新連載
 その70 中国のハイテク工場都市「深セン」


                   香港のリゾート都市でもある
 まず、深センについての紹介からしてみたい。深センの「セン」の文字は土へんに川と書き、日本漢字にはない。だから、「深セン」と「セン」をカタカナで表現することが多い。中国の案内書には、広東省の南部に位置すると書いてあるが、香港のすぐ北にある都市と言ったほうがわかりやすく、中国の中でも香港の文化に最も近い。そのとなりには、東莞市、恵州市があり、日系の製造業も多く進出している。香港と東莞市、恵州に挟まれたハイテク機器の製造を担当する都市で、経済特別区にも指定されている.人口は400万人と言われているが、海外から資本投資も毎年盛んで、実際の人口は400万人を相当超えているものと思われている。勤労者のための20階30階建てのアパートが林立している。日本の公団住宅を、20階建ての高層住宅にしてたくさん並んでいると思えば良い。

 香港については、狭い土地に鉛筆をたくさん立てたようにビルディングが建てられている写真を良く見る。まさにその通りであり、良く建設したものだと感心させられるが、中国側の深センでも同じような建て方である。広大な土地があるのだから、アメリカに見られるように二階建てくらいの低い建物のほうが経済的に思えそうなのだが、高層の建物がやたらと多い。香港に近いところの地の利を考えると企業用の事務所も工場も、住宅もすべて高層になってしまうのであろうか。日本のように地震による倒壊の心配がないので、結局は経済的なのかもしれない。

 中国人にとって、深センは特別に意味がある。中国人が深センに入るには、(つまり中国から出国するには)許可が必要である。簡単には出られない。入国審査に相当する検問所がある。我々外国人はこの検問所を簡単に通ることが可能であるが、中国人には厳しい。許可をとった中国人は、深センで働くこともできるが、条件にもよるが香港で働くこともできる。深センに住んで香港に働きに毎日通勤する労働者も多い。

 我々は深センを中国におけるハイテクの近代的な工場地帯と見られているが、香港に住む人にとってはリゾート都市でもある。香港に住む人は、深センへの入国手続きも簡単である。深センは、土地が狭く憩いの場所を多く作れなかった香港に比較すると、淡水の湖や河川がたくさんあり、緑が多く公園もある。世界各国の有名な都市や建築物をミニチュアで紹介する「世界の窓」、「民族文化村」など楽しいものもある。だから、休日には、香港に住む人たちは、休養や遊びを目的に深センへやってくる。日帰りも可能で香港に比較して安いホテルも多い。日常生活物資の価格も、香港よりも安いのも魅力のようである。ただ、便利さや住みやすの点では香港の方が良いので、深センの企業に勤務するトップ層には、香港で家族と生活し、毎日深センへ通勤する人も多いと聞いた。

 深センでは、通貨も香港ドルと中国人民元の両方使用できる。香港ドルの方が使いやすいくらいである。交換率も香港ドルの方が5%〜10%くらい高いようである。香港空港で日本円やUSドルを香港ドルと交換すれば、深センではそのまま使用できる。深セン市内で香港ドルを使って買い物をすると釣銭を人民元でくれることがある。深セン市内では、不自由を感じないが、人民元は香港では使用できない。釣銭は香港ドルで受け取るように気を付け、もらった人民元は深センで使い切って帰国することである。


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