新連載
 その75 香港の自動料金収受システム


                    遅れている日本のITを痛感

香港から深センに入るためには、電車を使用する方法、フェリーボートを使用する方法、バスで行く方法がある。今回は、バスを使って高速道路を利用したが、ETC(自動料金収受システム)が完成しており、大変便利な印象を受けた。料金所でいちいちとまってお金を支払う必要はなく、すべてカード処理できる。自動車の交通混雑を大幅に緩和できる。このシステムは、10年ほど前からテストされ、海底トンネルで使用されて以来、近年大幅に拡大している。これらのETCのゲートには、日本のような遮断機がない。バスも車も料金所を通過する際に少しスピードは落とすものの、遮断機の上がるのを待つ必要はない。スピードを下げるといっても、時速100km程度まで大丈夫だそうである。

このETCの使用は、日本では今年の3月に千葉エリアと東京の一部で開始された。日本道路公団のパンフレットによれば、関東エリアでの本格的な展開は平成13年秋からとのことである。日本のETCのゲートには、遮断機がある。通過する自動車はほとんど止まるくらいのスピードまで落とさなければならない。時速100kmのスピードで通過するなどとんでもない話である。高速で走っていた車にとって遮断機の存在は、ほとんど止まるスピード感覚に等しい。一般の自動車(ETCを備えていない車)が、知らずに間違えてこのゲートに入り込んだ場合を想定したもののようである。時速150km以上で走るスピード違反の車を写真撮影で摘発できる技術があるのだから、対策がとれないはずはない。

一方シンガポールでは、すべての車のフロントグラスに車載機が設置固定されている。車載機はプリペイドのカードを使用しており、予め電子入金してある。車両は、ゲートを通過するたびに自動的に費用が徴収されるシステムである。料金は、1ゲート当り2シンガポールドル(約130円)で、郊外から都市部に入る幹線道路にゲートは設置されている。すべての車についているのでゲートの遮断機はない。ただ、月曜日から金曜日まででウイークデイしかこの機械が動作していない。シンガポールらしいのは、料金用のカードをさし忘れたり、残金の少ないカードの場合は、6倍の罰金を取られることである。違反すると徴収できなかった金額の6倍の請求書が確実に送られてくる。ちなみにシンガポールでは、このシステムをERP(Electronic Road Pricing)と呼んでいる。

ここ2〜3年日本でもITという言葉がやたらと使われ、騒がれている。しかし、海外へ出かけてるたびに、日本ではこの種の新しいシステムが大分遅れていることを痛感させられる。技術的に日本が遅れているとは思えない。毎年お正月元旦の新聞の特集で、すでにいくつもの企業がITに関する技術を発表している。各社では、パンフレットも準備している。技術的に対応ができないことはないと思われる。遅れの原因は、官公庁の既得の権益をまもるために自由化を妨げているためだとしか思えない。日本の法規制が悪影響を及ぼしていることを実感する。政府の構造改革は是非必要だ。

参考

ETC:Electronics Toll Collection System 
電子自動料金収受システム
ノンストップ・キャッシュレスで自動的に通行料金を収受するシステム。出発地と当着地で自動的に車載端末からデータを読み取り料金を自動的に計算し、カードや口座から引き落とすシステム。

ITS:Intelligent Transport System
高度道路交通システム
先端の情報通信技術を活用した次世代の道路交通システムで、道路と自動車を一体のシステムとして、円滑で安全に効率的に運用する道路交通システム。下記のようなシステムが考えられている。
ナビゲーションシステム
自動料金収受システム(ETC:Electronics Toll Collection System)
道路管理システム
安全運転システム(自動操縦)


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