経営・組織・個人の新たな関係構築について 

−労働力流動化時代の組織−

          その1 問題提起


一般消費は低調のまま            
1997年度以来前年比で−0.4,−2.0%とマイナスが続いたGDP成長率が、政府の何でもありの不況脱出施策が実って、この1〜3月期は前年同期比で+1.9%に転じました。 しかし、企業のリストラはいよいよ本格化し、失業率は4.8%、一般消費は低調のままです。            

従来型企業組織社会に対する不信感
  ところで、企業が生き残るために必死の思いで人を減らし、当面の危機は何とか乗り切ったとしても、その後遺症が心配です。
 人員削減優先で中核の人材層が薄くなり、現場の技術伝承が上手く行かなくなったことが、かつての造船不況時代に見られましたが、
今度も無定見なリストラで人を減らした結果、逆に必要な人材が足りなくなってしまったというような事態が起こりかねません。

 しかし、それ以上に深刻なのは、既に確実に進んでいることでもありますが、学生や社員の従来型企業組織社会に対する不信感の高まりです。
 優秀な学生は、従来型の知名度の高い企業を敬遠しはじめています。ソフトバンクの孫さんがインタ−ネット関連のベンチャ−事業で一人勝ちできたのは、優秀な人材が従来型企業からなかなか離れられないでいるからだと言っていましたが、これからは自分の力が発揮しやすいベンチャー企業に、多くの優秀な学生が流れ込むのは必至だと思います。
 
  社員にも能力主義、成果主義と言いながら、「結局はものを考えない、上ばかり向いているヒラメ社員が優遇されるような企業は、楽しくないし、不安だし、あてにできない、頼りにならない」という考え方広がっています。

求められる
経営と組織と人間の新しい関係づくり
 優秀な人材が勝負できる機会を求めて一気に流動化が進むか、あるいは活力を失った状態で、多くが既存の秩序の中に身を潜めるように生きて行くようになるのか、今のところその見通しは半々です。
 
 現在の政府の施策は、景気の大きな落ち込みをくい止めるだけで精一杯です。企業の側が相変わらず横並び型のリストラ路線を走るだけでは、景気回復の程度も先きが見えています。
 
 企業は第一変曲点を認識し、新しい成長路線の実現に向けて第二変曲点を通過することができるためには、それぞれ独自に「経営と組織と人間の新しい関係」を構築しなおさなければならないと思います。

       
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