日本版6シグマ
体系

M5型組織への
自律的、継続的
自己変革をめざして


 はじめに
「日本版6シグマ」
のための
「MBO・EBC」

はじめに

 「日本版6シグマ」は、2つの「6シグマインフラ」の整備・運営を通して、組織の自律的、継続的自己変革改革をめざします。
 第1は「6シグマMBO(Management By Object)」の整備・運営です。現場の責任者から担当者まで、「戦略的6シグマ課題:SSP」に関して、各自が実行マスタープランで果たすべき役割を明確にし、その解決に責任を負うとともに、経営は実績を正当に評価し、処遇します。
 
 第2は「6シグマEBC(Evaluation By Core-Competency)」の整備・運営です。経営から現場まで、「6シグマ経営」に関して必要な能力要件「コアコンピテンシー」を明確にし、キャリア形成を支援します。


6シグマMBO

 「日本版6シグマ経営」は、経営が環境変化を正しく把握し、「No.1,2戦略」を踏まえ、「経営方針、目標」を明確にし、各部門と問題意識を共有化する「問題提起ラウンド」から出発する。
 各部門がこれを受けて、「VOC、CTQ」を踏まえ、「6シグマ戦略課題:SSP」を設定し、「6シグマMBO」として、その解決に取り組む。

 各部門の「6シグマMBO」としての
「SSP」の設定から解決までの取組みは、「BSTプログラム」の「現状把握→具体策設定→基本的課題設定→実行計画作成→進捗管理→実績の標準化・維持管理」という各ラウンドを通して「Critical Thinking
Approach」によって行われる組織的な問題解決活動である。

 「SSP」は「KJ法」を使っていくつかの「具体策」でコンセプト化され、「インデックス図解」によって「戦略的6シグマ課題」として設定されるが、経営には確認、承認の責任はある。しかし、その取組みは各部門の現場に100%まかされることが原則である。


6シグマEBC
 「日本版6シグマ」は、この「6シグマMBO」の運営を通して、「SSP」の解決に取組むと同時に、社員が経営と一体となって、自律的に学び、行動し、経営に主体的に貢献する「組織風土」をつくっていこうとするものである。
 

 ボトムアップ型「日本版6シグマ」は、社員に表向きの「従順さ」や「忠実さ」を要求するものではなく、「6シグマで頑張ろう」と問題意識を1つにして、安心して切磋琢磨できる仲間、安心して自分を委ねられる上司、安心して仕事を任される部下といった人と、人と組織、人と経営の関係づくりを、この「2つのインフラ」の整備・運営によって、自立的に、継続的に実現しようとするものである。


日本版6シグマ経営
ジョブ型かメンバーシップ

 今日、余剰労働力のリストラや若い世代を中心に見られる企業に従属しない自主的な働き方が一般化してきている。
 しかし、企業が社員にどんな能力を期待し、社員はどんな能力をアピールしていくのかという、企業と社員の関係のあり方の問題は曖昧なままである。
 この曖昧さが、内にあっては社員の気持ちを不安にさせ、上司や仲間への不信感をつのらせ、志気を低下させている。 
 外にあっては、入社を希望する側の個人と求人をする側の企業との間で、売り込む能力と求める能力について納得のいかない食い違いの問題(ミスマッチ)を引き起こしている。

 「日本版6シグマ経営」では、人材確保に向け、「経営は何を目指すのか、個人に何を期待し、何をどう評価するのか」をサイト等で積極的に公開することになるに違いない。
 その結果、個人としても、希望する企業や仕事に対して、自らの責任とコストで、どんな能力を身につけていく必要があるかを明確にすることができる。



「日本版6シグマ」
が求める
3つの「コアコンピテンシ-」

 「日本版6シグマ経営」では、「SSP」の設定と解決への様々な組みの場面で、社員に期待される能力や行動をもとに、「6シグマコアコンピテンシ-評価表」の準備が求められる。

 第一は、「6シグマ経営」への取り組みにあたって、全体で考え、判断し、行動する「組織行動」である。

 第二は「6シグマ課題」への取組みに求められる、専門的知識、技術・技能としての「テクニカルスキル」である。

 第三は「6シグマ課題」への一連の具体的な取り組みを支援できる「コーチング力」である。
 
 年功序列、終身雇用制度は、日本企業の競争力の源でもあった。しかし今日、その維持が困難になり、企業の人事部は「会社におんぶにだっこはもうダメ。これからどんな仕事について自分を活かしていくか、自分の考えと責任で会社から自立してやっていく時代」と、社員に「キャリア再設計」を勧めるようになってきている。

 現実には、自律的な退職の奨めになっているが、企業は「6シグマ経営」の視点から、リストラ要員の選択基準やアウトプレースメント支援策を従業員に対して説得力ある具体的なものにしていく責任がある。

「6シグマ経営」
における
自己啓発、キャリア管理

 「日本版6シグマ経営」では、「6シグマMBO」による目標管理と「6シグマEBC」によるキャリア設計の制度整備と運営によって、どんな仕事の能力と成果に対して、いくら給料を支払うかをオープンにして行くことが原則である。
 
 社員の側からすれば、「3つのコアコンピテンシー」の評価によって、自らの給料を稼ぐ「能力資産高」を確認するとともに、これからの生活設計に合致した能力資産向上に向けて、自らの責任とコストで自己啓発に取り組んでいかなければならない。

 例えば、給料分の75%の「人的能力資産」しか持っていないという評価になったとする。
 この場合、キャリア開発の視点から、「人的能力資産額」が「現給料」ないし将来の「期待給料」に等しくなるまで、査定値を上げる必要がある。
 そのためには、どの能力要件をどこまで上げるか、そのためには具体的にどのような自己啓発課題があるのか、その一覧が準備されていなくてはならない。

  
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