J・ウェルチは
「Work Out」への
 「DMAIC」の活用を徹底した!
      

 アメリカの伝統的な企業の多くは、1980年代日本の品質管理パワーの追随を受け、再生の道を歩み直すことになりました。
 日本は「ものづくり」の面で「QC活動」を展開し、成功しました。アメリカの企業は、「ものづくり」の面だけでなく、あらゆるビジネス場面で業務の品質向上とコスト低減を目的に、問題解決的なアプローチを行えば、日本に勝てる」という信念で、トップ主導で全社的な「6シグマ」を展開しました。

 特に、ジャック・ウェルチは、21世紀に発展が期待できる事業を重点化し、「GE版問題解決小集団活動」とも言うべき「6シグマ」を展開し、世界の企業の「6シグマ導入、推進」の手本になりました。


DMAICで
現場のナレジを生み出す

 ジャック・ウェルチは、「6シグマ経営」にあたって、アメリカ企業に一般的であった「M0型:指令統制型組織」や日本の競争力の源であった「M1型:タテマエと協調重視の組織」を否定し、「人材こそ最高の資産」という考えのもとに、現場の一人一人のナレジ(知恵、情報)を活かす「M5型:問題解決力のある組織づくり」を重視しました。

 さらに、グローバルな競争力をつけるという大前提のもと、経営にかかわるあらゆる業務の「品質向上」と「コスト低減」、「顧客満足度アップ」、「生産性向上」、「ミスの起きにくい業務システム設計」を目的に、「DMAIC」の「Critical Thinking Approach」によって現場のナレジを活かす「Work Out」を展開しました。

「6シグマ」
「4つの基本プロセス

D:課題の定義と設定
M:問題発生状況の測定
I:システムの改善・改革案の作成
C:実施・成果の管理維持

 J・ウエルチは、特に「D」を重視し、「経営方針、目標の共有化とその実現に向けて」というスローガンのもと、「DMAIC」による問題解決プログラムを社員に理解させるために、徹底した社内研修を実施しました。
 しかし、ここに「6シグマ」を理解する際に重要なポイントがあります。それは、日本企業に追い越されたアメリカの企業がなんとか復活するために、日本企業の「QC小集団活動」等を分析し、開発した手法だったということです。


日本の
QC小集団活動とのちがい
 確かに、日本の企業経営には、この種の手法として、目標管理と品質管理をドッキングさせた小集団QC活動がありました。しかし、両者の根本的な違いは、次の2つにあります。
 
(1)日本の小集団活動は、欧米の企業に追いつけ
   追い越せの時代に、現場の社員が仕事のやり
   甲斐や生き甲斐を求めて、自主的に自発的に
   取り組んだボトムアップ的な活動であった。

(2)アメリカの「6シグマ」は、グローバルな競
   争に勝ち残っていくために、特に「コスト低
   減」や「顧客満足度アップ」のために解決し
   なければならない課題に社員を挑戦させ、成
   果は正当に評価し、報えるというトップダウ
   ン的な活動であった。

 日本の企業は、インタ-ネットインフラを活用し、「ナレジ」を生み出し、ビジネスを強化していくという点で、なお深刻な停滞が続いています。


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