日本版6シグマ
関連書籍の紹介



シックスシグマ・ブレイクスルー戦略
 ダイヤモンド社
 マイケル・ハリー
 リチャード・シュローダー

ウエルチ勝者の哲学
 PHP
 スチュアート・クレヘイーナー

ウエルチの戦略ノート
 日経BP社
 ロバート・スレーター


 「6シグマ」とは、どんな特質、特徴をもった経営手法であろうか。「6シグマ」は、79年モトローラ社で誕生し、暫時広がりを見せ、95年、GE社のトップ「ジャック・ウエルチ」も導入を決意し、「GE版6シグマ」ともいうべき展開を図り、大きな成果を上げた。
 この成功で、ジャック・ウエルチは世界でもっとも偉大な経営者として評価され、「6シグマ」の存在も世界に一気に知られる結果になった。
 
 経済の低迷が長期化し、日本企業の国際的な比較でみた生産性の低さが問題になっている。80年代、同じように構造不況に陥ったアメリカは、従来型大企業の再生とベンチャー企業の創出によって、再び世界市場を支配するリーダーの地位を取り戻すことができた。
 アメリカ産業界の復活は、100回に3.4回程度のミスしか許さない品質管理レベルを追求する、これら企業の「6シグマ」を中心とした真摯な「ベスト・プラクティス」運動(成功した他社から学ぶ)によってもたらされた言われている。
 
 日本でも、この「6シグマ」を紹介する著書が多数出版され、ジャック・ウエルチの経営手法や哲学の解説書も高い評判を呼んでいる。日本の企業が学ぶ上で、手っ取り早く全体の手順を体系的に理解できる著書が望まれるところである。しかし、今のところ、これと言った著書を特定することは難しい。
 そこで、何冊かの著書を選択し、個々に読み込んだ上で、皆さんの企業の現状や課題を想定しながら、関心が持てた部分を集め、「ジャック・ウエルチの『GE版6シグマ』は、結局こういうものではないか」と、皆さん自身で大胆に再構築してみる読み方をおすすめしたい。  


ウエルチの戦略ノート」の冒頭では、ジャック・ウエルチの次のような考え方が紹介されている。
 「1970年代、80年代に米国の産業を事実上没落させてしまった戦いの後でき上がった『指令統制型』の組織構造を葬りさらなければならない。意思決定にかかわるメンバー全員が同一の事実認識を正確に共有できるようにすれば、懸案事項の解決策について、全員がほぼ同じような結論にたどりつく。だからビジネスは単純なのだ」

 これまでIT時代の「組織のモデル化」と「組織的問題解決技法の体系化」という二つのテーマに取り組んできた私にとって、こうした冒頭の書き出しには、大変新鮮な感動があった。

  「シックスシグマ・ブレイクスルー戦略」では、「6シグマ」の本来的な全体像を把握することができる。その上で、「ウエルチ勝者の哲学」と「ウエルチの戦略ノート」の2冊を読めば、なぜジャック・ウエルチはGEの経営革新のために「6シグマ」を導入し、どのような展開を図ったのかをトレースできる。
 
 ジャック・ウエルチの「GE版6シグマ」は、世界でナンバーワンかナンバーツウの競争力を持つ事業に特化する「NO.1,NO.2戦略」が出発点であり、その目標の実現のために、経営トップと価値観を共有化できる人間や組織を重視する「People Out」、そして問題を解決するために業務を革新的に改善していくツールや武器を重視する「Work Out」が両輪になっているということも理解できるはずである。 

  そこで、私もこれらの著書を熟読し、「6シグマ」に関連する項目を一旦バラバラにして、日本企業の経営革新に有効な「日本版6シグマ」というものを構築することを試みることにした。日本企業の実態に即した「People Out」と「Work Out」のプログラムからなる「ソリューションテクノロジー:BSTプログラム」に裏づけされた「日本版6シグマ」の体系化である。
 
 日本の企業はグローバルな低価格競争時代にあって、研究、開発、製造、営業のあらゆる面での世界に通用する競争力を最適の『QCD』で解決できる力をつけて直さなければならない。しかし、徒手空拳では無理。武器が必要である。「日本版6シグマ」は、そうした武器に裏付けされた日本企業の経営革新のための組織的な問題解決活動と位置づけることとしたい。


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