日本版6シグマ
体系

基本的課題設定
ラウンド


 はじめに
 基本的課題設定ラウンド
KJ法を使って
「SSP」を設定する

はじめに

「具体策」から
「基本的課題」をコンセプト化する
威力を発揮する[KJ法」
 「VOC」と「CTQ」を踏まえ、「何のために、何に、どのように取組むか」について、「具体策」をもとに、基本的課題をコンセプト化し、部門としての業務革新上の「戦略的な6シグマ課題:SSP」を設定する。「日本版6シグマ」でもっとも重要なラウンドである。

 「SSP」の設定で」は、「KJ法」を活用する。ラベル化した「具体策」をもとに、「グルーピング」、「表札づくり」、さらに「グルーピング」、「表札づくり」を繰り返し、最終的に5から6枚程度の表札にまとめ、「インデック図解」を作成する。「6シグマ戦略課題:SSP」の全体的な攻め方を構造的に「見える化」する方法である。昨今では、VOC」や「CTQ」はデジタル化され、ビックデータ処理によって、より確かな分析がなされるようになってきています。
 「日本版6シグマ」で、「現状把握ラウンド」で、「VOC」、「CTQ」について、360度の視野からアナログな情報をデータ化し、ビックデータとしての整理を行います。
 「具体策設定ラウンド」で、「VOC、CTQ」をもとに、360度の視野から広く「具体策情報」をデータ化します。この「具体策データ」は、数が多いと言う意味で、いわば「アナログなビックデータ」ということができます。


デジタル時代も
アナログなビックデータ処理が出発点
 昨今では、VOC」や「CTQ」はデジタル化され、ビックデータ処理によって、より確かな分析がなされるようになってきています。
 「日本版6シグマ」では、「現状把握ラウンド」で、「VOC、CTQ」について、360度の視野からアナログな情報をデータ化し、ビックデータとしての整理を行います。
 「具体策設定ラウンド」で、「VOC、CTQ」をもとに、360度の視野から広く「具体策」をデータ化します。この「具体策データ」は、数が多いと言う意味で、いわば「アナログなビックデータ」ということができます。
 「基本的課題設定ラウンド」では、このビックなアナログ情報をもとに、「KJ法」を使って、「戦略的6シグマ課題:SSP」を設定します。「何を求め、どのようなビックなデジタルデータの処理を行うかも、まずはこの「アナログなビックデータ処理」が出発点になります。
 

第一ステップ
「具体策」のグルーピング


 手元にあるラベルをトランプのように切って、バラバラに並べる。データに対する期待や思いを一旦断ち切る。因果関係や分類的な並べ方をしてはいけない。ただ、何も考えずにバラバラに並べる。
 このラベルで、「どんなことが言えるか楽しみだ」という気持ちを持って。上から悠然と全体を見下ろし、一枚一枚のラベルをじっくり読んでいく。先を急がず2~3回は読む。

 個々のラベルの内容をイメージし、似ているラベルが見つかったら、手を添えて寄せていく。重ねてはいけない。集まったグループを外に持ち出してはいけない。一枚のラベルを手にしながら、似ているラベルを探すという集め方もしてはいけない。自由に考え、いつでもやり直しができるようにするためのルールである。

 一つのグループは2~3枚が原則。全体の3分の2以上がグルーピングできるまで、グルーピングの作業を続ける。グループにならないデータがあっても、そのままにしておく。最終的には、似たような意味合いのラべルが寄せ集められて、いくつかのグループができる上がる。



第二ステップ
表札づくり

 「グルーピング」は、「多分、同じ」と気楽に寄せたり、離したりしながら感覚的に進める作業である。これに対して、「表札づくり」は各具体策に共通した本質的な部分を明確に表現する論理的な作業である。この違いを意識し、「表札づくり」は。「グルーピング」が一通り終わってから取り組むようにする。

 「グルーピング」された個々の「具体策」は、「何のために、何を、どうしようとすることなのか」を読みとる。個々のラベルについて、それぞれ共通した「What、Why、How」の「3つの内容」をはっきりさせる。
 「表札づくり」では、この「3つ内容」を明確に同定し、各ラベルの持つ具体性は捨て、表札は、結局「~ために~を~することである」という本質的な部分を簡潔にコンセプト化する。

 一通り「表札づくり」が終わったら、表札を上にしてクリップでとめ、再度バラバラに並べ、第二回目のグルーピングを行い、同じようにして表札づくりを行う。最後に5~6つ位のグループになるまで、グルーピング、表札づくを繰り返す。


「SSP」
戦略的6シグマ課題の設定

インデックス図解の作成

 最終的に「5~6枚」の表札に集約された「基本的課題」は、本質的に「何のために、何を、どうする」ことなのかを明確にしたものである。各部門が目指すべき「戦略的6シグマ課題:SSP」の全体でもある。個々の具体策は別として、各部門の「SSP」について、全体としてどう取り組むか、その戦略的な取り組み方を「見える化」したものが「インデックス図解」である。

