第3章
ベルヒュード研究会
 21世紀の生き残りをかけ
 ボトムアップ型
日本版6シグマ経営の実践研究




1)日本企業の組織を
   「M0型」から「M5型」まで6つにモデル化
 
 企業は組織で動く。ベルヒュード研究会は、20世紀後半以来、本格的なIT時代の到来を見据えて、「企業組織の革新」に焦点を当て、組織で働く人間は、どのような働き方の変容を迫られるかを考察し、「M0型組織」から「M5型組織」までの「6つの組織」をモデル化し、「困った組織とどうつきあうか」(ダイヤモンド社)を発表した。 

 本書では、欧米の企業に一般的てあった「指示、指令」と「マニュアル」で動く組織を「M0型組織」、日本の成長拡大路線を支えた「タテマエ」と「和と協調」を重視するボトムアップ型組織を「M1型組織」と命名した。
 さらに、「2つの組織モデル」を起点として、IT時代にふさわしい、多様な人材が情報を共
有し、自由に意見やアイデアを発信し、組織の課題を設定し、生き生きと問題解決に取り組む創造的な小集団組織を「M5型組織」とし、問題解決のための「道具」として、「KJ法」を核にした情報諸技術を「M5型問題解決技法」として体系化した。

 
 アメリカを中心に、世界の企業組織はトップが強いリーダーシップで社員を「指示、指令」で動かす「M0型組織」が中心であった。
 先行きが不透明で見通しが困難な時代にあっ
ては、人々は強いリーダーに依存し、指示、指令を求める。本来的な「M0型組織」は、トップの「イニシアティブ力」で、自信と信念を持って社員に目標を与え、その実現に向け、パワフルに全体を指示、指令でリードし、成果を追及し、実績を上げたきた世界である。
 しかし、政治や経済の世界を問わず、多くのトップは昨今の多様な環境変化に対応できず、「M0型組織」はトップの指示・指令待ちのまま、停滞し、脆弱化してきている。


 
「M1型組織」は、日本の企業に代表的な組織で、経営陣をバックに、経営方針や目標の実現に向け、中間管理職が「和と協調」を重視するリーダーシップを発揮し、部下を「一本道」を競って走る世界である。
 日本の社会は、工業規格品の大量生産社会をつくるために、家庭のしつけや学校の教育、社会の慣習等あらゆる社会的制度を整備し、教育水準の高い協調性ある労働力集団をつくり上げること
ができた。

 日本企業は、「M1型組織」が持つ「QC7つ道具」に裏付けされた「和と協調」のボトムアップ力を持って、「ものづくり」の面で世界企業との競争に圧倒的に勝利してきた。


 しかし今日、日本企業はグローバルな情報化時代に入り、中間管理職が経営からの情報を切り売りし、部下を管理し、不満を言わせない「和と協調」重視」の「M1型組織」が内部から変容してきている。
 
日本企業の盤石だった「M1型組織」は、ITによる情報システムのオープン化や、非正規社員の増加、テレワーク等の内外の労働環境の変化によって、若者や女性を中心に働く社員の意識や価値観、働き方が多様化してきている。
 
日本企業の強みだった「M1型組織」は、「タテマエ」や「和と協調」に囚われず、個人の「好き嫌い」で動く人間が登場する「M2型組織」や「羞恥心」を行動基準とし、気が進まない仕事からはオリてしまう人間が登場する「M3型組織」が見られるようになり、急速に組織のまとまりの弱体化が進んできている。

(2)「M5型組織」がもつ「道具」
   「M5型問題解決技法」
 
   
 今日、日本の「M1型組織」の世界にも、世界の企業の業務革新に習って、社員の自主的なやる気のもと、「AI」等のデジタル技術を導入し、業務を効率化し、新しい価値ある製品やサービスを生み出すという「使命感」を持った人間やグループが登場する「M4型組織
」を見ることができる。
 だが、「使命感人間」が登場する「M4型組織」は、「M0型組織」や「M1型組織」の旧勢力の抵抗に会い、「M2型組織」の「好き嫌い」で動く人間や「M3型組織」の能力はあっても目立つことを恥ずかしがる「羞恥心人間」、あるいは「マイペース人間」を戦力化できずに、遅かれ早かれ挫折し、企業を変革する勢力になれていないのが現実である。

 「M5型組織」は、日本社会に根を張った「M1型組織」が有している、社員のみならず、経営のトップも含めた、会社全体の意識的、無意識的な手練手管の前に幾度となく敗退を余儀なくされてきている。
 
