新連載
 その81   中国製品の品質が向上した理由  


今まで"粗悪品"が中国製品の代名詞とされていた。しかし、もう違う。第2次大戦後にアメリカへ輸出された日本の製品は、「安かろう、悪かろう」であった。それが、統計的手法やQCサークルの導入でどんどん改善され、「日本製」を指名されるまでになった。日本の当時の作業者たちは、簡単な統計的手法を学びこれを現場で応用し、不具合や作業のしにくいところを発見して、作業者全員で討議し、改善提案し、作業能率を上げ、品質向上に結びつけた。

中国製品の品質の向上は、QCサークルや統計的手法ではない。本当に作業に集中力のある作業者が選別され、適正な能力を持った人たちによって製造されることによるものだ。中国の生産工場では、作業者が同じような作業ミスを二度、三度繰り返すと作業に不適切とみなされ、解雇されてしまう。工場で採用され、ある作業に配置されても、習熟が早く、しかも集中力を継続できる能力がないとその作業から排除される。良い品質を製造する意欲と作業能力でよい品質が作られている。

中国の工場には、めがねをかけている作業者は見当たらない。めがねをかけなければならないような視力の悪い作業者は、最初から採用しないのである。日本の工場に比べて薄暗い作業場で精密作業を担当しても彼女たちは困らない。彼女たちのほとんどが視力2.5以上あるという。中には視力が3.0とか3.5という作業者もいるそうである。視力が良く、手先が器用な働きたい作業者がたくさんいる。毎年高校を卒業する多数の応募者の中から、まじめに働く、適切な作業者だけを選別すればよい。こうして、品質レベル(不良率)は、改善され、維持されてゆくのである。

製品についてしまった外観の傷や部品を組み立てた際の隙間の大きさなど、出来映えについての判断基準についても問題があった。「この程度は使用上、問題ない」と言って改善しようとしない国営工場の作業員も多数いた。しかし、民営化が進み、世界の市場で受け入れられないことがわかると改善が進んだ。日系企業や商社などの検査員が許される基準について指導することによって、最初は「この程度は、問題ない」と思っていた品質レベルもどんどん改善された。衣料品などのミシン目の不揃いなども、どんどん指摘され大きく改善された良い例である。

作業者からすれば、不良を出せば、解雇されるのだから、気を抜くことができない。少し作業に慣れてくるとマンネリ化に陥り、気のゆるみから不良が発生するものだが、中国の製造工程ではこれが許されない。不良を出すような気の緩みが出れば、彼らよりも安い賃金で働きたい代わりの作業者はいくらでもいるのだ。企業によっては、毎年、10%から20%の作業者が不適切と判断され、新人に置き換えられているという。
このようにして適切な品質レベルが理解されれば改善して、追いつき、それを維持できる体制ができあがる。会社によって、品質レベルに差があるが、いったんこのシステムが作られれば経営者とその管理者が変わらない限り維持される。


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