その83
  設計レベルもどんどん上がる中国企業


 日本企業では、きつい、汚い、危険な作業は3Kとして嫌われ、機械化、自動化に取って代わられた。その代償として、製品のコストは上がっていった。現在では、単純作業も嫌われている。少しくらい能力が劣っても、効率が悪くとも、日本企業は社員を簡単に首にできない。日本企業の良さでもあるが、中国企業との競争にさらされた場合には全く勝ち目はない。これまで製造組み立て、加工作業など大企業では割に合わない作業は中小企業にまわされていたが、今では日本の中小企業から東南アジアへ、そして中国へと移っている。深せんや東莞など中国華南地区には、組み立て加工工場が15,000とか20,000工場あるといわれる。
 よい人材を選別するシステムは、組み立て、製造、加工作業にとどまらない。開発設計部門や企画営業部門などあらゆる部門で採用されている。企業が新しい人材を採用する場合、3ヶ月から6ヶ月の試用期間がある。この試用期間にある程度の能力を示すか、実績を見せないと採用されない。経営者や管理者が、適正でないと判断すれば、相性が悪いということも含めて採用不可となる。能力があり、その企業にとって有用な人材と判断されれば本採用となる。このようにして技術でも営業でもある一定以上の人材が集まるようになっている。経営者や管理者に問題がなければ、その企業の全体のレベルはどんどん向上し、下がることはない。
 日本企業は、海外への生産移管の際、生産しても問題の発生の少ない品質の安定した標準モデルを最初は選んでいた。しかし、世界各地の展示会などで新製品に関する情報の伝達は速い。中国企業もよりハイテク製品を要求するようになってきている。ここ数年は最先端の技術を使用した製品の生産を分担してきたが、現在では更に進んで日本で設計開発されたものを製造するという考え方から、中国で開発設計したもの製造するように変化している。プラスチックや金属加工の金型は、「日本製でなければ使えない」と2〜3年前まで言っていたのが、現在では、自社で設計し、製造できるレベルにある企業が増えてきている。設計開発を含めて、技術を受け入れ、さらに改善し、発展させる段階にきている。
 中国企業では、技術レベルが上がると、常にそれ以上の優秀な人材しか採用しない。従って、一端上昇した技術レベルは、経営者が変わらない限り維持される。優秀な人材は欧米に留学し、高度な技術を身につける。最近は、中国の国家的な政策から、留学している優秀な人材を優遇する中国企業も多くなり、どんどん優秀な人材が帰国している。
 手先が器用で視力が良く、まじめに働く人材選別システムとあいまって、高品質レベルの工場がどんどん育成され、増えている。日本の工場は空洞化が騒がれているが、これらの中国の工場を見ると大変な時代が来たという実感がする。

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