 「M4型組織」に登場する「使命感人間」が挫折し、敗退し、去って行く際の最後の言葉は、通常「さようなら」である。しかし、ベルヒュード研究会は、日本企業の「M1型組織」にも、世界的なI
T経営の進展とともに、世界の企業や取引先の要望や社会のニーズに刺激され、世界の企業を相手に、経営トップとともに自らの働き方を変革しようとする社員を集団とする「M5型組織」が生まれ得るとした。
 しかし、この「M5型組織」には、さまざまな組織
人間を巻き込んで、21世紀の生残りを懸けた経営問題の課題設定と解決に積極果敢に取り組むことができる、簡便で確かな「道具」を準備することができなければならない。この意味で、「さようなら」ではなく、中
国語の「再見(サイチェン)」がふさわしいとしたのである。そして、この「道具」を「M5型問題解決技法」と命名したのであった。



参考資料

6つの組織モデル
ー 困った組織とどうつきあうか ー

組織モデル

主な社員の特徴

M0型

「指令・マニュアル」で動く組織

「指示」された仕事に「マニュアル」で取り組む

M1型

「和と協調」を重視する組織

「一本道」を競争して走る

M2型

個人の「好き嫌い」がまかり通る組織

好きな仕事や付き合いにしか関心を示さない

M3型

個人の「羞恥心」がまかり通る組織

「恥ずかしい」と思う仕事や指示からは巧みに身をかわす

M4型

会社や仕事の改革をめざす「使命感人間」が登場する組織

やる気があっても、組織としての「道具」がなく中途半端で投げ出してしまう

M5型

顧客の声や社会のニーズをもとに、「顧客満足」を第一に考え、行動する組織

トップと社員が経営の目標と課題の設定と実現に向け、具体的な「道具、方法」を共有している


組織モデルの自己診断
 下記は、「M0,M1,M2,M3,M4,M5」の各組織の形態や所属するする人間の特徴をモデル化したものです。トップや管理職、社員の立場で、少しでも当てはまると思われる項目をチェックし、自分が所属する組織はどのモデルに近いかを自己診断してしてみて下さい。
指示・命令で動く
「M0型組織」の特徴
( )上から何を言われても黙って従う。
( )仕事にはマニュアルがある。
( )社員の入社、退社の出入りが激しい。
( )社員は指示された仕事しかしない。
( )会社や上司への不満、不平はタブーである。
( )上司は部下の仕事をいつも監視している。
( )トップと意見が対立した時は辞める時だ。
( )トップは社員の仕事を全んぶつかんでいる。
( )トップにさからうことはできない。
( )会議はいつもトップが指揮する。
────────────────────────
和と協調重視の
「M1型組織」の特徴
( )管理職は報告・連絡・相談を重視している。
( )業績評価では自己申告が重視されている。
( )昇給、昇格は社内基準で決まり、抜擢はない。
( )人物評価には社内基準がある。
( )管理職は気心のあった部下で身内を固めている。
( )上司からの指示待ちが多い。
( )顧客への対応は、内部事情で待たせることが多い。
( )ゴマスリ人間が出世している
( )上司から一旦嫌われた社員は出世が難しいる。
( )会議は形式的でマンネリ化している。
────────────────────── 
好き嫌い人間が登場する
「M2型組織」の特徴
( )好きな仕事を得意とする社員が多い。
( )嫌いな仕事は、上司の指示にノラリクラリしている。
( )上司の方が部下に気を使っている。
( )社員は自分の都合優先で休みをとっている。
( )仕事のことで、自分から上司に報告にいくことはない。
( )仕事は、上司からの質問には納得いく説明ができる。
( )会社のルールには関心がない。
( )社員は、よその会社でも通用する専門力を持っている。
( )自分が好きな仕事以外の担当には無関心である。
( )会議は、自分が不要だと思ったら平気で欠席する。
────────────────────────
イチ降りた人間が登場する
「M3型組織」の特徴
( )意見具申には関心がない
( )自分から同僚や経営に働きかけることはしない。
( )毎日大過なく過ごせればいいと思っている。
( )会社の仕事に不平、不満は言わない。
( )評価は気にしていない。
( )組織には協調も対立も一切持ち込まない。
( )会議では発言しない。
( )派遣社員が多い。
( )上司の指示や命令からは上手く逃げている。
( )気の向かない仕事からは降放置したままだ。
─────────────────────── 
使命感人間が登場する
「M4型組織」の特徴
( )会社は異質な社員を戦力化できていない。
( )会議では部下がドンドン発言し、上司をやり込めている
( )自分らしく生きる会社生活に拘っている。
( )納得がいかない仕事には建設的な提言をよくしている。
( )意見具申はいつも宙に浮いたままである。
( )トップや上司をあまり信頼していない
( )上司よりも、話のわかる同僚を頼りにしている。
( )自分流の信念や仕事のやり方にこだわりがある。
( )人事考課には、いつもクレームをつけている。
( )トップにゴマをするのが苦手である。
────────t───────────────
多様な人間が
生き生きと仕事に挑戦する
M5型組織
( )仕事の目的、目標、課題がはっきりし、分担は合議の上適材
   適所で決まる。
( )トップも上司も部下の意見や考えを重視している
( )全社員が戦力として位置づけられている。
( )トップや上司との間でメールのやりとりがある。
( )トップは意見具申を奨励し、前向きに取り上げている。
( )人事考課は減点主義ではなく、加点主義である。
( )顧客の声が重視されている。
( )専門職のアイデアや技術があてにされている。
( )会議は、担当社員からの提案で持たれるれることが多い。
( )トップは、多様な社員のやる気や意見を力にしている。
────────────

