新連載
 その56     アラブの習慣と文化
     13  五回の礼拝は、生活の一部 


            来日したモスレムには場所と時間を配慮して上げよう

イスラム教徒は、アラーの神を信ずる事と共に五つの柱である行の勤めがある。

1、 Shhadah信仰告白:アッラーの他に神はなく、マホメットはその使徒である。
2、 Salat 礼拝:一日五回アラーの神を拝む。
3、 Zakat 喜捨:相互扶助及び貧困者への施し。
4、 Saum 断食:第9月ラマダン月は日の出から日没まで飲食を絶つ。
5、 Haji 巡礼:ゆとりのできた者は一生に一度メッカ巡礼。

この中でも礼拝は、毎日の生活の中で行われることで重要である。一日五回の礼拝がある。毎日、朝早く、アラーアクバル(アラーは偉大なり)とのお祈りが聞こえてきて眠りから覚める。すべてのモスクには大きな出力のスピーカーが備えてあり、お祈りの時間になると、お祈りの合図が聞こえてくる。大きい町や都市には、モスクがたくさんあって、町のどこにいてもその音声が聞こえるように、また、だれでも礼拝に参加できるように、スピーカーが配置されている。

昼間の時間のお祈りには、商店街のたいていの人は店を閉めてモスクへ出掛ける。10分から15分位であるが、買物等は祈りの時間帯を避けないと礼拝から帰ってくるまで待たされることになる。扉が閉まらない店では、商品に防犯用のネットが掛けられる。礼拝の時間になると、宗教警察が現れて、通りを歩いているアラブ人たちには、モスクにいくように注意する。その様子は追い立てるといった方がふさわしい。開いている店があると閉めてお祈りに出掛けるように強制する。しかし、我々日本人のようにモスレム(イスラム教徒)ではないと明らかにわかると無理強いはしない。

モスクの中は、男性と女性のお祈りする部屋が分けられてある。男性が女性のお尻をながめながらお祈りするようなことには決してならないようになっている。何かの用事でモスクへ行くタイミングをはずしたモスレムは、少し時間をずらして礼拝することも許される。会社の中では、事務所の隅の方にカーペットを敷いてお祈りをするモスレムの姿も時々見られる。会議室などが空いていればここで礼拝をするモスレムもいる。彼等にとって、お祈りは食事と同様大切な生活の一部なのである。

中近東やインドネシア、マレーシアのシステムプロジェクトには、これらの国からたくさんの研修生が日本にやってくる。彼等の中には、モスレムが大勢おり、日本に来てもお祈りを欠かさない。長期間滞在する人には、お祈り用のカーペット(マット)を持参している人もいる。最初に、彼等はサウジアラビアのメッカの方角を確かめる。どこにいてもメッカの方角がわかる方位磁石を持参しているモスレムもいる。
モスレムのお客様には、礼拝のための時間を確かめて場所を提供するようにしたいものである。時間については厳しくはないが、研修や休憩の時間を配慮をして、礼拝できる時間を作って上げるのが望ましい。また、彼等が自由に礼拝できるように、お祈りする間は、席を外してやりたいものだ。礼拝用のマットを持参していない場合には、床に敷くために必要な大きさの紙などを準備して上げると喜ばれるだろう。模造紙などでも差し支えはない。これを敷いて彼等は、お祈りをする。ここは日本だから、日本のやり方でやれというのは、通用しないし、賢明なやりかたではない。中には、海外へ出掛けた場合、お祈りをしないモスレムもいないわけではない。しかし、配慮をしてやることに越したことはない。我々も、海外で日本の習慣や文化を理解してもらえると嬉しいものだ。これは、人類共通のことだと思う。


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