新連載
  その19   ファッショナブリーレイト    


                      遅れて行かないとカッコー悪い

 
アメリカでは、パーティに招待される機会が多い。パーティーの開催時間に、少し遅れて行くことは招待する側の準備を考えて当然と考えられている。さらに、他人より遅れて行くことが当然という考えがある。これをファッショナブリーレイトと言い、1時間や2時間遅れることも「カッコイー」ことなのである。日本文化とアメリカの文化の違いなのだ。
 パーティに招待された私の友人が、予定の時間に訪問したがまだ誰も来ていない。招待日や時間を間違えたかと思った。「とにかく家の中に入れ」というので中に入っては見たが、しかし、準備はしてあるし、招待したホストもにこにこしており不自然さはない。とにかく始まる時間の遅いのには、驚かされた。
 別の友人が経験した例では、8時の開始予定で全員揃ったのは、11時すぎとのこと。その友人は、そろそろ失礼しようかと考えていたのだが、パーティはそれから更に盛り上がり、結局帰宅することができたのは翌朝午前1時を過ぎていた。

  招待する方の立場にもよると思われるが、日本で招待された時のように時間通りにパーティが始まることは希である。日本人駐在員が、招待する場合、この点が悩みという。招待された場合は、ほどほどに引き上げればよいが招待した場合は、いつ終わることができるかわからない。盛り上がりかたによっては、翌朝になることもあると聞かされる。アメリカに赴任したばかりで、慣れない最初のうちは、大変なストレスを感じるようである。招待する場合は、時間については、相当覚悟しなければならない。
  日本人は、一般的に遅れていっては申し訳ないと思って時間通りに行く。アメリカでは、パーティに限り遅れていくのが普通のようだ。なかなか来ないお客様に、軽視されているのではないかと悩む日本人ホストもいる。1時間や2時間の遅れはざらである習慣をアメリカの文化と思い、ファッショナブリーレイトの考えを忘れないことである。
中南米のある国の経験では、パーティに参加した友人が真夜中になって、これから帰宅しようと挨拶をしているところへ現れた客もいたと言う。こちらの方はファッショナブリーレイトではなかったようである。


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