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 BMM【Belhyud Mail Media】NV No.110

  2010.5.24発行
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中国ビジネスにおける
日本版6シグマ

11 「棚卸データ」による
    「生産・発注・在庫」の管理ポイント


「棚卸集計表」による「棚卸データ」の可視化は、中国人社員の責任で「部品材料コスト、製品部品コスト、部門損益」、「部品・製品の生産・在庫計画」、「材料・部品の投入・発注・在庫計画」を管理できるシステムをつくり上げるということが狙いであった。
これまでの中国ビジネスの経験から学んだことは、経営を健全なものにするために、PL上の損益管理の面から「コストダウンに直接的に取り組む」よりも、BS面から「基本材料や部品、製品の在庫の膨張に歯止めをかけることを優先しなければならない」ということであった。

「A社」の場合、「製品の組立」と製品組立に必要な「部品の生産」、部品生産に必要な「材料の発注」にあって、部門間の連動意識が希薄で、結果的に「部品・製品、材料の在庫」が増大し、さらには、この「在庫の増大」がキャッシュフローにまで影響を与えるようになっていた。「部品の材料コストダウン」、「製品の部品コストダウン」は、PL上の損益を改善する上で欠かせない。「材料・部品の発注・投入」と「部品・製品の生産」のサイクル管理を厳しくし、無駄な材料の発注、無駄な部品の生産、無駄な製品の生産を抑え、結果的に「在庫」を圧縮し、キャッシュフローを少しでも健全化することに「生産管理」を脱皮させなければならなかった。

在庫圧縮のための「生産管理」
生産管理の弱さは「在庫の膨張」になって現れる。「在庫の膨張」に歯止めをかけるためには、先ず「在庫」を目に見えるようにすることである。その上で、「在庫」の数字をもとに、「生産計画」、「材料・部品の発注計画」を見直すという「生産管理の基本課題」にまでさかのぼって取り組みなおす。
「生産管理」の見直しについて、先ず取り組むことは、「部品や製品の生産計画」を、「販売見通し」と「在庫目標」に見合った「健全な数字」にすることである。
「生産計画の健全な数字化」とは、「在庫」と「販売見通し」をはっきり把握し、その「在庫」と「販売見通し」をもとに、「何をいつまでに生産し、出庫するか、月末にはどのくらいの在庫をもつことにするか」を明確にすることである。つまり、「生産・出庫・在庫計画のワンセット化」である。
次に、この「計画」に基づいて、「材料や部品の必要投入量」を決め、必要量を発注し、生産し、出庫する。「在庫の膨張に歯止めをかける」ということは、上記のフローをきめ細かくたどり、「余分な生産、発注を行わない」ということににつきる。
結局は、中国人社員の自覚と責任で、次の『5つの管理ポイント』を段階的に地道にたどらることによって、生産管理の基本を身につけさせる」ということであろう。

「5つの管理ポイント」
@製品の「在庫」を正確に把握する。
A製品の「販売見通し」をより正確に把握する。
B製品の「適正目標在庫」を決定する。
C上記@、A、Bをもとに製品の「生産計画」を立てる。
D生産計画に応じて、材料、部品を必要な時に、必要な量を手当する。
E生産した製品は必要な在庫を残し、販売し切る。

外国人と損益計算書の話をすると『Turn Over』という言葉がよく出てくる。『タノバ』と聞こえるので、最初は何のことかと思ったが、売上というのは繰り返し、繰り返し売って、だんだん和が高まり、売上高が増えていくという意味で、『Turn Over』という言葉が使われている。英語の辞書を引いて見ると、「ページを一枚一枚めくる」という意味もある。「一個仕入れ、一個生産、一個販売」の繰り返しをスピードアップすることが利益の源泉である」という考え方に立っている。
この「Turn Over」の考え方は、「売れる製品の数量に見合った材料や部品を手当し、生産した製品は必要在庫を残して販売しきる」というこの「5つの管理ポイント」に通じるものである。
『Turn Over』に通じる「5つの管理ポイント」へのアプローチは、「在庫」を次第にBの「目標在庫」に近づけるであろう。「コスト低減、収益改善の成果」も「棚卸データ」、「管理データ」という「数字」で確認できるようになるであろう。
何はともあれ、「中国ビジネスの健全化」にとって、確信をもって言えることは、先ずは「中国人社員の手で、「棚卸集計表によって在庫を可視化する」、その上で「5つの管理ポイントを確実にたどる」という原点からの取り組みが不可欠であるということであろう。
 
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                【発 行】 ベルヒュ−ド研究会
                 【編 集】 井 上  仁


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