「6シグマ」は
 アメリカ企業で生まれた
  品質改善活動が起源
 

 「6シグマ」の起源は、1970年代末のモトローラ社の品質改善活動にあります。
 当時日本のポケベル市場に参入しようとした当社が、日本のメーカに比較して不良率の高さに驚き、品質管理活動に必死になって取り組むことになったことがきっかけになりました。


「6シグマ」
6つの基本的指導概念

(1)GQ
 本来、「6シグマ」は統計学のバラツキの概念です。例えば100万個の製品中3.4個程度しか不良品が発生しない、つまり不良を限りなくゼロにしていくための品質管理業務システムをつくり上げる活動です。
 そこで、不良の発生を限りなく「ゼロ:6σレベル」に近づけることを「GQ:Good Qualityの追及」と定義しました。「GQ」をめざすためには2つの側面からのアプローチが必要です。
 一つは、品質のレベルを上げるための改善活動です。
 二つは、改善した品質レベルを維持していく活動です。

(2)COPQ
 
「COPQ」(Cost Of Poor Quality)は、製品や商品、サービスの品質に不良が出た場合、直接、間接に発生するコストです。
 「COPQ」が、直接的なもののみならず間接的なものも加えればどのくらい大きいものになるか、研究会の
加藤文男会員に、次のような視点を整理して戴きました。

○不良品が多いと発見するための費用がか
 かる。
○ロットアウトになれば、再度全数検査で
 選別しなければならない。
○不良品が発見されれば修理をしなければ
 ならず、その作業費用はばかにならない。
○修理ができれば良いが、中には不良品を
 「おしゃか」と称して廃棄しなければなら
 ないものが出てくる。
○不良品の製造に使用された労働のコスト
 は取り戻す事ができない。
○作業の効率を下げているのは言うをまた
 ない。
○作業効率が低下し、納期遅れになれば、
 営業的には機会損失が発生する。
○不良品は仕掛かり在庫として工場内に停
 滞し、原材料だけでなく、作業に要した
 労賃も含めた金利を負担しなければなら
 ない。
○市場に出てしまった不良品を回収するた
 めの費用は大変高いものになる。
○顧客は同じ物を同時にたくさん買うわけで
 はない。たとえ0.01%というメーカ
 ーとしては低いと思われる不良率でも、そ
 の不良品を購入した顧客にとって不良率は
 100%となる。不良品にあたったお客さ
 んは、再び同じ会社の製品を買いたいとは
 思わないだろう。
○不良品により失った顧客の信頼を回復する
 ためには、大変な時間と費用がかかる。

(3)VOC
 「VOC:Voice Of Custmor)」は、製品や商品、サービスに対する顧客の直接的なクレーム、要望です。クレーム、要望に真摯に応えることによって、「顧客満足:CS」さらには「顧客の喜び:CD」を実現しなくてはなりません。
 「CD」のレベルが「COPQ」の極小化につながります。「COPQ」を問題にすればするほど、顧客重視の立場に立たなければならないと言う考えです。
 
(4)CTQ 
 「COPQ」が発生する背後には必ず原因があります。この原因は単に現場のものづくりの場面のみならず、大きくは経営全般から関連部門、取り引き先の業務全般にわたって存在しています。
 このような「COPQ」に重大な影響を及ぼしている業務の不良要因を「CTQ:CriticalTo Quality)」と言います。
 「GQ」を実現するためには、広く「CTQ」を探り、真の原因を究明し、これを排除するか、根源的な解決を図らなければなりません。

(5)SSP

 「6シグマ」は、上記「4つの指導概念」の相互関連を強く意識した取り組みになっています。
 第1は、「COPQ」を金額換算することによって、「VOC」のことの重大さを認識するところから始めます。
 第2は、「COPQ」を極小化するためには、どのように「CTQ」を探り、絞りこむかです。
 第3は、「VOC」を踏まえて、内部の不良要因である「CTQ」を解決するために解決すべき戦略的課題「6シグマ課題:SSP(Six Sigma Project)」をどのように設定するかです。「SSP」の内容とレベルは、「VOC」と「CTQ」についての現状認識力如何にかかっています。

(6)DMIAC
 「6シグマ」の実践の場面では、一連の取り組みを効率的、効果的に推進していくためのアプローチ方法として、「DMAIC」という「Critical Thinking Approach」に沿った問題解決フローがあります。
 
 特に、GEのジャック・ウエルチは、社内のあらゆる業務がよりよく遂行されるためとして、「D」(Definition:課題の設定)を重視した「GE版問題解決フロー」による取組みを徹底しました。

 :Definition    定義
 M:Measure      測定
 A:Analysis      分析
 I:Improvement   実行
 C:Controle     管理

 この「DMAIC」については、いろいろな活用方法がとられ、さまざまな取組みがなされています。「6シグマ」は、IT時代にあって、情報の発信と共有化が進む中、オリジナリティをめざして、各社工夫の余地がある経営手法であるということでもあります。




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