オバマ米大統領が再選に成功
2012
市政12月号
(全国市長会)
 

再選を目指す民主党のバラク・オバマ大統領(51)とホワイトハウス奪回を狙う共和党のミット・ロムニー前マサチューセッツ州知事(65)とが大接戦を演じてきた米大統領選挙は11月6日に投票が行われ即日開票の結果、オバマ大統領が選挙人(総数538人)の過半数以上を獲得、ロムニー候補の追撃をかわして再選に成功した。このため、来年からさらに4年間、オバマ大統領二期目の民主党政権が続くことになった。厳しい状況の中で、オバマ大統領が再選できたのは、破綻した自動車企業の救済など連邦政府の大きな役割を重視してきた姿勢が有権者から評価された証拠と言えよう。だが、二期目のオバマ政権は、特に、経済や外交などの分野で厳しい挑戦に直面することになる。


大接戦
選挙の開票の結果はオバマ、ロムニー両陣営とも接戦州以外ではほぼ事前の予想通りだった。勝敗の予想ができなかった激戦州については、時間が掛かったが、結局はオバマ陣営がその大半を制した。この結果、勝敗を決める選挙人数では、オバマ大統領が過半数の270人を悠々と上回る332人を獲得、ロムニー候補は206人止まりだった。オバマ大統領は激戦州のフロリダ、オハイオ、バージニア、ペンシルベニア、ウィスコンシンなどを総なめ、見事な選挙戦略を展開した。選挙人が29人もいるフロリダ州の結果発表が数日間も遅れたが、その前に過半数以上確保が決定、これが全体の結果に影響しなかったのはラッキーだった。

一般投票の獲得数では、開票当初はロムニー候補がオバマ大統領を上回っていたが、結局は、こちらの方もオバマ大統領が最後には追い越し、51%対48%(CNN)の小差でロムニー候補を押さえ、誰にも後ろ指を指されない完全勝利を達成した。
ただ、投票前には、あまりにも大接戦のため、最悪の場合には、獲得選挙人の数が両陣営とも269人の同数となったり、投開票のトラブルで勝敗の決定が延び延びになるのではといった懸念までささやかれていた。

ハリケーンが神風に
長丁場の選挙戦では、オバマ大統領は終始、支持率でロムニー候補を上回っていた。同候補は金持ちのお坊ちゃん気質が抜けないのか、無神経な発言が響いていた。
ところが、選挙戦も終盤に入った10月初めに状況が一変した。候補者同士の討論会対決が契機だった。一回目の討論会で、最大の弱点である経済問題でオバマ大統領は、経済のプロを自認するロムニー候補から厳しく追い詰められ、たじたじとなり、立ち往生。当然、テレビ中継はこのみじめな様子を全国のお茶の間に流す。これで、ロムニー候補がオバマ大統領を一気に逆転、この調子では、「ロムニー大統領」実現かといった見方も浮上してきた。

そこに、最終盤となった同月末、米東部をハリケーンが襲う。これで大統領は息を吹き返した。オバマ大統領は現職の強みを発揮し、時を移さず、ニュージャージー州などの被害地に足を運び、救援活動をPR。これを共和党のクリスティ知事が絶賛、マスコミが大きく報じた。同知事はロムニー候補の強力な支持者で、オバマ大統領批判の急先鋒だったというから、オバマ大統領にとっては思いもかけぬ側面支援となった。
このハリケーン騒ぎはまた、連邦政府の役割を重視するオバマ大統領には格好の支援となり、逆に、「小さな政府」論者のロムニー候補には打撃となった。

さらに、オバマ支援の材料が飛び出す。投票直前の11月2日に発表された10月の雇用統計だ。非農業部門の就業者数が前月比約17万人増となり、予想を大幅に上回った。それに、失業率も7・9%となり、9月比で0・1ポイント上昇したが、心理的な節目である8%を下回ったのだ。第二次世界大戦後、失業率が8%を上回って再選された大統領はいないのである。これもオバマ大統領への援護射撃になった。

経済と中国が課題に
再選に成功したオバマ大統領には、厳しい試練が待ち受けている。国内では、経済を再生させ、雇用を増やし、失業率の引き下げを是が非でも達成しなければならない。
喫緊の課題は、来年1月に予想される、いわゆる「財政の崖」への対応だ。ブッシュ政権時代からの大型減税策が今年末で終わる上、財政赤字の削減を目指す強制的な歳出削減が来年から始まり、ダブルパンチで経済が深刻な危機に陥る恐れがある。

この回避のためには、早急な対策が欠かせない。オバマ大統領は中間層重視の「大きな政府」論者だが、下院は富裕層寄りで、「小さな政府」志向の共和党が再び多数を制しており、がちんこ対決となりそうだ。

対外的には、世界第二の経済力を背景に、アジア・太平洋地域で露骨な軍拡にのめり込んでいる中国への対応が急がれる。その中国では、8日開催の党大会の過程で、党総書記ポストが胡錦涛氏から、軍部に強い影響力を持つとされる習近平氏(中央政治局常務委員兼国家副主席)に替わる。同氏については未知の部分が多く、オバマ大統領は対応に苦慮するだろう。しかも、米国の対中戦略で重要な位置を占めるべき日本の政治情勢が不安定だ。二期目のオバマ政権は苦しい経済状況の中で、太平洋国家としての真骨頂を問われることになりそうだ。(11月11日)


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