新連載
 その65 欧米企業の即断即決のペーパレス会議 


                 ITを駆使したコンピュータ会議が常識
 パソコンの普及でプレゼンテーション方法や会議の方法まで、大きく変化をもたらした。プレゼンテーション資料作成ソフトは、会議をペーパーレスにし、終了後に議事録を完成させてしまうほどスピーディにした。最近の欧米企業の会議の進め方を紹介する。

会議室には、電子式ホワイトボードの他に、パソコンが接続できるプロジェクターと映像を投影できる大きいスクリーンが常備されている。10人ほどの出席者は全員、ノートパソコンを持参である。日本での会議のように、参加者のテーブル上に会議用の資料が準備されていない。参加者は、自分が必要な資料だけを持参する。説明に使用する資料や討議のための資料はすべてパソコンに入っている。事前に検討を要する資料や当日相談したい会議の主な内容や項目は、Eメールで相互に送付・連絡済みである。

出席者全員が揃ったところで会議は始まる。先ず、当日の協議事項、アジェンダ(Agenda)の確認である。進行役をつとめる相手先が、気を利かせてEメールで連絡していた議題をリストアップしたアジェンダを準備していた。プロジェクターの接続コードに自分のパソコンの外部ディスプレイ端子(VGAコネクター)を接続し、スクリーンに投影した資料でポインターを使って説明をする。5項目ほどの主要なテーマと簡単な内容が箇条書きにしてある。

「今日議題として取上げて相談したいことは、これだけあります。宜しいですか」
「問題がなければ、これで進めましょう」
 議題として追加したいことがあれば、新しくテーマを付け加える。その日の出席者に適切なメンバーがいなければ、その理由を述べ、そのテーマは議題から、はずす。状況次第である。

 最初の議題の説明者がプロジェクターに自分のパソコンを接続する。美しい多色のカラーで工夫された資料が映し出される。会社内に組織変更があり、担当者が大分変更になる。その説明と了解を求める内容であった。変更前の組織と変更後の組織が比較できるようになっている。一通り説明が終わると質疑が行われる。質問がなくなると次の議題に移る。
 二番目の議題は、お互いに検討をしているプロジェクトの進行状況の確認である。スケジュール表に新しく発生した問題点や相手に対する質問や要求事項が赤い文字で表示されている。相互に討議を進め、解決法や担当者名、解決すべき日程が決定してゆく。議論が尽くされ、質問事項が解決すると次の議題に移る。

 このようにして、すべての議題が終了すると議事録の確認である。予め書記が設定されており、各議題に関する結論がパソコンに記録されている。書記のパソコンをプロジェクターに接続し、各項目の決定事項がスクリーン上に投影され、結論が読み上げられ、確認される。何時までに誰が検討し、誰に返事をするとか、質問に対する回答などである。思い違いがあれば修正する。これらをお互いに確認をする。全項目確認したところで会議は終了する。

次に資料データの交換である。当方の代表がパソコンのメモリーカードを渡し、その日に説明に使用したデータを入力してもらう。複数の発表者がいれば、発表者全員にメモリーカードを回覧し、データを入力してもらうことになる。議事録も同じである。書記がパソコンから両方の代表のメモリーカードに入力する。当方の資料も、相手側の代表者のメモリーカードに入力して渡す。相互にデータを入手したことを確認して解散である。
 食事をはさんで5時間ほどの会議であったが、ペーパーを使った説明は全くなかった。資料は配布されないから、出席人数が変更になっても、準備したコピーが不足で困ることはない。すべてがプロジェクターとスクリーン上で行われるので、全員がスクリーン上の資料に神経を集中する。会議の進行も大変スピーディである。

 会議に出席する心構えや準備を怠ることもできない。Eメールで送付された資料は参加する前に十分時間をかけて検討をしておく必要がある。問題点を明確にしておかないと、当方の要求も準備できない。下手をすると相手の要求だけがテーマになってしまう恐れもある。
 会議終了後、出席者が入手した資料は、必要な関係者のメモリーカードに入力されるか、帰社後にEメールで送付される。内容によっては、WEB上に載せられ、それぞれの会社内で関係者に必要に応じて徹底される。Eメールを受けた各人は、必要に応じてパソコン内に取り込み、自分のインデックスで整理し、記録する。ハードコピーをとる必要はない。ファイルを収納するためのロッカーもスペースも不要である。本当に会議はペーパーレスが可能になった。現在、欧米の企業では、このような会議が普通となっている。即断即決。パソコンとITで情報の共有化も徹底している。慣れれば、問題なく対応できる。現在、我々は、このような欧米企業と競争をしなければならない状況におかれているのである。


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