「寿よごと)辞」
私たちの浜通り。
100年の記憶と3年の記録
大工・植田家と浪江町の歩み
 
書評・推薦

 写真集「寿辞」を開いて、福島県浜通りの3年の記録の写真を拝見するに、今も尚この様な光景が残っていることに、何とも言えない気持ちにさせられました。写真テクニックの効果もありますが、想像だにできない悲惨な状況に、あの3.11の地震、そして津波の大きさを再認識させられました。
 自然災害は困難ではあるが、人々の努力の継続で復興するでしょう。しかし、原発災害の悲惨さは、今も目に直接は見えない状況の中で、写真の中の風景を通して感じる程度しか解からない。住民が元の地に住める日は何時になるかと思うが、「早く復帰して欲しい」と願うだけの無力さを感じました。特に美しい風景を見れば、3年前のにぎわう人の声が聞こえそうで、余計そう思うわけです。
 報道では状況が特に「動画」で放送されることが多く、一般に画面から受ける感情が記憶に残る時間は短い。しかし、いい「写真」は見る人の想像も膨らませて、人々の感情を長く伝えてくれる。「寿辞」の写真の大半は、そうした感情を伝えてくれるものばかりです。写真を趣味にしている私には、構図、露出などの技術的な面でも非常に参考になりました。最後に、写真は記録として残りますが、一日も早く、写真が伝える風景の悲惨さが人々の生活から消える日を願ってます。(
2015.1.11 新谷輝雄)


 「フクシマ復興応援ネットワーク」の事務局を一緒につとめて戴いている浪江町出身の植田孝正さんが、実家のウエダ建設が関わった神社仏閣・建造物が地震と津波で受けた被災状況、原発事故で無人の村や町となった故郷の姿を記録に残し、後世に伝えることは私どもの使命だとして、このたび写真集「寿よごと)」を上梓しました。
 
 植田さんは「この大地震・大津波・原発事故とは何だったのかを、私たちなりに改めて考えようと意図した。福島県浜通りの一企業、一家族の記録だが、浪江町はもちろん福島県を故郷とする人々とこの思いを共有でき、多くの皆様の未来のために役立つならば幸いです」と述べています。
 まさに、「私たちの浜通り。100年の記憶と3年の記録」として、これからを生きる浪江町のみならず近隣の村や町の皆さんにも広く共有していただきたい内容だと思います。

 「写真集」では、植田家フアミリーの皆さんの生き生きとした姿を留めたセピア色の古写真とともに、植田家の5代にわたる建設業の生業を通して地域の文化を守り、近代化の一翼を担ってきた歴史が映し出されています。私どもには、「植田家の過去への感傷を超えた、フアミリーとして再び結束し、生きる光明を見出そうとする思い」が伝わってきます。
 
 原発被災者にとって何よりもつらいことは、故郷を失い、家族、親戚、隣近所の皆さんと離散を余儀なくされてしまったことです。あらためてこれまでのフアミリーとしての、コミュニティとしての歩みを振り返り、これからの生活再建に向け、思いを一つにしたいものです。
 そこで植田家の「写真集」にならって、私達も身内、親戚、近隣の皆さんに呼び掛け、散在している「古写真」を広く収集し、パソコンを使った簡便な方法で、地域社会をともに生きてきた「フアミリーの歩み」を記録に残すことを提案したいと思います。これまでのフアミリーとしての、コミュニティとしての歩みを記録する作業を通して、生活再建に向け、皆さんと思いを一つにすることこそが、明日の希望と安心への一歩につながると確信するからです。 
 
 植田家の「写真集」は、私達のこれまでの歩みを振り返り、記録として残す上で、大変参考になるものです。「フクシマ復興応援ネットワーク」として、皆さんにこの「写真集」を是非ご覧いただき、これからの生活再建への一歩に向けた「フアミリー史」のまとめに役立て戴き度、推薦申し上げます。(井上)


写真集のご案内
寿辞
1冊 3024円(税込)

詳細は下記に、TEL、FAX、メールで
出版元
新宿書房

TEL:03−3262−3392
FAX:03−3262−3393
メール:info@shinjyuku-shobo.co.jp
〒102−0073 東京都千代田区九段北1−8−2


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