新連載
 その28 中国で買い物に失敗しないために


                デパート以外では定価で買ってはいけない

 日本人は中国において、いくら中国人のまねをしようとしても、できないし、すぐ彼等には日本人とわかってしまう。言葉だけでなく、歩きかた、目の動き、しぐさなども違うのかもしれない。観光地の土産物売り場でも、町の中の店でも、日本人とわかれば同じ商品でも値段を相当高く吹っかけてくる。値札は、ついているときもついていないときもあるが、値段がついていても、地方から来た中国人はうまく交渉して安く買う。勿論中国語での交渉であるが。しかし、日本人へは、なかなか値段を安くしない。「日本人は金持ちである。だから、高く買うべきである」というのが彼等中国商人の考え方である。

 中国において買い物で失敗しない方法は、最初に「この店で買う」と決めてかからないことだ。同じような店がたくさん並んでいる場合は、先ずは他の店でどのくらいで買えるかを十分に掴むことだ。また、デパートなどで同じ商品がどの程度で購入できるか、下調べもしておくとよい。デパートでの下調べができなければ、時間は掛かるが他の店でどのくらで売られているか、十分調べておき、交渉してそれ以下の値段になったらはじめて買うことにすればよい。交渉によっては、最初の価格の三分の一や五分の一になることも希ではない。それだけ安くしても、彼等は十分利益を得ることができている。
 ゲームをするつもりで買い物を楽しむ方法もある。しかし、相当交渉し、安く買ったつもりでも、後で高い買い物をしたと思うことは多い。欲しい人はにできるだけ高く売り付ける。儲けられる相手からはできるだけ儲ける。それが彼等の商売の鉄則だからだ。
 
 お釣を貰うつもりで余分なお金を渡してもいけない。その商品を買うと決定した場合、お釣のないようにお金を準備し、買うものと交換するとよい。悪質なケースでは、お釣を貰うつもりで大きいお金を渡しても、知らぬ振りをして、釣り銭を返さないこともある。まだお金を貰っていないと主張することもある。   売り込みをする際には、結構日本語を使って、しつこいくらいに迫るのだが、トラブルになると全く知らん顔で中国語しか話さない。実際に損をする金額は、日本円にするとあまり大きくないので、諦める日本人も多い。彼等は、日本人と見ると、はじめからそれを狙っているのだ。はじめての中国観光旅行でこの手の相手に会って不愉快な思いをした人は少なくない筈である。日本人は、金持ちだと思われている。実際金持ちでお金に頓着しない人もいるが、これを許していると後から買い物に行った人が同じ目に会う。こんな時は、彼等よりも大きい声を張り上げる以外に方法はない。

 包装紙で包んで貰うこともやめた方がよい。デパートならいざ知らず、小さな店では、品物を一つ一つ確認してお金を払うことである。例えば、スカーフなどを買うと包むときにすり替えられて、サイズの小さいものを渡されることもある。全く違う安物を渡されることもある。日本人は、お土産品ということで包装紙で包むことを要求することが多い。この時に摩り替えられるのである。日本へ帰ってきて、物が違うことに気がつくが手後れである。
 
 書や絵を購入する時も要注意だ。中国には、それぞれ昔の有名人の書き方、描き方をそっくりまねをする商売(プロ)がいる。小さい時から、専門に何年もその流儀を習う。これを長年続けると、先人と全く区別がつかないくらい同じように書けるようになる。素人では、本物と偽者の区別が全くつかない。これらの書や絵は、安い価格で購入できるので、それなりに楽しめる。持ち帰って、部屋に飾れば、結構迫力も感じるし、しみじみ満足できる。ただし、それを転売して儲けよう等と思ってはいけない。確かに本物のようにみえて、上手であるが本来の価値があるものではない。上手いと思って信じて飾って楽しむのは自由であるが。

 慣れない日本人は、これらのお土産などを購入する場合、信頼のおける中国人がいればよいが、ツアーでいくときは通訳にたよることになる。通訳にもそれらの絵や書に詳しいとは限らない。普通の土産は、常に通訳に頼るわけにもいかないし、それでは買い物の興味もつまらなくなる。やはり、自分で交渉し、購入することは楽しい。その際には、上のようなことに気を付けてゲーム感覚で買い物をするのも楽しみの一つになる。
 勿論、中国の商人すべてが、上の例のような悪人ばかりではない。あまり警戒しすぎても相手はそれ以上のことを考えてくる。本当に必要なものを自分で確かめて納得して購入することが大切である。この様な不愉快な思いをしたくなければ、少々割高にはなるがデパートを利用することである。   


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