日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

「ゆで蛙」になる前に、
手を打たなければなりません!

 現在の社会は、安全思考で誰もリスクから遁れようとする傾向があります。経営を預かる経営者の中にも自分の任期の間だけ無難に過ごせばそれで良いという人も多く、厳しい議論を避けている会社もあるようです。このような雰囲気は従業員にすぐに伝わり、全社の士気が落ち、次の社長が決まるまで体力を温存しようとする従業員さえ出てきます。
 私は
戦後の劇的な産業の回復を経験しているので、「まだ何とかなる」と心のどこかで思っていますが、今、何とかなっているのは、多くの新製品をもたらした開発技術とそれを支えた品質管理、生産管理、生産技術など工場における管理技術があるからです。日本の企業には、戦後の劇的な回復の残り火で何とかやっているに過ぎないところが多いのではないか。だから、バブルがはじけてから元気を回復できずに「失われた10年とか20年」になってしまっているのです。 

 右肩上がりの時代では、問題に気づき、5つや10の行き当たりばったりの対策を考えて実行すれば、その中の一つや二つが当たってその場を凌ぐことができました。しかし、もうそんあ時代は終わりました。戦後一生懸命身を粉にして働き、戦後の日本経済に劇的な回復をもたらした戦後の世代(団塊の世代の前の人たち)のほとんどは、現役から去ろうとしています。

「日本製品は、機能がたくさんあるから値段が高いのは当然である」とか、「出来栄えのいい、完成度が高い製品だから値段も高い」と言う考え方は、もう世界各国で通用しなくなっています。これらの考え方は、戦後の残り火的成功の一つに過ぎません。一時、「Made in Japan」でないと品質が今ひとつだとして、秋葉原には多くの外交人が足を運びました。しかし、中国や東南アジア製の品質はどんどん向上して「もう差がなくなった」と言われています。 

 物事の流れと傾向をみて、その延長線上で何とかなるだろうという考えはもう通用しません。企業の大小を問わず、現在の業界に我社の存在価値があるのか、当社の受け持つ範囲はどこなのか、どのレベルでどこに担当すべきところがあるのかなどを真剣に考えなければなりません。そうすれば、「現在の人材で良いのか」「何が不足しているのか」「どこの何を補えば良いのか」が見えてきます。社内に「何かがおかしい」と感ずるところはないか。社長さん!わが社が「ゆで蛙」にならないように見直してみませんか。


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