「反日」路線が破綻か
韓国朴政権
2015
市政8月号
(全国市長会)

 就任してからずっと約2年半も、「反日」路線を突っ走ってきた韓国の朴槿恵大統領がついに、安倍晋三首相との首脳会談に応じざるを得なくなったようだ。同大統領はこれまで、歴史認識や慰安婦問題で日本側が韓国の主張を受け入れなければ、首脳会談はないと言い張ってきた。だが、内外からの強い批判を浴びて、現在、面子だけは保ちながら、窮地を脱する出口を探っているようだ。
 歴史問題で共闘していた中国の習近平主席はすでに、安倍首相と2回も首脳会談に応じ、朴大統領は梯子を外された格好だ。過去にばかり捉われているからだ。大統領職の任期がほぼ折り返し地点にある現在、こんな情勢から支持率は就任以来最低(6月第3週=29%)を記録、早くも「死に体」との声もあるほどだ。 


50周年式典が契機に
 こんな兆が鮮明になったのは、6月22日に両国の首都で開催された国交正常化50周年式典に際してのことだった。これは1965年に調印された日韓基本条約を記念するもので、この条約で両国関係の正常化、互いの国家、法人、個人の財産、請求権の一切の完全かつ最終的な解決が確認された。これと引き換えに、経済協力金として総額8億ドルが韓国側に提供された(当時の韓国予算は3.5億ドル)。

 この歴史的な式典への朴大統領の出席如何に大きな関心が集まっていた。両国関係が厳しい緊張状態にあったからだ。

 特に、「明治日本の産業革命の遺産」の世界文化遺産登録問題が直前の大きな障害となった。韓国はこれらの遺産の一部について、戦時中に民間人の強制労働があったとして、登録に反対していた。式典を控え、尹炳世外相が登録委員会の議長国のドイツなどを歴訪、登録阻止に奔走した。

 だが、韓国は登録委員会のメンバー諸国の反応を読み切れず、結局は日本側との手打ちに踏み切った。
 この結果、尹外相は式典の直前に訪日、岸田外相との会談で@世界遺産登録で両国が協力するA日韓首脳会談の開催で努力するB記念式典に両首脳が出席する、ことなどで合意、式典はスムースに進行した。世界遺産問題も円満に政治的決着が付き、両国首脳会談開催への期待が高まっていた。
 ところが、7月初めの登録委員会の会議では、韓国側が「強制労働」問題をめぐって攻勢を掛け、日本が事実上譲歩して玉虫色の表現に同意、やっと決裂は回避された。だが、この表現は余りにも曖昧で、韓国の出方次第では今後に火種を残す格好となった。

苦境の朴大統領
 朴政権の外交政策は、「反日」と「対中傾斜」を特徴としてきた。「反日」の道具に利用したのは、とりわけ慰安婦問題だった。明確な証拠もないのに、日本軍が婦女子を強制的に連行して慰安婦にしたと主張、日本政府に謝罪と賠償を求めている。

 だが、朴政権の「反日」路線は日本との関係を悪化させ、これが韓国の経済をどん底に陥れている。今や、日本では嫌韓ムードが一般家庭にまで広がり、一昔前の韓国ブームはなくなった。日本人の韓国旅行も激減、ソウル市内の日本人向けの土産物店は開店休業状態だ。

 また、朴大統領の就任式直後に始まった日銀の異次元金融緩和で、円安が進行。韓国はそれまでウォン安を武器に日本製品を圧倒してきたが、逆転回転し始めたのだ。競争力の衰退で輸出が不振を極め、サムソン電子や現代自動車など財閥企業の輸出は低迷。財閥頼みの韓国経済は今や破綻寸前とか。

 それに、昨年の旅客船セウォル号の沈没事故、今年の中東呼吸器症候群(MERS)感染の拡大に加え、首相の交替が相次ぎ、朴大統領への国民の不満は高まるばかりだ。

対中傾斜にも不安の種
 対中傾斜路線にも不安が芽生え始めている。朴大統領は就任直後の2013年5月に訪米、次いで6月に訪中した。歴代大統領はまず米国、次に日本というのが慣例だったが、これを破ったのだ。習近平主席は大いに喜び、「反日共闘」で合意した。これも、強い者に仕えるという、韓国の伝統的な外交、いわゆる事大主義を地で行ったわけだ。

 お蔭で、当初は対中貿易や投資が大幅に拡大、中国人観光客も激増し、日本を見限り、中国に乗り換えた成果に大喜びしていた。だが、そこに落とし穴があった。中国とは経済、国防は米国に頼り、日本はうまく適当に利用する(「用日」)という方程式に誤算が生じたのだ。

 中国の攻撃的な海洋進出が主要な原因だ。中国は現在、南シナ海で岩礁を埋め立て、要塞化し、一帯の領有権の主張を補強する既成事実の積み重ねに躍起だ。これに米国が怒った。放置すれば、中国は南シナ海一帯に領有権を確立し、航行の自由を制限し、防空識別圏の設定までやりかねない。そこで、米国は対中姿勢を一段と硬化させた。

 これが中国と組んだ韓国に跳ね返ってきた。オバマ政権は韓国の「反日」路線への同情的な態度を翻し、不快感を表明するまでになった。中国の攻勢阻止のために、集団的自衛権の行使を認めて、自衛隊による米軍支援を可能にすることで日米同盟を強化しようとする安倍政権と意気投合したのだ。

 それに、米国の要請を蹴って、中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)の創設に参加したり、米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)の配備依頼を中国に遠慮してたなざらしにしていることに、米国は朴政権への不信感を一層強めるようになっている。

 しかも、最近の中国経済の成長率は7%を切り、いつバブルがはじけるか分からない。中国傾斜は韓国のお荷物になりそうな気配で、朴槿恵外交は大きな曲がり角に立っている。(7月4日)


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