診断結果の集計
M0(  )
M1(  )
M2(  )
M3(  )
M4(  )
M5(  )


(3)「KJ法」を核にした
   「M5型問題解決技法」


 20世紀後半、日本の企業では社員や組織の創造性開発に関心が深まり、京都学派で、東京工大の文化人類学者の川喜田二郎教授が「フイールドワーク手法」として提唱された「W型問題解決フロー」に沿った「累積型KJ法」という問題解決技法が企業内教育の世界で流行していた。
 
ベルヒュード研究会には、本格的なIT時代の到来を見据え、多様な人材が様々な情報を共有し、一体となって議論し、課題を設定し、問題解決に取り組む創造性に富んだ「M5型組織」をつくるという問題意識があった。しかし、「M5型組織」は無手勝流であってはならない。社員が簡便に駆使できる「道具」を持たなければならない。それが「累積型KJ法」をベースにした「M5型問題解決技法」であった。 
 「M5型問題解決技法」は、川喜田二郎教授の野外科学手法として提案した「KJ法」による「W型問題解決フロー」がベースになっている。「6シグマ手法」の「DMAIC」に相当するものである。
 ベルヒュード研究会は、ビジネスの世界で通用する厳密で、簡便な「道具」をめざすとして、「あらためてKJ法の理論的体系化をこころみる(有文社)」を著した辻善之助氏(ビジネス研究所長)から長年に渡って実践的な指導を受けた。
 
 「M5型問題解決技法」は、経営理念や方針のもと事業の開発や製品やサービスの革新について、KJ法を使って、「顧客の声」や「社内の問題点」をデータ化し、本質的な「基本的課題」を設定し、全社的な問題解決体制をつくる「道具」である。
 
 経営問題について、経営と各部門があくまでも「具体的な行動」の問題として、自由闊達に議論し、多面的に「具体策」を発想し、データ化し、グルーピングし、それぞれグループ化したデータについて、共通した本質を見極め、「何のために、何をどうする」という表現の「表札」をつくる。
 この「グルーピング→表札→グルーピング→表札」という積み重ねによって、基本的な「実行課題」をコンセプト化し、図開化し、見える化し、全社的な「実行戦略マスタープラン」をつくる。

 「M5型問題解決技法」は、経営トップと現場の社員が、「話して考える、聞いて考える、書いて考える」という丁寧な日本語によるコミュニケーションによって、課題を設定し、実行体制をつくる、「M5型組織」がもつ経営に参加するための「道具」である。
 
 ベルヒュード研究会は、この「M5型組織」と「M5型問題解決技法」の実践研究の過程で、次に詳しく案内する、宿命的ともいえる「4つの出会い」があった。それはいずれも、21世紀の世界でトップレベルでやっていける「経営革新」の目的と道筋を明確にした「道具:X(Transformatiion」を求めるものであった。 



W型問題解決フロー
(川喜田二郎)

 



 4)「4つの出会い」を機に、
   「世界No.1、2戦略」のための
   ボトムアップ型
   「日本版6シグマ経営」のプログラム化!


