日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

購買担当者の交渉力はどうですか!

 購買部門に足を運んでくる営業マンは、口八丁、手八丁で折衝が上手いのが当たり前です。従って、購買担当は上手く説得されたり、押し付けられたりしがちです。それでは、営業マンに負けない交渉力をつけるにはどうすれば良いのか。ご参考までに、私になりに経験してきたことをお伝えしたいと思います。


論理的思考の訓練を!
 先ずは、論理的に武装することです。論理的武装とは、異なる立場にある論者の批判に対して防衛力があること、隙がない考え方をいいます。腹芸とか曖昧さの得意な日本人は、論理的思考に弱いと考えられています。営業に負けないためには、論理的思考を訓練して、鍛え上げることが大切です。
 先ずは、売り込んでくる製品の原材料、燃料・エネルギー、人件費、輸送費、技術的見地(改善できないか)、設備、他社価格、他社品質等の情報を収集し、「購入価格の落としどころ」を組み立てることです。
 次は、相手の反論を10〜20個位予測し、どのように対応するか準備しておくことです。相手の反論の中で受け入れられるものもあります。素直に聞く態度が重要です。

営業マンとの交渉力アップを!
 「ああ言えば、こう言う」を準備する。交渉の心構えとして、@あせってはいけない、A感情的になってはいけない、B戦闘的になってはいけない。
 交渉に臨むにあたっては、先ず呼吸をし、気持ちを落ち着けます。交渉では真剣さと誠意が大切です。「仕方がないから交渉する」という態度は、すぐに見破られてしまいます。また、当方が説明した内容が交渉相手に十分理解されたかどうかが問題です。特に、価格折衝では、言い難い面もあるために、説明が曖昧になりがちです。厳しい表現は避け、しかし、内容は正しく伝える工夫が必要です。
 相手が内容を理解したかどうかは、@相手の態度や言葉使い、イントネーション、顔色などで判断する。A表面上の言葉だけでなく、内容を正しく理解する。B言葉の裏にあるものを読む。
 「わかりました」には、当方の意見を取り入れた、反論を諦めたがあります。「協力する、やってみます」にも、相談して返事します、不安があるがとにかくこう返事をしておくか、上司と相談します、多分だめでしょう、何とか上司を説得してみます」等いろいろあります。「検討してみます」には、「お断りします、しばらく時間を下さい」があります。「お役に立てずにごめんなさい」は、表現は柔らかいが完全なお断りです。

 交渉後には、もう一度その雰囲気を思い起こして見て、言葉どおりに受け止めてよいかどうかを考えてみることです。当方が難しいと想定していたことが、簡単に「OK」が出た結論は、疑ってかかるほうが良いようです。相手がどのように出るかを「想定する」「予測する」ことの重要さがここにあります。社長さん! この辺の勘所は、十分ご承知でしょうから、経験談を交えて担当の方にお話してあげてください。(2007.2.18 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
「6シグマ課題」の解決力につながる交渉力!

 「日本版6シグマ」にあって、購買部門は部材や設備などの購入交渉を通して、自社の製品や商品の品質やコスト、納期等の面で、間接的ではあるが、顧客満足「CS」を実現する重大な役割を担っている。
 売り込みをかけてくる営業マンとの交渉は、単に価格交渉に勝つ、負けるで終わるものではない。少なくても購入価格での同意が取引のスタート条件にはなるが、それだけではない。
 長期的な「6シグマ戦略」のもと、自社としてどのような取引関係を望むか、それが可能かどうか、購買部門は営業マンとのやり取りを通して見極めなければならない。それは、特に事業の成否に関わる重大な部材や設備の購買部門としての「6シグマ課題」の設定の問題である。
 
 「日本版6シグマ」にあっては、購買部門は、会社が必要としている原材料や設備について、社内外から情報を集め、さらには営業マンとの丁々発止のやりとりを通して相手の実力と意向を探り、その上で、取引先と一緒に「6シグマ課題」を設定し、共有化できるところまで持っていく交渉力が問われるのである。


back