新連載
 その36  Fine Country シンガポール   

                     罰金の国 シンガポール

  東南アジアの先進国シンガポールは、"Fine Country"と言われる。この国のホームページでも、半分ジョークで自らそう呼んでいる。確かに、シンガポール全体は、いつも掃除が行き届いていて美しい。しかし、ここでの"Fine"の意味は、立派なとか、美しいとか、さわやかなとか、天気の良いとか言う意味ではない。ここで言う"Fine"の意味は、もう一つの意味の罰金とか、罰金を取るという意味の方である。法律に違反するとすべて罰金を払わなければならない国である。
シンガポールは、町の中がいつもきれいに清掃されている。滞在して、ストリートに面したホテルの部屋をとると、朝早く清掃している姿を見ることができる。シンガポールに住む日本人の中には、最初は美しさに感心するが、慣れてしまうと箱庭に住んでいるようでつまらないと言う人がいる。余りにも整備されすぎていて面白さがないのである。管理されすぎているという不満が出てくるのである。
  この美しさは、罰金を取ることで守られている。街の中でゴミを捨てて見付かると、1000シンガポーツドル(¥63000)の罰金をとられる。これが、再犯になると2000シンガポールドルと高くなる。公共の施設の中でたばこをすっても罰金を取られる。これも罰金は、1000シンガポールドルである。公共の場所は全てが禁煙である。たいていのビルも禁煙である。バス、タクシー、映画館、レストランやショッピングセンターにも例外はない。日本企業の事務所であっても、現地人がそこで働いていれば、禁煙にしている所が多い。
  シンガポールにも、パブ、カラオケバー、ナイトクラブなどがあるが、ここだけは喫煙が許されている。愛煙家にとってシンガポールで本当にくつろげるのは、自宅かカラオケバーくらいなものである。水洗トイレも、使用した後で流すのを忘れると罰金である。

スピード違反や信号無視に対する罰則も厳しい。信号が青から赤に変わる黄色信号の間に交差点に突っ込み赤信号と判断されることもある。罰金は、230シンガポールドル(¥15000)である。スピード違反も20kmオーバーまで160シンガポールドル(¥10000)、30kmオーバーで180シンガポールドル(¥11500)の罰金になる。
日本でも最近、自動車運転中に携帯電話を使用しているのが見つかると交通違反の切符が切られるようになったが、シンガポールでは、230シンガポールドル(¥15000)の罰金となる。シンガポールでの摘発は、日本より数段厳しい。車を運転する人は、ハンズフリーというオプションを購入して、ハンドルから手を離して携帯電話を使用しなくともすむようにしなければならない。
これらは、現行犯で有無を言わせないが、現地人による密告での摘発も多い。ある日、現地企業に勤務する日本人が突然家宅捜索された。そして、自宅にあった日本製のたばこが関税法違反で摘発された。その日本人は、日本へ出張の帰りに、いつも吸っている日本製のたばこを成田空港でたくさん買い込み持ち込んだのである。入国の際、きちんと税金を支払っていれば問題なかったのであるが、チャンギー空港では、普通荷物の検査はほとんどない。だから、シンガポール入国の際、申告をせず持ち込んでいたのである。
 しかし、たくさん持ち込めたと喜んでいてはいけない。なぜ見つかったのだろうか。これは、密告によることがほとんどである。彼が、いつも日本製のたばこを持ってきており、これを吸っているのを見て、誰かが密告したのであろう。会社の社員かもしれない。だから現地人から悪い感情を持たれないように人間関係にも、常に注意を払わなければならない。人間関係が悪くなると、思わぬところで密告されかねないのである。

このようにシンガポールでは、やっては行けないことをやらかすとすべて罰金を取る制度になっている。風俗や習慣の異なるいくつかの民族が住んでいると、やってはいけないこと、悪いことの基準が違っている。これを明確にするためにやっては行けないことを法律で決めて、罰金を取ることで徹底を図っていると聞いたことがある。このくらい徹底しないとシンガポールのあの美しさは保てないし、交通ルールもきっちり守られないのである。その対象は、旅行者も同じである。ついうっかり公衆の場所でたばこを吸ったりしないことである。
シンガポールに旅行される方は、出発前に下記のホームページを参考にされるとよいでしょう。

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一般的な違反についてのルール(たばこ、ガム、麻薬など)
交通違反の場合の罰金と減点


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