 ベルヒュード研究会は、「M5型組織」のモデル化と「M5型問題解決技法」の実践研究を通して、21世紀に入って、次の大きな「4つの出会い」に遭遇した。

①J・ウェルチの
 GE社の「6シグマ経営
 
 一つは、J・ウェルチのGE社の「6シグマ経営」との出会いであった。それは、21世紀の生き残りをかけ、世界1か2レベルでやっていける事業を選択し、「人、もの、金」を集中し、競争力の弱い事業は売却するか廃棄をし、さらに経営と一体化できない社員は解雇するという「選択と集中」という戦略であった。
 「No.1、2戦略」において、J・ウェルチは、企業経営における経営者と社員の一体化、業務に主体的には取り組む人材を重視し、教育、育成し、「M5型組織」をつくる、すなわち「People Out」に辣腕を奮った。
 
J・
ウェルチは、「People Out」によって厳しいリストラを断行した。しかし、従業員との対話を重視し、やる気を引き出すために、社員に権限を与え、管理によってではなく、自らの価値観と志と道理で動く、まさしく「M5型組織」を重視した。そして確かに、GE社は中小企業の「小さい会社」のようなスリムで活力あふれる「M5型組織」の集合体の会社に生まれ変わったのである。
 
 コロンビア大学のカービー・ウオレン教授は、この改革に対して「ずいぶん大量の人員を整理(People Out)したね。さて、仕事の整理(Work Out)はいつになるのかね」と揶揄を込めて尋ねたというエピソードが伝えられている。
 J・ウェルチは、ウオレン教授の「Work Out」を大いに気に入り、「M5型問題解決技法」に相当する「DMAIC」という「6シグマ手法」の教育研修を徹底し、社員が主体的に業務に取とり組み、無駄な仕事をなくし、業務の質と価値をレベルアップする「Work Out」に力を入れた。
 

 「事業運営の効率改善、生産性の向上、製品の品質の安定化、コスト削減に関して、『DMAIC』に勝るものはない。設計工程を改善し、欠陥の少ない製品を市場に送り出し、顧客のロイヤリティを勝ち得ることもできる。
それだけではない。『DMAIC』の実践には、リーダーを育成する力がある」と語っている。
 J・ウェルチは、社員のやる気やアイデアや知恵を活かし、さらに、リーダーを
育てることができる「DMAIC」の大ファンになってしまった

 
 「販売する商品が原子力発電プラントであれ、
キャンディーバーであれ、違いはささいなものだ」として、「選択と集中」による「No.1、2戦略」の実現を第一として、「People Out」と「Work Out」を2本の柱とする「GE社版6シグマ経営」を追及したのであった。

DX推進ガイドライン」の
 「2025年の崖

 二つは、経済産業省がDX推進ガイドライン」で発した日本国の危機ともいえる「2025年の崖」という警鐘であった。
 「DX」は、日本の企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル情報技術を活用し、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデル、さらには企業の組織文化を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。
 そして、「日本の企業が『DXを進めるための課題』を克服できなければ、将来的に大きな損失を生むことは容易に予測できる」として、これを「2025年の崖」と警鐘を鳴らしている。 

 日本企業にとって、「DX」を進める第一の課題は、「デジタル技術」の専門家も含めて、「DX経営」を担う人材を確保し、専門性を活かし、自由闊達に仕事ができる「M5型組織」をつくることがである。すなわち「People Out」からの出発である。
製品やサービス、ビジネスモデルの革新のためのデジタル技術システムの導入や開発は、「6シグマ」における「Work Out」の一環である。
  結局、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデル、さらには企業の組織文化を変革し、競争上の優位性を確立するという「DX」を進めるための課題は「6シグマ」がめざす「People Out」と「Work Out」による具体的なアウトプットそのものであり、この意味で、「DX」は「6シグマX」の一環であるということができる。


③ジェームス・スキナーの「史上最強のCEO」
 「経営には道具が必要だ」! 
 三つは、経済産業省が「DX推進ガイドライン」を発表した年、アメリカ最大級の研修会社フランクリン・コヴィー社の日本支社長ジェームス・スキナーの「史上最強のCEO(フローラル出版)」との出会いであった。
 表紙には、「国内で初日に100万部突破!!!」という大げさ過ぎるコピーが踊っているものであったが、著者は、経営に悩む日本のさまざまな会社の社長に率直に呼びかけている。

ーあなたのリーダーシップで会社をイノベーションし、顧客、従
 業員、銀行、株主、規制当局、周りのコミュニティからの信頼
 を勝ち取れ。

商売の領域を狭くしてトップシェアをとり、顧客を満足させ、
 利益を上げ、世の中に貢献することだ。

ジャック・ウェルチや松下幸之助があなたの会社を経営してく
 れるなら、たちまち業績が激変するにちがいない。

イノベーションには「道具(手法)」が必要だ。あなたの会社
 の唯一の問題は、社長あなた自身がこの「道具(手法)」を勉
 強し、自ら変わることだ!

