日本版6シグマ
体系

現状把握
ラウンド


 はじめに
「TQC」から「6シグマ」へ
現状把握ラウンド
「顧客の声:VOC、内部不良要因:CTQ」
  整理・整頓、一覧の作成

はじめに

全部門で業務革新に取組む

 製造業では、機械化や自動化が進み、現場作業者の不慣れやミスのために発生する品質問題の割合は小さくなっている。
  製品の競争力は、製造部門の「TQC」というよりは、製品企画や研究開発、設計部門に起因する割合が大きくなっている。
 それだけに、「品質不良」に起因する間接費用のアップ、売上不振や収益性の低さ、悪化、機会損失も含めて、業務の品質不良により発生する「COPQ」は、多岐にわたっている。

 「日本版6シグマ」は、経営方針や目標を受けて、全部門が「業務革新」に取組み、「COPQ]の「6σ」化をめざす、全社的な問題解決活動である。


目に見える
COPQは氷山の一角
 
 「COPQ」は、製品やサービスの提供において、製品やサービスの品質のみならず、関連する業務の品質が不良であったために放出される「無駄なコスト」の全体である。
 研究や開発の段階において、どれだけ研究開発費が予算をオー バーしたか、販売計画がどれだけ未達であったか、クレーム処理のどれだけお金がかかった等、トータル的な視野から損失を金額で換算する。

 一般に発生した不良品の損失や後始末にかかる目に見える形で放出されるコストは氷山の一角に過ぎない。
 はっきり目に見えない形で失われた機会損失やその後の信用回復にかかる費用を含めると、直接的損失コストの3倍から5倍にもなると言われている。

「COPQ」の算定例
  A社は、化粧品や洗剤、食品を広く生産し、顧客に直接販売をしている。どの製品も競争力があり、これまでは顧客からダントツの評判を得てきた。しかし最近、顧客数が増大し、売上も上がるにつれて、苦情や不満に追われる日が続いている。
 顧客からの苦情や不満が少なくなれば、クレーム処理経費も節約できるし、本来の営業の活動に専念でき、もっと販売金額も上がり、利益も出せるはずである。     
 ここに、A社の販売部門が作成した「COPQ」の算出基準がある。
・クレーム発生状況を確認するための営業
 マンの出張費用
・品質保証部門等から担当者を派遣する出
 張費用、同行営業マンの出張費用
・不良品の検査、回収、輸送費用
・不良品の修理、廃棄費用
・不良品の交換費用
・不良品の製造、販売コスト
・社内での連会議費用 


現状把握
「VOC、CTQ」のデータ化、整理

 「VOC(顧客の声)」は、クレームの再発を防止し、顧客満足度を上げ、売上を拡大し、利益を大きくするために、また新製品や新サービスを開発する上で、重要な情報である。
 現実には「VOC」に上手く対応できていない理由がある。つまり、経営や業務システムの欠陥や社員の対応力の弱さ等「内部要因:CTQ(Critical To Quarity)」の存在である。
 このラウンドでは、「VOC」との関連で、個々の「CTQ」を探り出し、「VOC」と「CTQ」をセットにした一覧表を作成する。


パレート図による
「VOC、CTQ」の絞り込み

 A社の品質保証部には、長年にわたって顧客から営業部や顧客窓口に寄せられた「VOC」が整理、蓄積されている。
 昨年一年間のクレーム情報の全体を整理、集計し、件数の多い順に並べた「集計表」や「パレート図」(問題となっているクレーム等を現象や原因別に分類し、件数や損失金額等の多い順にならべ、その大きさを棒グラフであらわし、累積曲線で結んだ図)なども作成されている。
 A社の例では、昨年のクレーム発生件数は全体で648件と大量かつ多岐にわたっている。しかし、パレート図化すれば、クレームの発生状況が良く見えてくる。

 最初の集計表では、「洗顔用石鹸F、受注業務、化粧品U、洗剤B」に関するクレームが多く、全体の半分近くを占めていることがわかった。だが、これだけでは、クレーム解消のために打つべき手が見えてこない。
 そこで、クレームの発生部門別や製品別に、つまりクレームをもっと「層別」して見ようということにした。

 この「層別」は、これまでのTQC活動で、極めて一般的に行われてきたクレーム発生に関する現状把握法である。
 
 A社の例では、「VOC」つまり、「クレーム情報」の層別によって、「洗剤工場」、中でも「洗顔用石鹸F」と「洗剤B」にクレームが集中していることを突き止められた。
 さらに、この2つの製品の問題を解決すれば、「洗剤工場」に関するクレームは、80%以上解決できるという見通しも得ることができた。
 製品別や部門別、工程別等の「クレーム分類基準」で、現実のクレームを層別することによって、問題解決に取り組むべき「VOC」を大きく絞ることが可能になる、
 
 次は、これらの「VOC」に対応できていない理由は何か、経営や業務システムの欠陥や社員の対応力の弱さ等の「内部の不良要因:CTQ」を広くピックアップし、簡潔にデータ化、「VOC」とセットにした一覧表を作成する


 昨今では、VOC」や「CTQ」はデジタル化され、ビックデータ処理によって、より確かな分析がなされるようになってきています。
 「日本版6シグマ」で、先ずは、「VOC」、「CTQ」について、360度の視野からアナログな情報をデータ化し、ビックデータとしての整理を行い、次のラウンドの「6シグマ戦略課題」の設定につなげます。


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