新連載
 その77 支払を引き伸ばすのが経理部長の能力


             取りたてはタフな同じ中国人に頼むのが最善の方法

 違法もだましも何でもありの中国では、派遣された日本人は、商売をするにも大変苦労をする。顔かたちだけでは、日本人と中国人の区別もつきにくい人も多いが、同じ漢字の文化なので「精神構造や習慣も同じだろう」と思って対応すると思わぬところでどんでん返しをくう。
 日本でも製品を購入した際、できれば支払は遅く引き伸ばし、そのお金をもっと有効に使いたいと考える。中国でも商売の基本は同じである。しかし、それをストレートに表現し、実行するのが中国らしいところである。その例を一つ。

 商売は販売したあと回収で終結する。回収がなくて販売は終わらない。回収がなく売れば良いだけなら、営業マンも楽な商売である。支払の滞納、延納、これを繰り返すと新しく購入仕入れができなくなる。しかし、相手の条件や取りたての様子をよく観察し、ギリギリまで支払を延ばした上で、次の商売も継続する。これができるのが、中国における能力のある経理部長といわれる。
 我々が取引をしている中国のこの会社は、日系の企業から電子機器を購入し、各地方都市の企業に販売する仕事をしている。日本における販売店や問屋である。北京市内に本店を構えており、地方に支店を持っている。この会社がなかなか支払をしてくれない。支払能力がないわけではない。資金繰りが悪いわけでもない。しかし、担当者が支払を要求しても支払ってくれない。日本的にいえば、このような支払の滞る相手先には、販売を止めるつまり取引中止をするのが普通である。しかし、結構販売金額が多く、販売ルートとしては良いので取引停止にできない。支払が結構たまってきたのでもうこれ以上待てない状態になったので、担当者にその旨伝えると支払ってくれた。しかし、全額ではない。実にこちらの気持ちを読んでギリギリの状態まで粘っているのだ。

 金があっても支払をできるだけ延ばすのが中国の商売の基本なのである。どれだけ支払を延ばす能力があるかが経理部長の能力と思っている。このような相手に商売をするのであるから、平均的な日本人には耐えられない。白髪三千丈のたとえのように、中国には日本人にはとても理解の難しい一筋縄ではいかない文化がある。このような中国人の経理担当部長には、取りたてのうまいタフな同じ中国人に相手をしてもらうのが最善の方法である。


back