「反日」にのめり込む朴大統領
韓国
2013
市政9月号
(全国市長会)
 


韓国の朴槿恵大統領が就任直後から、「反日・親中」路線に転換、日本側をびっくり仰天させている。昨年末の大統領選挙中には、対日政策に関して、リベラル派の野党候補が中国と連携する形で、竹島や慰安婦問題で強硬姿勢を打ち出したのに対して、保守系の朴候補は未来志向の重視を正面に据えていた。激戦の末、朴候補が勝利した結果、日韓関係は概してスムースに進展、改善の方向に向かうだろうというのが大方の見方だった。特に、朴大統領は戦後の日韓関係を正常化した朴正煕元大統領の長女であり、戦前の陸軍士官学校を卒業して日本との関係の深い父親の手元で帝王学を学び、日本の良き理解者だと日本人の間では思われていたのだ。それが、大統領になるや突然の「大変身」、未だに安倍首相との首脳会談も開催されず、日韓関係は最悪の状態だ。


歴史認識で首脳会談拒否

両国関係はそれまでに微妙な状態にあった。昨年8月、李明博大統領(当時)が島根県の竹島に韓国大統領として初上陸したのが契機だった。しかも、その直後には、李大統領が天皇陛下に謝罪を要求したとの発言が伝わり、両国間に一気に緊張が走った。その後、保守派の朴大統領が誕生、関係修復への期待が高まっていた。

ところが、今年4月後半、尹炳世外交相が訪日中止を突然発表した。麻生副総理ら安倍内閣の閣僚が靖国神社を参拝したことが理由だった。その伏線となったのは、朴大統領の2月末の就任式に出席した麻生副総理が直後の会談で行った発言だったとされる。同副総理は朴大統領に対して、「同じ国、同じ民族でも歴史認識というものは一致しないものだ」と指摘したというのだ。歴史認識は絶対的なものはなく、それが異なるからと言って、一方的に相手側を断罪すべきではないという意味だと言われている。至極当然のことのように思えるが、朴大統領は腹に据えかねたようだ。

日本外し狙う

その後は、同大統領のヒステリックな対日批判行脚が始まる。五月初めの大統領就任後初の訪米では、オバマ大統領との首脳会談の中で、「日本が正しい歴史認識を持たなければならない」と直談判。これに、オバマ大統領は「米日韓の協調が大切」と応じ、事実上同調を拒否したとか、黙って無視したという話がある。また、米議会での演説の中でも名指しは避けながらも「歴史に目をつぶる者は未来が見えない」「域内諸国の経済的力量と相互依存は日々増大しているが、歴史に始まる葛藤は深まっている」と指摘、暗に日本を非難した。首脳会談や外国の議会演説で、第三国を非難することなど、常識外れも甚だしい行動だ。

さらに、韓国の歴代大統領は米国の次に日本を訪問したが、朴女史はこの慣例を破り、6月末には何と北京に出掛けた。歴史認識と領土問題で韓国を取り込む機会をうかがっていた習近平国家主席は欣喜雀躍、迷い込んだ小鳥を下にも置かぬもてなしだった。感激した朴大統領は、朝鮮戦争で北朝鮮を支援して韓国に侵攻した中国への怒りはすっかり忘れ、逆に対日共闘を持ち掛けたのだ。この結果、共同声明に「歴史問題で域内の対立と不信が深まっている」との、日本批判の一節が盛り込まれた。

朴大統領はそのお返しに、北朝鮮の非核化の問題で、「朝鮮半島の非核化」との表現を受け入れた。これで核がないはずの韓国に、核が存在するかのような印象を与えた。米国もさすがに苦虫を噛み潰していることだろう。他方、中国は北朝鮮の名指しをうまく回避でき、満足顔だ。北朝鮮は金正恩第一書記よりも先に、中国が不倶戴天の敵の韓国の朴大統領を北京に招請したことに強い不快感を抱く。中国はこれで、北朝鮮に恩を売り、ご機嫌とりができるということだ。

朴大統領はさらに、対北戦略もこれまでの「日米韓」から「米中韓」連携に軸足を移して、「日本外し」を狙っているらしい。だが、身の程知らぬ朴大統領の申し出に、米中とも理由は違うが、おいそれと乗るような気配はない。

焦ることはない
韓国からは、様々な反日報道が流れてくる。朴大統領は訪中の際、何と明治の元勲、伊藤博文韓国統監をハルビン駅で暗殺し、韓国で今も英雄視される朝鮮独立運動の活動家、安重根の記念碑の設立を習主席に依頼したという。中国としては、こんなことを認めては、国内の異民族のテロ行為を奨励しかねない。迷惑この上ない話だろう。

また、韓国の裁判所で、日本統治時代に韓国人を徴用した日本企業に賠償を命じる判決が相次いで出されている。この問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に」解決済みで、韓国政府もそのような解釈だ。もし、差し押さえなどに発展すると、日韓関係は大混乱に陥るだろう。韓国では、裁判所までが歴史認識の論理に影響される有様で、法治国家の体をなしていないのである。

朴女史の変身については、独裁者の朴正煕元大統領の娘とあって、贖罪意識にさいなまれ、反日を一層エスカレートさせることが政治的に得策との判断なのだろう。大統領としては近視眼的だが、これが彼女の限界なのか。

こういう状況の中で、内外から日本は中韓との関係修復が必要との指摘がなされている。だが、歴史認識を無理して合わせてまで、両国におもねるのは、後世に禍根を残すだろう。相手側は自分の蒔いた種に苦しむ日も遠くないだろう。少しずつだが、軟化の兆しも見える。日本政府は対処を焦らず、アベノミクスで日本の復活に全力を傾注すべきだろう。(8月4日)


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