを「俺ならもっとうまくやる」ではお話になりません。 


社長さんの「俺が面倒見ている」
はいつまでも通用しない!
 社長さんは、自社について最も精通しておられ、経験も豊富ですし、周辺の状況を読むこともできます。さらに社長さんの持つ情報は、部下よりもずっと多いはずです。人間関係も深く強力でしょう。部下よりも上手くできて当たり前です。「俺ならもっとうまくやれた」という批判では、部下は育ちません。一緒に仕事やる気もなくしてしまいます。
 社長さんは、自分の力で会社を大きくしてきたという自負はおありと思いますが、これからもっと会社を大きくし、大きな仕事をしようと思えば部下の力が必要です。一人でできる仕事には限界があります。だから、部下に権限を委譲して、社長さんは、もっと高度な、社長さんにしかできないことをやっていただきたいものです。
 
 社員に皆さんに話を聞いてみますと、社長さんの社員の扱いには不満が多いようです。景気がよくなれば、他の会社に移ってしまう社員も出てくるかも知れません。我社の社員は大丈夫と反論されそうですが、昔とは社員の考え方も大きく違ってきています。「俺が面倒見ている」というのもどこまで通用するかわかりません。
 先ずは、部下のやった仕事は誉めてあげて下さい。そして、時には、これまでの社長としての社員との接し方を素直に見直してみることにして下さい。(2007.2.25
 中小企業診断士 加藤文男


「日本版6シグマ」からの提案
中小企業の社長は
「6シグマ課題」のアドバイザーたれ!

中小企業が持っている
「小ささ、身軽さ」を競争力に

 「日本版6シグマ」はジャック・ウエルチの「GE版」ともいうべき「6シグマ」の実践体系との出会いが契機になっている。ジャック・ウエルチは、「我社の事業を世界でトップレベルの事業にする」という「No.1、2戦略」のもと、顧客の声「VOC」を重視し、「顧客満足「CS」につながる製品を提供できるようにするために、会社のあらゆる不合理な業務システムを改善し、「COPQ:無駄なコスト、機会損失」を極小にするという「6シグマ」を展開した。
 ジャック・ウエッルチは、「6シグマ」を成功に導く経営の秘密は、全社員が「経営方針、目標」を共有し、業務改善が必要な現実を認識していることだ、そうすれば、懸案事項の解決策ついて、全員大枠で同じような結論に達する、だから「6シグマ」はシンプルで分かり易いやすいのだと言っている。
 ジャック・ウエルチは、また「6シグマ」では中小企業が持っている「小ささ、身軽さ」が競争力になると言っている。社長と現場の一体感、コミュニケーションのよさ、動きの早さ、いずれも会社のエネルギーと集中力を「6シグマ」に向ける上で有効である。

現場に「6シグマ課題」を
設定させる!
 「日本版6シグマ」にあって、社長がやらなければならないことは「6シグマ方針」を打ち出し、各現場に、「自たちは何に、どう取り組むか」を明確にした「6シグマ課題」を設定させることである。
 中小企業の場合、これができるかどうかは、社長自身の本気度如何にかかっている。社長は、納得いかなければ、現場と何度も議論をする。大事なことは、現場への押しつけではなく、現場から提案された「6シグマ課題」であるということである。
 現場の「6シグマ課題」が的を射たものになったら、社長は「その通り、That,s Right. これで行こう」と、現場と握手をして、期待している気持ちを率直に伝えることだ。
 後は、現場の実行あるのみである。社長がやるべきことは、社員の優れたアイデアや工夫は「褒める」ことで、実績を上げさせ、調子づかせることだ。社長は「6シグマ課題」のアドバイザーの役割に徹すればいい。社長自身の知見、経験、人脈が生きることで、「さすが社長」と社員から一段と尊敬される存在になってほしいものである。


back