日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

経営理念は積極的に発信すること!

 先日、「経営理念を制定しましょう」と手紙を差し上げました。その理由もいくつか上げたつもりですが、ご質問がありましたので、ここで整理しておきたいと思います。ご参考になれば幸いです。 
 経営理念は、わかりやすく、社員の気持ちを高揚させ、がんばろうという気持ちを起こさせるものでなければならりません。そして、借り物でなく、経営者自身が、自分の言葉でつくり出したものでなければなりません。
 経営理念は制定しても、ファイルしているだけでは意味がない。積極的に発信することによって、経営者も従業員も自らの身を正し、将来に向けて自信を持って歩めるようにしたいものです。     


経営理念は、
経営者にとって、
@会社経営の想いと情熱を
 従業員、顧客に伝える手段です。
A共鳴してくれる人材を
 従業員として集める手段となります。
B従業員との価値観を共有する手段となります。
C経営者自らが迷ったときの羅針盤になります

従業員にとって
@日常の活動の行動規範となります。
A自己判断に迷ったときの指針になります。
B社長及び同僚との価値観の共有手段となります

社外に対しては
@企業の経営姿勢を伝える手段となります。
A企業イメージを高める手段となります。
B企業の経営の信頼性を高める手段となります。 

経営理念を機能させるために
@経営者の信条を簡潔かつ明快に表現すること。
A具体的な行動レベルで表現すること。
B社内の目に付くところに大きく掲示すること。
C教育・研修の場で伝えること。
D毎日、朝会や朝礼で伝えること。
     
  社長のもとには、約50名の社員の方が一生懸命働いています。彼らには家族もおり、将来少しでも楽しく、元気に生活をしたいと願っています。しかし、まだ御社は、これら社員の『夢と希望とロマンの持てる会社に』にはなっていないようです。
 先日、社長がお作りになった経営理念の原案ですが、一生懸命働く社員を元気に奮い立たせる経営理念に仕上げたいものです。経営理念には、社長がリーダーシップでこのような会社にするという強い意思表示がほしいのです。社長の原案には、「がんばろう」という掛け声は感じられますが、社長の強いリーダーシップが見えません。
 

 社員の方々とお会いしてみると、強いリーダーシップで会社経営をする社長を待っていることがわかります。大企業であれば、社長が方針だけ出せば、副社長とか、専務が社長の意を汲んで実行してくれますが、御社にはまだその人材がいないようです。御社においては、社長自らがリーダーシップを取って行く必要があります。経営理念に関して結論を言いますと「このような会社にするから俺について来い」というような力強い表現がほしいのです。

  「お客様から信頼される会社を作ろう、総力を挙げてがんばろう」では、表現が一般的で弱すぎます。これでは経営理念ではなく、労働組合のスローガンのようです。「お客様から信頼される会社を作る」、そのためには「何をどうしよう」と、社長が一番重視したい具体的な行動や目標がを断定的に表現した方がいいと思います。経営理念についてはもう少し経営トップの皆さんで議論されてはいかがでしょうか。そして、御社の歴史や経営風土によくマッチした経営理念にしたいものです。


「日本版6シグマ」からの提案
額縁に描いてある
飾り物のような「経営理念」ではダメ!

 「日本版6シグマ」を提唱することになったきっかけは、ジャック・ウエルチの「GE版6シグマ」との出会いであった。彼は、「○○社は品質とサービスを大切にします」とか、「○○社は顧客第一をめざします」とか、額縁に描いてある飾り物のような「経営理念」では何の益にもならないと言っている。
 GE社を「6シグマ」でリードし、「20世紀最高の経営者」と謳われたジャック・ウエルチは、「経営理念はビシッと鼻面を打たれるような、現実的で、具体的で、我々は、どうやって勝ち残るかに答えられるものでなければならない」として、次のような趣旨の「経営理念」を打ち出している。
○GE社は、世界でもっとも競争力のある企業になる!
○すべての市場で「No.1」か「No.2」になることをめ
 ざし、その可能性のない事業はてこ入れするか、売却す
 るか、閉鎖する。
○そのためには、社員全員が主体的に挑戦する力を最大限
 に引き出し、評価する組織をつくる。そうした思いや目
 標を共有できない社員には去ってもらう。 

 「GE社版6シグマ」の展開にあたって、ジャック・ウエルチが発表した経営理念は、わかりやすく、企業の業種や規模を問わず、普遍的な価値を持つものとして、あまりにも有名である。


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