 日本の中小企業「コアレスモータ社」
 小型高効率「風力発電機」を発明
 
四つは、日本の中小企業「コアレスモータ社」の「小型高効率風力発電機」の発明である。ここ数年ヤリトリが遠のいていた白木学社長(写真)から、つい最近、小型、高効率「風力発電機」の開発についての一報があった。「コアレスモータの技術」を核として製品化した「風力発電機」で、今日の世界のエネルギー問題解決の一翼を担う可能性が期待される発明である。
 
 「コアレスモータ社」の「風力発電機」は、21世紀の世界的なエネルギー問題に関わるビックなビジネス課題である。世界の広範な需要に対応できる国際的なスケールの事業として、製品の完成度をあげ、安定的な供給体制を作らなければならない。そのためには、「道具」が必要である。
 主役は、日本の中小企業である。21世紀の国際的エネルギー問題に関わる事業に対して、問題は、ボトムアップ型「日本版6シグマ経営」という「道具」をどのように理解し、活用し、どのような「世界No,1,2戦略」をもって、確かな実績を上げることができるかである。  



コアレスモータ(株)
白木学社長



(5)「JW・Kプログラム」と命名
   J・ウェルチの期待に、どこまで応えられるか?
 

 先の(3)で案内した「4つの出会い」にあって、特に、通産省の「2025年の崖」は、もう直前に迫った国家的な危機である。また。日本の中小企業は、全企業数の99.7%を占め、生活に密着した財やサービスを提供している。中小企業全体の経営の力が日本の経済を支えているといって過言でない。
 さらに、2023年5月、日本政府は、ウクライナ侵攻で火力発電の燃料費が高騰したことから、来月6月から、標準的な家庭で2078円から5323円の電気代の値上げを認めている。
世界の「火力発電からの」脱炭素問題」という視点からも、「コアレスモー脱却」という視点からも、「風力発電機」は、世界の一般市民の日常生活から大企業の生産活動に広く、大きな関りをもった発明である。
 現在の「コアレスモータ社」は、白木学社長が「コアレスモーター」が本来的に持っている産業基礎機器
として力を具現化することを50年以上に渡って追及してきた、日本の小規模な「中小企業」である。
 ベルヒュード研究会は、白木社長からの話を受けて、20世紀世界一の「CEO」と謳われたJ・ウェルチが.、世界的規模の「G
E社」を中小企業のように経営した」という「
6シグマ経営」の話をした。そして、日本の中小企業「コアレスモータ社」が発明した世界的な「風力発電機」を、ベルヒュード研究会のボトムアップ型「日本版6シグマ経営」で応援するという提案に快諾を戴いたのである。

 そして、このプログラム」を、「Jack・Werch」のイニシアル「JW」と「KJ法」のイニシアル「K」を一体化し、「JW・Kプログラム」とネーミンングすることとした。
 「JW・Kプログラム」は、「世界No.1,2戦略」のもと、社長と社員が一体となって、「顧客の声:VOC」、経営内部の「不良要因:CTQ」をもとに、全社的な「6シグマ戦略課題」を設定し、実行マスタープランを作成し、全社で実行・進捗を管理していく実践プログラムである。
 J・ウェルチは、「日本企業は根底から変わろうとしているが、ホワイトカラーの生産性の低さには目に余るものがある。しかし、頭のよい国には、自分たちなりの打開策が分かっているはずだ。それは生産性の高い、オープンな企業組織をつくることである」と、日本企業への期待感を語っている。
 問題は、ボトムアップ型
「日本版6シグマ経営」のためのプログラムとして、「JW・Kプログラム」の基本構成と各ラウンドにおける具体的な取り組みが、J・ウェルチの期待にどれだけ応えられるかである。



JW・Kプログラム
J・ウェルチの期待に、どこまで応えられるか?