フィンランド旅行記
森と湖と白夜、音楽
そして親切
第8回

オウルからバスでLiminkaサンクチュアリへ
ビジターセンターで野鳥観察

6月27日(水)
これまでの眩しい北の空と日差しは一転、霧から曇り、そして雨になった。
そこで一句。
"キンポウゲ Ouluの雨は目に優し"

気温13℃。サンクチュアリではパーカーを着るほどだった。Lapland地方では雪が降るだろうとの予報だ。
駅の裏のバスプールから9時35分のLiminkaへ行くバスに乗る。同じバスに乗ったおばあさんがしきりと話しかけてくれるのだが、フィンランド語で全くわからない。
二人で地図を見ながら「ビジターセンターはLiminkaからかなり離れたMikkolaだから歩くのは無理だね、タクシーでもみつけようか」などと話していたのだが、Liminkaに着くと反対側にバスが停まっていて、おばあさんはそれに乗り込み、運転手やいあわせた若い男性と何やら話していた。すると、若い男性が僕らに向かって「サンクチュアリへ行くんですか」と聞いてくれ、「それなら、このバスに乗りなさい」と云ってくれた。

運転手にバス料金を払おうとすると、「あの若い男に云ってくれ」という。バスはひらけた牧草地や農地の中を走ってゆく。10分ほどすると、若い男性(どうやら車掌だったようだ)は、ぼくらに「もうすぐです。ほら、あの建物がビジターセンター」と教えてくれた。バス代(2ユーロ)についてたずねると、「いいんですよ。日本へゆけば同じでしょう。」といって受け取らない。まけてくれたみたい。バス停は吹きさらしで周囲にはなにもない所で、キンポウゲだけが風にゆれていた。このような助けがなかったらと思うと、有り難さが身にしみた。

ビジターセンターは簡素な木造の建物で、中にはレストラン、展示室、教室などがあり、インストラクターが常駐している。
腹ごしらえをしてから、帰りのバスの時間(午後はたった1本しかなかった)をインストラクターに確認してもらった後、ガイド(120ユーロ)を頼んだ。

まず教室のスクリーンを使ってLiminka湾へくる鳥たちのビデオを見せての説明。「今年は夏が遅かったので、普段ならもっと北へ渡っているはずの鳥が留まっていたり、雄鴨どおしがメスを争う様子がまだみえますよ」という。
木道を歩きながら「春先に嵐があって、凍っている湿地が浪で持ち上げられ、氷の破片がすごい勢いで飛ばされたので、ここらの小さい木々はみな倒されました。それでこの辺はすっかり芦原になっています。ほら、遠くに赤い屋根の小屋がいくつも見えるでしょう。あれは個人が所有する釣りや狩猟のための小屋なのですが、それもずいぶん壊れました。サンクチュアリの土地のほとんどは私有地で、鴨猟なども禁止されてはいません。」とのことだ。

彼はさすがで、観察小屋(写真)からスコープと双眼鏡を使っていろいろな鳥を見せてくれた。オジロワシが鴨の泳ぐ上を旋回している。鴨があわてて飛び立つ。遠くの水辺の茂みにはツルの親子の首が出たり隠れたりしている。チドリが向かい風に乗って滞空飛行している。うしろに伸びた二本の足がかわいい。かなりの数のファルコンやハリアー(鷹類)がハンティングのためにわらわらと飛び交っている。
Ouluに帰り着くと本降りになった。早足でホテルに帰り、熱いシャワーを浴びてホッとした。スリリングな一日だった。


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