多くの主要国首脳が選挙の洗礼

市政12月号
(全国市長会)  

今年は、中東・北アフリカ地域の民主革命の嵐で話題は持ちきりだったが、来年は世界中の主要諸国首脳の交代如何が大きな関心を集めることになりそうだ。国民の審判次第では、主要諸国の首脳が交代して、新しい顔ぶれが登場してくる。その結果、日本を取り巻く国際的な環境にも微妙は変化が起こるかもしれない。来年はこういうわけで、今年を特徴付けた一連の民衆蜂起の激震に続く余震と並んで、新たに、主要諸国のトップの相次ぐ選挙戦が世界中で注目を浴びることになる。
選挙の洗礼を受ける予定になっているのは米国、ロシア、フランス、それに、少し事情は異なるが、中国などである。日本にとってとりわけ重要な存在の韓国と台湾でも、トップの選挙が実施されることになっている。 


苦戦のオバマ米大統領

米国の大統領選挙は年明け早々から予備選挙がスタートし、民主、共和両党で勝ち残った候補の一騎打ちとなる本番の選挙は11月初めとなる。

現職の民主党のオバマ大統領は史上初のアフリカ系大統領だ。大統領は二期8年間務めることが可能なので、オバマ大統領は業績を背景に、再選を目指す。過去30年間の歴史を振り返ると、レーガン(共和)、クリントン(民主)、ブッシュ・ジュニア(共和)各大統領が再選に成功したが、ブッシュ・シニア大統領(共和)だけは再選に失敗、一期4年で終わった。

選挙の帰趨を決めるのは、やはり、国民生活に直結する経済状態如何だ。ブッシュ・シニアの場合は、後講釈の批判はあるが、投票当時の米国経済の低迷が命取りになったとされている。

来年の選挙を眺めると、米国経済は2008年の米国発の世界金融危機以来、未だに病み上がりの状態で、失業率もほぼ9%と高止まりしている。大きな期待を受けて登場した異色のオバマ大統領だが、人気には陰りが見え、再選には苦労しそうだ。

ただ、相手の共和党は人材不足で、結局はオバマ再選だろうとの見方もあり、開票が済むまで見極めがつかないといった可能性もある。

フランスは4月が大統領選だが、サルコジ大統領に対する最有力の挑戦者は最大野党、社会党のフランソワ・オランド前第一書記(57)となる。最新の世論調査では、社会党の支持率がトップで、オランド氏とサルコジ大統領の激選が予想される。


中国は習近平氏がナンバーワンに

台頭著しい登り龍の中国でもトップの交代がある。一応、党大会で選ばれることになっているが、党内の力関係で既に事実上決定済みの人事をそのまま承認するだけのことだ。

国家主席と党総書記を兼ねる胡錦涛氏の後を継ぐのは習近平国家副主席で、秋の第18回党大会で公式に決まる。これに従って、首相のポストは温家宝氏から李克強中央政治局常務委員に引き継がれる。

この人事が事実上決まったのは2010年秋の党中央委員会総会だった。習氏が軍の最高指揮権を握る党中央軍事委員会の副主席に選出されたからだった。この結果、習氏はそれまでに手にしていた国家副主席、党中央政治局常務委員のポストに加え、軍権を握るナンバー2の地位を確立したと判断されたのである。

胡錦涛主席は引退後も、党中央軍事委員会の主席のポストは保持して、軍の力をバックに党内に睨みを利かすことになりそうだ。

習近平時代の到来で、中国がどう変わるのか、秘密に包まれた国だけに、おいそれとは分からない。だが、党の高級幹部を親に持ついわゆる太子党の一員の習氏は、上海閥の親分である江沢民前総書記の影響下にあり、中国の対日政策が一段と厳しくなるとの見方が一般的だ。日本はしっかりした安保戦略に基づいて断固とした対応が求められるところだ。


プーチン首相が大統領に復帰へ

ロシアでもトップ交代が3月の選挙で起こりそうだ。すでに、発表されているように、メドベージェフ現大統領は首相、プーチン首相は大統領にそれぞれ立候補と、ポストの交換で合意したのだ(11月号参照)。プーチン氏の大統領返り咲きには批判の声も強いが、与党「統一ロシア」の人気の高さから見て、当選は間違いないようだ。

プーチン首相はポスト交代の発表後、まず訪中しており、中国と組んで、欧米諸国に対して強硬姿勢で臨むのではとの懸念がくすぶる。野田政権が右往左往するようだと、北方領土問題にも揺さぶりを掛けて来るかもしれない。


台湾、韓国もトップの選挙

中国との付き合い方でもめる台湾は1月中旬に総統選挙がある。前回は対中融和を売り物にして勝利した国民党の馬英九総統は、対中関係改善で経済的な繁栄を台湾にもたらした。だが、その恩恵に浴しているのはほんの一部に過ぎない上、特に、10月半ばの同総統の「中台和平協定」発言を受けて、台湾が中国の統一工作の陰謀にはまり込んでいるとの不信感が広がる。

これに対して、野党の民進党は蔡英文主席(女)を立てて、総統職の奪回を目指し、頑張っている。ただ、陳水扁前総統の汚職事件も響き、苦しい。

他方、韓国では年末に大統領選挙がある。再選禁止のため、非現職の候補同士の対決となる。保守派の李明博大統領(ハンナラ党)は北朝鮮に強硬姿勢で臨み、経済は一見好調だが、内実は厳しいようだ。

今年10月末のソウル市長選で、野党統一候補の市民運動家がハンナラ党候補を破っており、大統領選への影響が気になるところだ。(11月2日)


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