・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 BMM【Belhyud Mail Media】NV No.103

  2010.3.31発行
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中国進出企業における
日本版6シグマ

3現場の、現場による、
 現場のための「管理指標づくり」
「A社」では世界市場への全面的対応を狙いとして、金型・部品・製品組立一貫生産体制を拡充し、生産に直接かかわる従業員に加えて、開発、技術、品質保証、管理等のスタッフが常時1万人ほどが働いている。日本の中国進出企業の中ではダントツでトップクラスの規模である。

一般的に、ベンチャー企業や中小企業が飛躍的に規模を拡大して行く過程では、経営トップ個人の天才的な意思や考え方、アイデアの力によって事業運営が行なわれることが多い。
「A社」の場合も例外ではない。特に「部品から製品まで、一貫生産によって技術ノウハウの流出を防止するとともにスケールメリットを追求し、低コスト化を図る」という経営戦略では、部品生産が鍵を握る。多様な部品材料の購買・調達、在庫に対する資金需要が大きく、また部品の生産設備に多大な継続的な投資が必要である。

「A社」は、経営トップの部品内製化方針のもと、部品生産設備への大胆な投資を行い、材料購買・調達体制も急激な拡大を図ってきた。しかし、前身が生産技術や生産管理ノウハウの蓄積が乏しいベンチャー企業ということもあり、
@一部導入設備に的確さが欠けた。
A社員に対する多岐にわたる技術・技能指導が不十分であった。
B材料購買・調達・在庫管理に不都合な問題が発生した。
等の結果、部品部門においては「低歩留まり、不良在庫の増大、生産・出庫計画の未達、材料コスト計画の未達」、製品組立部門では「部品の欠品による組立数量計画、組立コスト計画の未達」等の生産管理上の由々しき状況が長く続くことになった。 

ヒット商品が出て、高成長が続いている間は、上記のような問題が隠れて表面化しなかった。しかし、その後の厳しい価格競争に勝ち残っていくために、「A社」としての中国を拠点にした「生産管理戦略」を単に絵に描いた餅に終わらせず、何よりも「コスト競争力」をつけ、確実に利益を上げることができるようにするために、これまで積み残してきた多岐にわたる改善課題をきめ細かく取り組み、解決していく体制作りに取り組みなおさなければならなくなった。

これまでのトップダウン経営では一旦消化不良がおこると、組織がギクシャクしてくる。トップは「なぜ上手く行かないのだ」と現場にどんどん介入し、直接指示するようになる。
しかし、現場の責任者がトップに異義をとなえることは困難である。結果的に「社長が決めたことだから」、「社長がやれといったから」と、結果にこだわらない「事なかれ主義」が目立つようになってきた。設備を動かし、部品をつくることはつくる。しかし、「品質安定化、歩留向上、材料コストの低減、必要数量の出荷に向けた主体的な課題解決」への取り組みがなかなか軌道に乗らない状況が続いた。

「A社」は、このよう状況から脱却するために、さらには近々の「東証一部」への上場を目標として、「日本版6シグマ」への取り組みを再スタートさせることとなった。中国における「部品から製品までの一貫大量生産」という経営戦略にあって、「目標利益」を実現するための一連の生産管理業務に対して、特に中国人社員を戦力化し、中国人社員が責任を持って利益管理ができる体制づくりに取り組み直すことにした。
以下、現在進行中の具体的な取り組みの経緯について、特に「日本版6シグマ手法:BST」のバージョンアップの実態を中心に紹介することにしたい。それは、現場における業務の「計画」と取り組みの「結果」のすべてを「数字」で把握できるようにし、「現場の管理指標を現場の意思と工夫でつくる」という「現場の、現場による、現場のための管理指標づくり」からの再スタートであった。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    BMM【Belhyud Mail Media】 NV No.103
2010.3.31発行
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  【WEB】 http://www.belhyud.com/0.htm
【MAIL】 jin-inoue@belhyud.com
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
    【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
【編 集】 井 上  仁

back