ボトムアップ型
「日本版6シグマ」の提案

J・ウェルチの
「6シグマ経営」に学んで!


ベスト・プラクティス運動で
広まった「6シグマ経営」

 アメリカ企業の「6シグマ」は、1979年、日本のポケベル市場に参入しようとした通信機メーカのモトローラ社が、日本のメーカと比較して自社の不良率の高さに驚き、品質改善活動に懸命に取り組んだことが発端になった。
 その後、「6シグマ」は品質改善のための「問題解決活動」として、成功した他社から学ぶ「ベスト・プラクティス運動」の流れに乗って、テキサス・インストルメント、IBM、アライドシグナル等、従来型大企業を中心に暫時広がりを見せ、アメリカの「モノづくり復活」につながっていった。
 
 中でも1995年、GE社のジャック・ウェルチが導入を決意し、「GE版」とも言うべき「6シグマ」を展開し、大きな成果を上げ、世界でもっとも尊敬される経営者として評価されるに至った。「6シグマ」は、ジャック・ウエルチの成功によって、世界各国に一気に知られる結果になり、欧州企業やアジア企業にも広がっていったのである。

あらためて、「6シグマ」とは? 
 「6シグマ」とは、統計学上の概念である「標準偏差:σ」の6倍の範囲内に品質のバラツキを押さえようとする考え方である。
 「ものづくり」で言えば、これまでの3σ、つまり歩留まり99.73%という品質管理レベルを、6σ、つまり99.99966%、「100万個中、不良品を3,4以下に押さえる」というレベルにまで改善しようとするものである。

「6シグマ」の基本 
①製品やサービスに対する「顧客の声:VOC(Voic
 e Of Customer)」を重視し、
②製品やサービスの品質不良に関わる各部門の「内部要
 因:CTQ(Critical To Quality)」を明確にし、
③業務の改善、革新課題を設定し、解決することによっ
 て、業務不良や製品・サービス不良の発生を「6σ」
 レベルに押さえ、
「顧客満足:CS(Custmer Satisfaction)」を実
 現し、

業務不良や製品・サービス不良が原因で発生する「無
 駄なコスト、機会損失:COPQ(Cost Of Poor
 Quality)
」を極小化する。

J・ウエルチの「6シグマ経営」に学ぶ

 今日、日本企業の国際的な競争力は、急激に失われている。特にビジネスの効率性は、世界で50位以下と低迷が続いており、国家的危機という状態にある。
 日本企業は、今後何にどう取り組むべきか。アメリカの21世紀の産業界復活の力になった「J・ウエルチの6シグマ経営」に率直に学ばなけれならない。

 それは、次の2つを両輪とした「トップリーダーシップ型6シグマ経営」である
①「People Out」
 「M1型からM5型」への組織モデルの転換
②「Work Out」
 「No.1、2戦略」を踏まえた既存事業での生き残り
 と新規事業の開発に賭けた「STプログラム:DMAI
 C」による問題解決活動

 ジャック・ウェルチの「6シグマ経営」は、この2つを両輪とした取組みを通して、業務を革新し、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、多様な人材が生き生き仕事ができるフラットで創造的な「M5型組織」をつくるというものである。 





6シグマ経営こそが
今日の新ビジネス創出の道筋をつくった!

 アメリカは80年代、日本の追随を受け、構造的不況に陥っていた。しかし、85年から95年にかけて、生産性向上のための経営改革に必死に取り組み、急激な立ち直りを見せている。
 中でも、従来型大企業の対応が顕著であった。それは、日本企業との品質管理競争に破れ、構造不況に陥った80年代以来、モトローラ社をはじめ従来型大企業が中心となって取り組んだ品質管理面からの「顧客の声:VOC」の重視を第一とした業務革新、すなわち「6シグマ経営」への戦略転換であった。
 この「6シグマ経営」こそが、コア技術を中心に製品やサ-ビスを特化し、世界レべルの事業へと強化するとともに、世界の多様化し、個別化していく市場ニーズに対応し、多くの新ビジネスを創出する道筋をつくったのである。

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