アメリカ企業と日本企業
経営上の大きな違い


「日本版6シグマ」の
イノベーション課題は何か?

アメリカ経済の強さは
「6シグマ」のベスト・プラクテス運動でもたされた!

 今日アメリカ経済は、IT時代に入り、「従来型大企業の再生」とその再生を基盤とした「ベンチャー企業の創出」によって、再び世界市場を大きく支配している。
 アメリカ産業界の復活は、大企業中心の「6シグマ」を推進力とした「ベスト・プラクティス」運動(成功した他社から学ぶ)によってもたらされたと言える。
 それは、従来型大企業の「情報の発信と共有化」というITインフラをベースにした「e経営改革」と一体化した「6シグマ」への取り組みがスタートであった。

日本企業のホワイトカラーの生産性は低い!
 アメリカでは、「6シグマ」の導入にあたり、日本企業の経営や品質管理活動の実態研究が行われた。確かに、日本企業の強さは、製造現場のブルーカラーの「ものをつくる力」にある。しかし、それ以外のホワイトカラーの生産性はむしろ低いという評価になった。
 そこで、アメリカの「6シグマ」は、「ものづくり」の場面に限らず、「経営のあらゆる業務の品質向上に取り組めば、日本に勝てる」という考えもと、経営トップ主導の業務革新のための「全社的な問題解決活動」として広まっていったのである。

「日本版6シグマ」による
「経営イノベーション課題」は何か?

 日本企業も、今日の世界的な生産性向上の競争に挑むためには、現場の自発的なヤル気やがんばり依存する時代から脱却しなくてはならない。
 日本の「6シグマ経営」は、アメリカにならって、ホワイトカラーを巻き込んだ「経営のあらゆる場面での業務革新」に取り組むものでなければならない。

アメリカ企業の雇用
①個人個人の責任が明確。
②スキルアップは個人が自分でやるもの。
③仕事がキチンとできたら休むのも自由。
④仕事が出来なければすぐ解雇。
⑤仕事は一生同じところではなく、自分を高く買ってくれる
 ところへ移動し続ける。

日本企業の雇用
①個人個人の責任範囲が不明確。部署全体での連帯責任。
②社員のスキルは会社が育て上げる。
③連帯責任で、他の社員が忙しければ休めない。
④仕事が出来なくても解雇されない。
⑤基本的に一生同じところで働くことを望んでいる。

アメリカ企業の報酬
①利益上げたもん勝ち。
 経営者はそれに比例するような莫大な報酬を貰って当然。 ②とにかく稼ぐ。稼いだ人にはそれに似合う報酬を渡す。
 稼いだら引退してバカンス。

日本企業の報酬
①会社が儲けたら社員に還元。
 利益を上げ過ぎても社会から叩かれる。
②経営陣の給与はある程度で抑える。
 報酬が高いと社会から叩かれる。
③一生働けるような環境整備が重要。

日本企業でも
ジョブ型っぽい雇用が広まっているが

朝日新聞
(2022.3.31)
 「ジョブ型雇用」が、日本国内の大企業を中心に広まっている。「年功序列柄賃金」といった、これまでの雇用慣行を見直そうとするものだ。
 日本の企業が導入しようとしているのは「ジョブ型っぽいもの」だ。海外で一般的な本来の「ジョブ型」は、まず「ジョブ(職務)」があり、そこに遂行できる「スキル(技能)」をもったヒトをはめ込む。賃金はジョブに基づいて決める。例えるなら、あらかじめ椅子に値札が貼ってあって、そこにヒトが採用されて座る。採用は基本的に椅子が空く時の欠員募集で、椅子そのものがなくなればやめてもらうことになる
 これに対し、日本の企業特有の「メンバーシップ型雇用」は、採用時に「ジョブ」が特定されていない。社員は、何にでもなれる「IPS細胞」のようなもので、会社の命令によって「ジョブ」がその都度決まる。賃金は「ジョブ」と切り離した「ヒト基準」で、勤続年数や年齢、能力評価によって決まる。
 ここで言う「能力」とは、会社の命令に従って柔軟に対応できる力だ。ある「ジョブ」がなくなったとしても異動させて雇用が維持されるのが原則である。

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