経営・組織・個人の新たな関係構築について 
           −労働力流動化時代の組織−

             その3 
    企業は能力要件をデスクロージャーせよ 
 


  企業は競争力強化に向けて、経営と個人の関の「連帯関係」を再構築していかなければなりません。経営にとっては、これまで以上に安心して切磋琢磨できる同僚、安心して信頼できる上司、安心して任せられる部下といった「人と人、人と組織、人と経営を結びつける連帯感」が重要になってきています。



能力要件のガイドラインを!
  このためには、第一に企業は社員に対してどういう能力、キャリア開発を期待し、それをどう評価し、どれだけの給料を支払うのかについての「ガイドライン」を明示する必要があると思います。
 個人としてはもちろん客観的に自己評価し、企業のガイドラインに沿って自らの責任で能力、キャリア開発プログラムに参加する姿勢が必要です。
 
 政府は経済不況からの脱出のためには、失業率のアップをやむ得ないとし、労働力の流動化時代の到来を展望しています。健全な流動化のためには、国の助成に加えて、何が必要か。
 企業側が、これまでは積極的に曖昧にしてきた「今後重視していく能力やキャリアの内容や評価基準」について、キチンとしたわかりやすいガイドラインを示すことが不可欠です。
 
 各企業が業種業態に応じて、そうした視点から「経営・組織・個人の関係構築」に主体的に取り組むならば、自ずとグロ−バルスタンダードとしてのガイドラインが出来上がっていくとともに、健全な労働力の流動化が進むのではないかと考えます

  これからは、このような事態を機会に「経営は何を目指すのか、個人に何を期待し、何をどう評価するのか」を積極的にデスクロージャーする企業が出てきて欲しいと思います。
 
 その結果として、個人は希望する企業や仕事に対して、「どんな『キャリア』を身につけていく必要があるのか」が明確になってきます。
 企業と個人が、人材の流動化時代であるという認識をテコに、相互に目標や能力の持ち方、発揮の仕方について共有化し、「連帯感」を醸成しあう環境をつくっていくことこそが根源的な競争力強化につながっていくのではないかと考えるからです。


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