新連載
 その37 JALが嫌いになった理由   

              スチュワーディスのサービスに差別がある 
 仕事柄海外へ行くことが多く、約20年間、海外出張の際、いろいろな航空会社に大へ分お世話になった。最初は、エコノミークラスで行っていたが、長距離は何度かビジネスクラスが使えた。オーバーブッキングでエコノミークラスからビジネスクラスへのグレードアップなどの恩恵にも浴したことも何度かあった。4時間くらいまでの短い飛行時間であれば、大阪や岡山への新幹線での旅行と同じくらいで、エコノミーでもあまり疲れは感じないが、6〜8時間を超える飛行ではビジネスクラスの価値を感ずる。ニューヨークやロンドンまでの直行便でも12から13時間かかる。この間狭い航空機の中で快適に過ごせるかどうかは重要な問題である。航空会社もこの間をいかに快適に過ごしてもらうかには大変気をつかっている。海外へ出張するに当り、快適に過ごせる航空会社を選ぶことは結構大切なことである。
 昔は、海外へ飛べる日本の航空会社はJALだけであった。その影響が大きいと思うがJALの一般日本人乗客へのサービスが良くなかった。一部の日本人や外国人に対する対応と一般の乗客に対するサービス対応は、明らかに違っていた。日本人は特に宣伝をしなくともJALを使ってくれる。一般の日本人乗客へは、"日本食を準備し、日本語でサービスすることで十分"と考えていたふしもある。外国人へのサービスは良いほうに違っていた。外国人のお客を少しでも多く獲得するために、多分サービスに差を付けていたのだと思う。外国人客の心証をよくし、他の航空会社から移ることを期待して、従業員教育もそのようにしていたのだと思う。その時に私が感じた不快感は、"サービスの不平等"というJALの企業の体質、JALが行ってきた従業員教育の考え方にあったと思われる。あの狭い飛行機内で差別されるとわかると快適さが大きく損なわれる。また、当時はスチワーデスといえば、女性にとって、花形的な職業の代表であり、エリート意識に近いものを持っていたことも不快感に加わったものと思われる。
  何で差別の不快感を感じたか。機内食に差は付けられない。その他のサービスにおいてである。長時間のフライトでは、途中で水が欲しくなるとか、飲み物を追加が欲しい等ということがある。この場合に、スチュワーデスのサービス態度には、日本人と外国人へ対応に差があった。同じ事を頼んでも反応が遅い。外国人には素早く、優先的にそれも媚びた、にこやかな顔ででサービスをしていた。最初、私も日本人として日本の航空会社JALの評判が良いことは嬉しかった。だから、外国人へサービスを良くするのも大切なことと好意的に考えていた。しかし、一度や二度ならスチワーデスの個人的な差と思ったが、同じスチワーデスに出会うことはほとんどない。この差別による不快感も何度か重なるといやになる。そして、ある時から、できるだけJALに乗るのをやめた。確かにJALの日本食はおいしいし、機内もきれいで、日本語で用が済むのも助かる。しかし、スチワーデスの傲慢な態度とこの差別待遇が好きになれなかった。私の友人の中には、言葉の問題がないから仕方がなくJALに乗るというも多かった。同じような理由でJALに乗らない先輩も結構いたので私個人の好き嫌いと偏見の問題ではないと思う。

 外国の航空会社の場合、最初からあまり期待しないこともあるが、差別扱いはすくない。アメリカの航空会社の機内は、JALに比べて美しいとは言えない。しかし、差別扱いはすくない。 特にアメリカの航空会社では、人種差別については、徹底的に教育されている。そのため特に理不尽な要求でない限り公平に扱う。できないことは、きっちり説明をする。
 当時はCS(顧客満足)という言葉もなかったし、JALに文句を言っても無視されるだけであった。そこで、JAL以外の航空会社を利用するという方法で私も対応せざるを得なかった。規制緩和で、日本の航空会社も増えたためにJALの不愉快さも改善はされてきているようだ。国際化とは、外国人に良く思われようと"媚び"を売ることではない。それが、他の日系航空会社の参入という競争にさらされて、他の日本人や欧米人以外の乗客へも同じレベルのサービスが必要とやっと気がついたらしい。

私が、JALを嫌いになったようなことは、外国人から見た場合、JALだけでなく我々日本人の多くが持っている体質なのかもしれない。一部の日本人を除き、一般的な日本人を好きになれないという外国人もある。外国人が日本人の問題として指摘しにくいことの中に、このような差別する意識が潜んでいるような気もする。グローバリゼーションの強調される現在、海外でビジネスするにあたり、我々日本人が共通に持っているこの種の体質やくせに気がつき、国際人として本来のあり方に改善していく必要があると思う。


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