月刊
人事マネジメント
連載

6シグマ関連
基本用語

Work Out
「Work Outワークアウト」は、ジャック・ウェルチの「GE版6シグマ」をリードした組織的な問題解決プログラムである。
 ウェルチは81年から89年にかけて、経営トップの価値観を理解し、経営が掲げた方針、目標を実現するために、各部門の一員として、自らの行動や業務を自主的に革新する社員を重視した一方で、そうした路線に対応できない、「指示命令」でしか動かない社員、「チェック」と「管理」しかできない幹部社員を排除し、全体で10万人の社員を削減した。

 この「組織変革」に対して、コロンビア大学のカービー・ウオレン教授は、やや揶揄の意を込めて
 「ずいぶん大量の人員を整理(People Out)したね。さて、仕事の整理(Work Out)はいつになるのかね」と尋ねたというエピソードが伝えられている。
 
 ジャック・ウェルは、「Work Out」という概念を大いに気に入り、あらゆる現場の社員に対して、自分たちを取り巻く問題を解決するためにアイデアを出し、実行する権限と責任を与え、無駄な承認業務や効率の悪い、受け身的業務を止めさせるプログラムを展開した。

 このプログラムが、効率の悪い、意味のない仕事をワークアウト(解消)し、本来的にワークアウト(解決)すべき問題に取り組むという趣旨で「Work Outプログラム」と呼ばれるようになった。

TQC
 
日本企業の「TQC(Total Quality Control)」は、60年代、国際競争に打ち勝つための戦略的手法として導入された「品質管理活動」である。
 提唱者のファイゲンバウム氏は、「TQCとは、顧客に満足を与える品質の製品を経済的に生産するために、企業内のすべての部門が行う品質維持と改善への努力を総合的に調整するシステムである」として、全社の品質管理を総合的に調整する経営の責任を強調している。

 これに対して日本企業の「TQC」は、「品質管理への社員の主体的な取り組み」を重視しており、現実に「QCサークル」によるボトムアップ的な活動として発展し、80年代にはアメリカを凌駕し、世界トップの品質競争力を発揮するに至った。
 しかし、精密機械や乗用車、電子機器といった製品製造分野に限られ、日本企業の経営や各部門の業務課題の解決やプロセス改善には向かうことはなかった。

TQM 
 ところで、1990年代に入って、アメリカ産業界は奇跡的復活を遂げた。このアメリカ産業界の変貌は、「TQM(Total Quality Management)によるといわれている。「TQM」は「TQC」を発展させた「トップ主導型の経営・業務全体の品質管理活動」であり、「6シグマ」の「Work Wout」は、この延長線上にある。

6シグマ
 アメリカの「TQM」から「6シグマへ」の流れは、製造部門の「品質管理活動」を「経営の方針や目標の実現に向け、全部門が業務革新に取組む活動へ発展させたものである。「6シグマ」は、「日本企業のものづくりに勝つ」という考えのもと、従来型大企業を中心に暫時広がりを見せ、アメリカの「モノづくり復活」につながっていったのである。


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