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 BMM【Belhyud Mail Media】NV No.106
  2010.4.5発行
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中国ビジネスにおける
日本版6シグマ

6「経営利益プロセス」の数字による共有化
「A社」にあって、前に述べた「3つの経営利益」の管理を重視する「理由」をあらためて要約する。先ずは、「中国における低労働コストが、今日最早『経営の決め手』にはならなくなっている」という背景がある。しかし、最近のこうした環境の変化の中にあっても、「A社」は中国への経営資源の集中という方針を一貫して貫いてきた。
今後の世界経済にとって、中国における企業活動の重要性が語られるようになって久しいが、「A社」は経営規模から言っても、中国における企業経営のあり方を考えるに欠かせない、代表的な「日本企業」の一つに位置づけされる。
「A社」は、中国のこのような経営環境の変化は、他企業との競争を考えた時、むしろ経営力を強化していくプラスの要因と受け止めている。中国政府の中国進出企業に対する経済的優遇施策の変更や中国人社会に特徴的な取引習慣や中国人社員の勤労意識や行動様式は、一般的に経営の安定化にとって、きわめて大きなマイナス要因になっている。
しかし、「A社」は、こうしたマイナス要因を超えて、経営トップの「地球人として働こう」という語録をもとに、中国人が中心となって「部品内製から製品組立までの多岐にわたる業務全体」をきめ細かく管理することで、キャッシュフローを安定化させ、業界の低価格競争に勝てる「コスト競争力」のある企業を目指している。まさしく、「A社」はこれまで中国ビジネスにおける「経営管理の王道」を歩んできたし、これからも歩みゆ続けようとしているということができる。

最近の「A社」の中国ビジネスにおける経営施策の中でもっとも明快で特徴的なことは、企業活動の3大要素である「ヒト、モノ、カネ」の中で、先に述べた「3つの経営利益」を構成する「モノ」と「カネ」の動きや発生の実態のすべてを「数字」で100パーセント把握できるようにしたことである。
そして、「ヒト」つまり中国人社員に期待する「業務への取り組み方」、具体的な「業務の目標や計画」をきわめてドライに、「モノ」と「カネ」に関わる「数字」で絞り込み、その「成果」を「数字」で確認し、評価するというきわめてオーソドックスな「マネジメント手法」を中国社員リーダと一緒につくり上げ、その実行を徹底していくことにしたのである。

ここ1、2年の思考錯誤の中で、少しづつであるが中国人社員の意識、反応に変化が見られるようになってきている。最大の変化は、「自分達の会社」という意識をもって、「モノ、カネ」の出這入りを責任をもって管理できるようになってきたことである。「A社」にあっては、「業務の目標や計画、成果」を「モノ、カネ」の「数字」で可視化し、これを社員に共有化させようとする「マネジメント手法」は、世界にグローバルに通用する手法であり、中国社員にもスムーズに受け入れられ、彼らにやる気を起こさせる近道である」という確信が持てるようになってきている。

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    【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
【編 集】 井 上  仁

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