今、求められる工場長のあるべき姿 

 従来の日本型経営を支えたマネジメントスタイルは、現場の労をねぎらう一方で、調整的な指導や支援によって、結局は和と協調の精神を重視するものであった。その中で、労務管理では、集団を決めごとや決まりごとによって維持するという考え方が支配していた。これには、終身雇用制度に依存する集団の影響もあり、企業内労働組合との共存関係も色濃く反映していたとも思われる。 
 今日のグローバルな競争環境下にあって、従来の労務管理の改善ではなく、新しい視点に立った人事管理を提唱したい。これは目標管理業務の実績評価と業務遂行に必要な能力評価を最大限に重視するものである。 

1目標管理テーマの設定
 我々は何を目標管理テーマとすべきか。それは工場の解決困難な経営課題から設定されるべきであり、従業員のボトムアップ的なやる気や生き甲斐や働き甲斐に依存するようなレベルのものではない。自らの工場経営の理念にもとづき、事業が直面する外的環境、顧客ニーズ、自工場の強み弱み、事柄の緊急性と重大性を踏まえ、現場に対して経営課題を明確に提示し、その解決につながる目標管理テーマを設定させる。

2目標管理テーマの実績追求と支援
 現場で働く人が仕事を改善していくアイデアや知恵を一番持っている。目標管理の核心は、この現場の力をいかに活かすかである。部下のじゃまをせず、部下が持てる力を存分に発揮できるようリードしてやる。部下をコントロールし、押え込み、必要な情報を与えない、部下にまとわりついて監視するといったやりかたは論外である。しかし、テーマの実績如何に工場の社運がかかっている。実績追求のための進捗管理と支援の手を緩めるわけにはいかない。

@目標管理テーマのねらい、具体的な実行計画について、面談の上パソコン
  画 面上でまとめさせる。その後の進捗状況についても画面上でまとめさ
  せる。
Aパソコンの画面は社内ネットを通じて、誰でもアクセスできるようにする。
B進捗状況をにらんで、随時上司は必要なコメントを画面上に記入していく。
C目標管理テーマに関連して、「標準業務手順書」を職種(製造、開発、物流
  など)毎に作成する。
  作成にあたっては、過去に実績をあげた優秀な人の仕事振りを想定して、
  業務ステップごとに基本業務を設定し、具体的なアプローチ方法、リスク対
  策等を明確にし、進捗管理のためのチェックリストとして活用できるように
  する。これにより部下との間に問題解決ための土俵を共有化することがで
  き、人材育成にもつながる。

3テーマの実績をダイレクトに評価に反映させる
 従来、日本人の優れた特質である自主性や協調性に依存するあまり、「従業員に何を期待し、何をどう評価し、処遇するか」という基本的評価の問題が先送りされ続けてきた。新しい目標管理では、成果は業績評価に直結し、成果を上げればストレートに報酬、報償に結びつける。工場長はそうした成果と報酬、報償が一体となった評価をはっきり実行することによって、自らの従業員に対する責任を果したことになる。
 しかし、このやり方はドライ過ぎて、あちこちで不平や不満が湧き上がることもある。要はトップがどれだけ責任をもって明快な「評価の仕組み」を従業員のために準備するかどうかにかかっており、妥協は許されない。

4業務遂行に必要な能力を評価し格付に反映させる
 終身雇用は崩壊の段階にあるものの、従業員は持続的な能力開発が期待されている。企業の発展は永続雇用が基盤にあるともいわれている。業績評価だけではなく、業務遂行に必要な能力を明確にし、その能力は伸長したか、期待のレベルにあるか評価し、格付に反映させる。
 能力は、@マネジメント行動、組織行動、Aテクニカルスキルの両面からの評価する。評価項目は、工場経営の実態に則して具体的に準備し、事前に評価される側から納得を得ておく。1年に1回程度面談し、項目ごとに「YES」か「NO」で判定する。項目数は少ないと偏りが生じ、多いと煩雑になるが、肝心なことは評価される側が何のために、どんな能力を評価されるのかが明確になっているということである。

5人材の選別
 目標管理テーマをスピーディーに確実に実現するためには、工場長の経営理念に基づいて、経営課題としてのテーマのねらいをよく理解し、自らの思いと力を問題解決に結集できる人材であることが欠かせない。

タイプ1:経営理念を共有して、目標を達成している人
タイプ2:経営理念を共有せず、目標達成もできていない人
タイプ3:経営理念を共有しているが、目標達成はできていない人
タイプ4:経営理念を共有していないが、目標達成はできている人

 タイプ2は論外であるが、部下にやる気を起させるのではなく、強圧的に部下の尻をたたいて業績を上げているタイプ4は大きなマイナスとなり、やり方を変えないのであれば、辞めてもらうしかない。

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