経営・組織・個人の新たな関係構築について 
−労働力流動化時代の組織−

 その4 
    先ず、個人の生活設計ありき    

  政府も「経済白書」で言っているように、景気回復のためには企業の「過剰雇用問題の克服」を最重要視しています。企業も、これまでの「定期採用、終身雇用制」に変わって、事業展開のニーズに応じて、タイムリーに外部から必要な人材を求める「アウトソーシング」に雇用制度の重点を移してきています。
 
 景気回復の先行きは依然として不透明。否応なしにリストラが進む中、「自分のキャリアは自分の責任で開発し、仕事は自力で探していく時代」になってきています。
 確かに、現在働いている会社や従事している仕事の将来性、自分自身の適性や能力、健康具合、家族の生活状況まで考慮に入れた上で、今後はどのような「キャリア路線」でやっていくべきかを、誰もが一度は見直してみる時代になってきています。ところで、これからの「キャリア路線」の見直しについては、次の「
4つの路線からの選択」を想定することができます。

  4つの選択路線

   (1) 現雇用先で、今の仕事を中心に継続してキャリアを積んでいく。
   (2) 現雇用先で、別な仕事で新たにキャリアを積んでいく。
   (3) 現在の仕事の中で、もっと自分が生かせる、高処遇条件の新たな雇用先見つ
     ける。
   (4) 新たに仕事や雇用先を見つけ、スタートし直す。

  多くの人の場合、「キャリア路線」の選択にあっては、仕事に関して持っている専門的知識や技術、技能、適性等に加えて、あるいはそれ以上に経済的な面でどのような生活を前提にするかという「生活設計」を出発点にせざるを得ないと思います。
 
 そこで個人の側としては、
選択した「キャリア路線」に対応して、現時点および将来(例えば5年後)、ずばり平均的にどれ位の「給料収入」が期待できるかを明確にします。次にその平均的な「期待給料」を裏付けとして、生活費、社会保険料・税金、ローン等の支出額や貯蓄額を想定し、これからの「経済面での生活設計」をはっきりさせます。
 
 つまり、キャリア開発計画については、先ず、5年間位のスパンで見ることとし、個々人の職業生活と経済的生活面のバランスの上に立った、主体的で前向きな生活設計が出発点にすることをお勧めしたいと思います。


その5へ。