「インデックス図解」の作成手順
①最終的な5~6枚の表札をバラバラに並べ、一
 枚ずつ丁寧に読む。
②中心になる「ラベル」を手元に置いて、関係の

 はっきりしたラベルを探し、どんな関係にある
 かを決める。
③次に関係ありそうなラベルを引き寄せ、同じく
 二つのラベル間の関係をはっきりさせる。
 
④この作業を繰り返し、全ラベル間の関係を決定
 し、配置する。ラベル間の関係は「因果関係、
 相互関係、共通関係、対立関係」の4つのどれ
 かである。ラベルの全体配置は、左右対称にす
 る。



「SSP」設定の基本

①幅広く関心を持つ
 「何としてでも、問題を解決したい」という問題意識を持って、自分の持ち合わせの情報や枠組を越えて、皆が持つ情報やアイデアや知恵に幅広く関心をもって、積極的にラベル化します。
 幅広く関心を持って、あれこれと解決の手だてを広範な視野から真剣にラベル化するエネルギーは、問題意識の強さに比例します。

②情報を独断的にねじ曲げない
  自分が言いたいことを的確にラベル化したり、相手の言いたいことをラベルから的確に読み取ることはやさしい事ではありません。

 特に会社の中では、部下の意見や情報は、上司には不十分にしか伝わらないことが多いものです。
 部下からの情報が、上司にとって都合の悪い場合もあります。躊躇や遠慮があったり、緊張したりして、また伝えたいことが十分咀嚼されていなかったりして、あいまいな表現になっている場合も珍しくありません。
 上司も、自分にとって都合の悪い情報に出くわすと、「君、そんな事はあり得ないよ。本当はこういうことなんじゃないか」等とねじ曲げてしまいがちです。
 
 ラベルが言わんとして情報をねじ曲げてしまうということは、自分にとって未経験なことや一面的な理解しかできていないことに対して、独りよがりの見方や考え方を、部下に押しつけていることになります。
  

③情報の不十分さを補う
 部下とのコミュニケーションでは、上司はフランクな雰囲気で、むしろ思い切って謙虚になる姿勢が大切です。
 「君の言いたいことは、こういうことかな。こんな理解でいいかな。僕はこう思うけど、君はどうかな」、「いや、そうじゃないんです。こういう事なんです」というように、双方が確認を取りながら、対話を共振させれば、表札づくりで、相互に納得のいく合意を得たり、新しい発見をすることが容易になります。
 
④情報を弁別する
  情報については、よく「価値のある情報」、「価値のない情報」という分類的な言い方がされます。部下が顧客から取ってきた情報や部下からのアイデアや提言等、多くの情報が「平凡だ。こんなことは分かり切っている。おかしい、こんなはずはない」等という上司の評価で乱暴に棄てられてしますことが多いものです。
 
 表札づくりでは、似たようなラベルでも、本来、個々人の問題意識や価値観でラベル化された情報として、情報が持っている微妙な可能性やチガイを積極的に明確にします。

 集めた情報、集まってきた情報、寄せられた情報を大事にするが原則です。イマジネーションを働かせ、一個一個の情報の意味合いを率直に丁寧に受け止め、きびしく内容を認識する姿勢が大切です。

⑤本質を引き出す  

 部下が持ってきた情報の本質的な部分を見ようとせず、粗末に扱ってしまうというのには理由があります。情報の本質をベールのように覆っている具体的なものに関心が行ってしまうからです。
 一般に、クレーム情報と言えば、どんなクレームがどれだけあったか、顧客別やクレーム種類別に分類し、数字やグラフで表すといった仕方がなされます。 
 このような「分類、分析」という処理方法は、情報の具体的な部分しかみていません。情報の具体的な部分を棄てれば、後に残るものは何か。顧客にとって、なぜクレームなのか、顧客は何を問題にしているのか等、本質的な意味を議論することで、「ラベル」の持つ使命を共有することができます。

⑥情報を同定する
 一つ一つのラベルの情報に共通した本質を見抜き、「表札」にするプロセスを「同定」と言います。
 上司と部下の関係で言えば、部下の意見や考え方、情報を一つ一つ弁別し、自分の意見や考え方、あるいは自分がこれまで経験したり、体験したりして得た情報と共通点があることを発見し、その共通点を明確にし、共有化するという一連の対話のプロセスに通じるものです。
 
 少々ミスがあったり、手間取ることがあっても、上司は部下に仕事を任せています。上司は部下を本質的なところで信頼し、「部下は基本的なところでは、自分と同じだ」と「同定しているからではないだろうか。

 「表札づくり」は、個々の「具体策」のラベルの意味を探り、隠された使命としての本質的な意味を引き出し、結局、「何のために、何をどうしなければならないのか」という、共通した行動の本質的な部分をステートメント化し、共有しあうプロセスです。


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