新連載
 その67 
誘拐の主原因はメンツ


                  人間扱いしない態度一つの原因

 フィリピンで日本人が誘拐され、身代金で解決した事件があったが、大分昔のことで、もう忘れられかけている。誘拐された日本人は、大商社の現地の責任者であり、人間的にも立派な方だったこともあって、現地の安全対策の不備が話題になった。これ以降、海外駐在員や出向者の安全管理、リスク管理が、どこの会社でも強調され、対策がとられるようになった。
 当時、誘拐されている間に、本人の指のない写真が公開された。開放された後で分かったことであるが実際には切断されていなかった。指のない写真が公開されたのは、身の代金の交渉の手段としての意味よりも、本人への辱めのためと、後日観測され話題になった。
 この誘拐事件も、現地従業員を人間として公平に扱わずに見下した扱いや態度に問題があって起きたトラブルだったとも言われた。「金銭を目的とする」という、当時の観察とは少々異なった見方がされたのである。誘拐されている期間中は、本当のことを言いにくかったのであろう。メンツを失った本人は、直接関っていないが、フイリッピンでは、怨みによる犯罪として語り継がれいる。

 フイリッピンへの日本からの進出企業は、過去の経験から、最低賃金法もきっちり守るようにしている。更に、日本人滞在者は、通勤の途上やゴルフの行き帰りにも、時間を変更したり、経路を急に変更したりして、その危険に合う機会を少なくする努力をしている。また、買い物なども出来るだけ少なくして自宅から出ないように用心する人もいる。
 最近日本人に関わる事件が起きていないのは、このように日系企業や日本人が安全面で十分な対応策を採っていることもあるが、現地従業員の融和策や話し合いの場を重視し、人間関係がよくなっているせいでもあろう。
 最近では、中国人相手の誘惑事件がが多いと言う。お金を持っている中小企業の経営者が狙われており、たいていは身代金で解決されている。韓国人も狙われ始めており、本人だけでなく、奥さんや子供もその対象となっている。一度、誘拐され、身代金を支払うと、領収書が出され、再度誘拐にあった場合、その領収書を示すと、身代金なしで釈放されるとの信じられない話も伝わってくる。
 
 フイリッピンで誘惑と身の代金問題を抱えている企業には、従業員を動物か道具くらいにしか扱わないような経営をしている例が多いようだ。人間としての扱いをしないために、従業員や関係者から恨みをかうことになる。最近の話で、レストランの社長が銃で撃たれ死亡したが、現地の新聞報道によれば、レストランの社長が首にした女性の夫が恨みに思って起こした事件であった。保険金などの金と女性関係以外での誘拐事件では、経営者が従業員を人間扱いしないために起こるトラブルが原因になっている例が、圧倒的に多い。


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