中小企業の労働安全について 


 労働安全衛生法では,安全管理体制が厳しく規定されているが,事業場規模により規定が異なる。製造業の場合,総括安全管理者選任は300人以上,安全衛生委員会設置及び安全管理者選任は50人以上の事業場で義務づけられているに過ぎないが,表1に見るように労働災害による休業4日以上の死傷者数(全産業)は小規模事業場において圧倒的に比率が大きい。規模100人未満の事業場で全体の約84%の災害が発生している。

表1 平成14年事業場規模別死傷者数(全産業)
規模
1-9

10-29

30-49

50-99

100-299

300-
合計
死傷者数

39,861

37,394

17,632

15,749

14,720

6,983

132,339

全体の%
30.1
28.3
13.3
11.9
11.1
5.3
100

規模100人以上の全産業,製造業に着目した度数率を表2に示す。規模が小さくなるに従って度数率は高くなっており,製造業では労働者数100〜299人規模の事業場の度数率は1,000人以上の規模の事業場の約6倍となっている。

表2 平成14年事業場数規模別度数率(製造業)
規模
100-299
300-499
500-999
1,000-
全産業
2.39
1.94
0.93
0.42
製造業
1.58
0.93
0.49
0.25

数率:100万延労働時間当りの死傷者数を示す。労働者500人の事業場で,1年間に発生する死傷者の数と考えるとわかりやすい。
一方,表3に見るように中小製造業は,事業所数においても,従業員数においても高い比率を占めている。わが国の生産活動の中核を担う中小企業においては,法による義務に従うだけでなく,自己防衛の意味からも法の趣旨を理解して自主的かつ,積極的に安全管理に取り組まねばならない状況にある。法は大企業中心で中小企業を守ってくれない。    

              表3 中小製造業事業所数と従業員数
             中小事業所の定義:従業員数300人未満(96年調査) 

製造業

大事業所

中小事業所

事業所数

0.4万(0.6%)

76.8万(99.4%)

従業員数

334.6万(25.9%)

957.6万(74.1%)

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