新連載
 その76 空港カウンターでの交渉はねばり強く


                ダメモト交渉で、早く帰れる便がみつかるかも

 ニューヨークの近郊には、ジョン・F・ケネディ空港、ニューワーク空港、ラガーディア空港と国際空港が三つある。ラガーディア空港には、日本向けの国際線はないが、ニューワーク空港には、直行便ではないが東京行きがある。JFK国際空港には、東京行き直行便がある。JFKとニューワーク空港の間は、ラッシュの時間帯を外せば、タクシーを使って1時間あまりで行ける。この位置関係を知っていてうまく交渉すれば、ニューワーク空港で東京行きが突然キャンセルになっても困ることなく、むしろ予定よりも早く帰る方法もみつかる。

 ある日、日本への帰国のためにニューワーク空港へ着いた。ところが予約したフライトはキャンセルされているという。これには困った。航空券はアメリカで入手したもので、コンファームもされている。フライトのキャンセル理由は、航空機(エクイップメント)の故障とのこと。翌日の会議のために、どうしてもその日にアメリカを出発したかった。通常は、航空会社に、どこかの都市での乗り継ぎも考えて東京行きのフライトを探してもらう。この時も、ロスやサンフランシスコ、シカゴと別の都市経由で東京行きに接続する便がないかさがしてもらった。別の航空会社にもあたってもらった。しかし、タイミングが悪く満席でどうにもならない。フライトキャンセルだから諦めるしかないと思いかけたが、念のためにジョン・F・ケネディ空港からの便を確認した。すると直行便があるという。席も空いている。時間は、まだ余裕がありそうである。何とかすれば間に合いそうである。ここからが交渉である。

 明日の日本での会議のためには、どうしても今日出発したい。このフライトで帰らないと間に合わない。私のチケットはコンファームされている。フライトキャンセルは航空会社の都合であり、責任は航空会社にある。乗る方の私に非はない。すぐに席を確保して欲しい。必死になって交渉した。担当者の上司も出てくる。相当粘り強く交渉した結果、JFKでの空港のチェックインもしてくれた。その上、ニューワーク空港からJFKまでのタクシー代金も航空会社に負担させることに成功した。JFKからのフライトは東京行きの直行便。キャンセルされた便はシアトル経由で、接続の関係で時間も余計にかかる。結果として、予定の便の到着よりも早く東京へ到着することができたのである。

 航空会社も長距離国際線では、空席で運行するよりも、一人でも多く乗せて飛ばした方が効率がよい。一便欠航させると、翌日の便は相当混み合うことはわかっている。そうすれば、その日に乗る予定で予約したお客が他の航空会社に変更してしまう可能性がある。航空会社には、特別安い料金で契約したタクシー会社がある。ニューワーク空港とJFKの間のタクシー代金くらい負担しても、J.F.Kから自社の飛行機に乗ってもらった方が会社として得策なのだ。航空会社の状況や行先によっては、交渉次第でこんなことも可能である。相当なあつかましさと交渉力が必要であるが、実状をよく知った上で、"ダメモト"で交渉してみるのも面白い。


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