燃えるコストダウン活動
その2

製造業が直面している問題点
 
2000年夏にリコール隠しが発覚した三菱自動車工業が、事件に関連し計上した回収費用が180億〜190億円と言われている。2001年に携帯電話機の相次ぐ不具合に見舞われたソニーの回収関連費用は、131億円と伝えられる。同じ2001年にタイヤの不具合を引き金とした横転事故に絡んだ、ブリヂストンの対策費用は814億円にも達する。雪印食品の場合は会社解散に至ってしまった。近年このように、製品の不具合で企業が大きな損失を被る事件が相次いでいる。国土交通省は自動車リコールの件数がここ5年増え続けているという内容の報告書を出している。

企業が支払う代償は、金額的な損失だけではない。こうした製品の大規模な不具合によって、企業にとって最も大事な資産である信頼やブランドは、対応を一つ間違えれば、一瞬にして崩壊してしまう。そして、一度崩壊してしまった信頼やブランドを修復するのは、並大抵のことではない。問題は、こうした巨大な品質トラブルが,特殊な例ではなくなってきていることである。どの会社でも大なり小なり、同種類の品質トラブルをひきおこす潜在的可能性を秘めていると思わなければならない。
  その要因となっているのが、今までコスト削減のために進めてきた部品の共通化や分業化であろうが、現場のマニュアル依存症が作業者の意欲を失わせている面があることも否定できない。自分の頭で変化に対して臨機応変に対応し、必要ならマニュアルも書き換える意欲を持った作業者が不足しているようだ。  
  ISO9000の弊害も大きい。ISO9000ではデータや記録を残すことになっているが、そのこと自体が目的になってしまい、原因の究明や再発防止のために知恵を使うという本来やるべき仕事がないがしろにされる傾向がある。納入先の要求により取得せざるをえないことは納得できるが、内部管理として有効に機能しているかどうか疑問が多いし、ISOの功罪について検証した例は少ないように感じられる。

back