問題解決力のある
M5型組織
づくり

その①
組織には、
あなたの知らない法則がある!


 はじめに
  先がない米企業の指示命令で動く「M0型組織」
  日本企業の協調第一の「M1型組織」にも限界
  M1型組織は
好き嫌いや羞恥心人間の登場で弱体化する!
待たれる
「使命感人間」の登場とその行く末


はじめに

 「6シグマ」は、経営と現場の組織が一体となった全社的な問題解決活動です。「6シグマ」の担い手として、組織はどのような変革をしなければならないか。
 「困った組織と、どうつきあうか」(ダイヤモンド社」をもとに、「M0型~M5型」まで、「6つの組織行動様式」の特徴をまとめました。


6つの組織行動様式M-0型組織
唯我独尊の組織
   組織は「滅私奉公型人間」を求める。 

M-1型組織
 タテマエを善とする組織
  組織は「協調型人間集団」になる。

M-2型組織
好き嫌いが罷り通る組織
組織は「原っぱ型人間」に手をやく。

M-3型組織
  羞恥心人間が登場する組織
 組織は「イチ、オリタ人間」で形骸化する。

M-4型組織
  使命感人間が登場する組織  
使命感人間は、無手勝流故に孤立していく。

M-5型組織
モノの道理を原則とする組織
  組織には「自立型人間」を生かすに道具がある。






 先がない米企業の
指示命令で動く「M0型組織」

■M0型行動
 「M0型組織」は、唯我独尊タイプのトップや上司と、これに滅私奉公的に仕える社員の関係が中心の組織である。
 このタイプのトップや上司にとっては、自分の考えや思いを実現することが一番の価値であり、自らの価値観に基づいて組織全体を厳しく「指示統制」で動かそうとする。彼らは部下を力で支配し、役に立たないと判断した時は、すぐに排除する手段に出る。

 この世界で、中間管理職として力を発揮するためには、トップや上司の期待に応えようと自らも努力し、部下にも努力を強制できるリーダーシップが必要である。


日本企業の
協調第一の「M1型組織」にも限界

■M1型行動
 「M1型組織」では、どんな成果も全体が「タテマエ」や「ルール」をよく守り、協調してがんばって走った結果であるという考え方に立っている。リーダーにとっては、部下が組織の「タテマエ」や「決まり事」に対して忠実であることが重要である。

 「M1型組織」のマネジメントの究極の目的は、成果を上げることよりも部下が「和と協調」を重視し、決めたことや決まったことを横並び的に実行する組織を維持することである。
 部下に「質の高い仕事を効率よくやって成果を出せ」と説いても、従来にないやり方で失敗をさせては、「M1型組織」のリーダーとしては失格である。
 「リスクをおかさせない、冒険させない、失敗させない、上司に迷惑をかけさせない」ための「報告、連絡、相談」による気配りの組織マネジメントができるリーダーが優秀なリーダーである。


M1型組織は
好き嫌いや羞恥心人間の登場で
弱体化する!

■M2型行動
 この組織では、組織の「タテマエ」には無関心で、「好き嫌い」で仕事をする人間が登場する。「好き嫌い人間」は、上司の命令と言っても気の進まないことからは上手く逃げ回るのが得意である。
 本来、誰しも「好きなこと」は「得意なこと」である。「好きなこと」は、あまり苦にせず努力できるし、結果として成果も上げることができるからである。
 
 会社でも、誰もが「好きなこと」が仕事になっていれば、どんなにいいかわからない。ところが、現実には会社で「好きなこと」や「得意なこと」を仕事にできている社員の数は少ない。
 「M1型組織人間」は、嫌なことでも、仕事は本来そんなものだと我慢してやっているし、不本意ながら、嫌々ながら上司にゴマもすっている。そして、成果にはあまり関係なく、誰もが嫌がることを我慢して辛抱強くやっている人間が評価されている。

 会社としては、高い成果を効率よく上げる上で、「好き嫌い人間」を積極的に発掘し、彼らに「好きな仕事」をたくさん用意することにもっと真剣になってもいいと思う。リーダーは、「好き嫌い人間」に対しては、寛容的、肯定的、共感的に接する代わりに、厳しく成果を求めることが許される。
 そのためには、リーダーは部下の想いや興味関心を理解できる感受性や知識や技術も持っていなければならない。彼ら「好き嫌い人間」が、「どんな仕事を、どういう理由で、どうやりたいのか」を単刀直入に迫り、彼らが没頭できる仕事をお膳立できれば、あとは実績で迫るだけである。
 「好き嫌い人間」を戦力化することによって、むしろ、したたかに彼らの上前をはねることができれば、お互いにハッピーである。

■M3型行動

 「M3型組織」は、「羞恥心人間」が登場するようになる世界である。「羞恥心人間」は、「和と協調」の「M1型組織」の世界を漂うように、無感動に生きている人間である。この主の人間には、「リーダーシップ」とか「マネジメント」いう概念は根本から通用しない。
 「羞恥心人間」は、組織からのどんな要請にも反発はしない。上司の「指示命令」や組織の「タテマエ」は認めている、しかし、積極的に受け入れようとはしない。そfれは、彼らにとってはどうでもいいことである。ただ彼らは、内なる「羞恥心」の琴線に触れる場合は、途端に「オリル」という「脱行動」に出る。

 昨今、日本の政治や経済が閉塞状態にある中で、国民は「オリル」という脱行為を通して、日本型社会のシステム転換を求めている。
 最近の国政選挙の投票率は30%台がめずらしくなくなっている。国民は「棄権」によって、今の政治の論点が的はずれであることを指摘している。経済面では、国民の「買え控え」が一向に回復しない。国民は「買え控え」という「脱消費行動」によって、日本経済社会の根本的なシステム転換を迫っているのである。

 「羞恥心人間」には、どんなリーダーも打つ手はないように思われる。必要なことは、原点に戻って、日本が誇ってきた「M1型組織」のどこが、どういう理由でおかしくなってきたのかを洞察し、将来のあるべき姿を探ることである。
 先ずは、変革すべき課題を明確にし、一人一人に使命感を持って問いかける「使命感人間」の出現が待たれる所以である


待たれる
「使命感人間」の登場とその行く末

M4型行動
 M4型組織は、「M0型組織」や「M1型組織」の停滞や頽廃に対して、「高い志と使命感」を持って、自らの想いと理想の実現に「使命感を持って生きる人間」が登場する世界である。

 「使命感人間」は、自らの想いや理想の実現に性急に走る傾向がある。先見性があり、主張が一貫しており、妥協しない、ウソをつかない、言い訳をしない、決断力がある。
 しかし、現実の矛盾を客観的、理性的に分析し、周囲の人間に丁寧に説明し、理解者を増やしていく戦術は、思いようにはいかない。
 「使命感人間」は、危険や失敗を恐れず、発言し、行動はするが、「無手勝流」ゆえに、抵抗派の切り崩しにあい、同調者は漸減し、やがて孤立していく宿命にある。


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