新連載
 その72 深セン最先端企業の昼食


            優秀な社員を確保し、能力をフルに発揮させるための昼食

 最先端企業の昼食の実態を紹介する。研究開発部門に優秀な人材を確保し、維持するための福利厚生の一環として、大切にしていることが伺われる。
 この会社の昼休みは、原則正午から2時間であるが、昼食は、午前11時30分位から2時くらいまでの間に自由に摂れる。11時くらいになると昼食を作る会社から担当者がやってきて準備を始める。惣菜は、毎日6種類用意される。この他に白いご飯と、スープが2種類。時々、バナナなどの果物がデザートとしてつく。
 中国では、支給される料理は暖かい料理が原則である。暖かい料理を提供するための設備もある。中にヒーターが取り付けてある大きな浅いステンレスの湯船のようなものだ。これに水をたっぷり入れて、電源を接続してお湯をわかす。お湯が沸く時間になると、縦30センチメートル、横60センチメートル、深さ40センチメートルくらいのアルミニューム製の四角の鍋に入った惣菜が届けられる。6種類の惣菜は、大きい鍋ごと湯船に浮かべられ、暖かく保たれる。

 カフェテリア方式でこれらの中から、自分で好きな惣菜とスープをを選んで食べる。縦30センチメートル、横40センチメートルくらいのステンレスのプレートを丸や矩形に1センチメートルほど絞り加工でへこましてあり、このプレートに自分で惣菜をスプーンや大きいフォークを使って盛り付けする。この種のプレートは、東南アジアのたいていの国で同じようなものを使用している。北京の工場やフィリッピンの工場でも使われていた。6種類の内何種類選んで取っても良い。量も自分で好きなだけ盛ることができる。ただ、プレートの大きさが決まっているから限度はある。眺めていると、3種類から4種類くらいは各人盛り付けするようである。スープは、お椀(ボール)が準備されていて、それにスプーンで入れてテーブルにつく。

 昼食を準備した係の人も見ているが、種類や量について制限はしない。全体の動きを見て不足するようであれば、供給会社へ連絡し、追加するだけである。ここでは、社員も取締役も同じ食堂のテーブルで食事をとる。社員も取締役もお客も区別はない。特別のお客の場合には、外部のレストランに出かけるようであるが。この昼食もあまり遅い時間に行くと残りの料理は少なくなっている。たいていは、間に合う様に十分な量が準備されるが、来客などで人数が多くなって、足りなくなることもあるらしい。このような時は急遽追加される。
 この食事はすべて会社が負担をする。一食10元(日本円150円)だそうである。同じビルの別の階にある一般の企業、例えば、一階にあるプラスチック成形工場では、昼食は供給されず、自分で近くの食堂に食べに行く。会社が支給するわけではない。食事に関する会社の負担は、会社により相当差がある。ある企業は、社内にあるカフェテリアでもすべて個人負担になっている。別の企業では、二分の一を企業が負担するなどである。
 担当者に聞いてみるとこの種の研究所や開発を担当する企業では、全額会社負担の同じようなカフェテリアスタイルをとっているようである。同じ会社でも、深せん以外では、対応が少々異なる。工場の場合は、一人当たりの昼食代は6元(日本円で90円)である。我々日本人など来客の場合は、10元(150円)当りの食事を提供される。ただし、来客用の食事とはいっても、出される料理は同じで一品おかずが多くなる程度である。

 ところで食堂という部屋が専用にあるわけではない。集会場が毎日カフェテリアとして使われる。テーブルの両側に3人づつ座れる大きいテーブルが6テーブル置いてある。食事の時間にテーブルが満員の時には、卓球台も食事用のテーブルとして使われる。必要な設備はきっちり整え、余分なところには無駄な費用を掛けない極めて合理的なやり方である。カフェテリア方式は、社員の能力をフルに発揮させるために、食事など個々に気を使わなくても済むように配慮している。よい人材を確保維持するためには深センでも競争は厳しい。


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