日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

社長さんの会社の社員は
お客さんへの挨拶が苦手ですね!

 先日、社長さんが社員教育のことで相談にお出でになった際、あらためて「5S」の話をさせて戴きました。先ずは、「整理・整頓・清潔・清掃・躾」の最後の職場のルールとしての「躾」です。特に、強調したのは、社員の皆さんのお客さんへの挨拶です。社長さんは「よくわかりました」といい返事をして帰られました。提案した内容はごく常識的な「5S]の基本で、どこの会社でも、費用もかからず、何か「きっかけ」さえあれば、直ぐ実行できることです。
 ところで、この提案は実行されていないようです。社長さんにとっては、当り前過ぎることで、私の率直な指摘が不愉快だったのかもしれません。「そんなことは言われるまでもない」と言うことかもしれません。しかし、社長さんの会社の社員の多くは、挨拶が苦手ですね。「5S」の中の「躾」の意義が本当に分かっているでしょうか、あるいは社長さんが分からしめようとしているでしょうか。この当たり前の「挨拶」ができていないことからしても、ほかの「整理・整頓・清潔・清掃」がどうかは推して知るべしです。


途中入社の新人社員
A君の気持ちのいい挨拶を見習おう!
  先日、事務所で会った途中入社の新人社員は、私に大きな声で挨拶をしてくれました。私はつい嬉しい気分になりました。以前勤めていた会社では当り前のことだったのでしょう。新人社員にはできて、前からのベテラン社員にできないはずはありません。お客さんには「おはようございます」とか「いらっしゃいませ」とか「今日は」とか、社員同士なら目礼するだけでもいいでしょう。
 彼らが「挨拶」にそれほど抵抗感を持っているとは思われません。むしろ「挨拶」ができない自分に気恥ずかしさを感じているかもしれません。何か「きっかけ」が必要なのです。社長さん、この際です。皆の前で「新人のA君の挨拶は気持ちがいいね。彼を見習って、気軽に挨拶をかわしあう会社にしよう」と提案してみて下さい。これは社長さんにしかできないことです。ぜひ実行して下さい。

  社長さんは本を読むことがお好きなようです。改善に関する本も何冊か読んでおられるようです。しかし、読んだだけでだめです。これはと思ったことは、即実行に移さなければなりません。「5S」は会社経営、特に工場運営上の改善を考える上で重要な手掛かりや課題を与えてくれます。「5S」は、社長と社員が一体となった全員参加の改善活動です。先ずは「5S」、中でも「躾」の「挨拶」から始めてみませんか。社長さんの「新人のA君の挨拶は気持ちがいいね。彼を見習って、気軽に挨拶をかわしあう会社にしよう」、この率直な一言が出発点になります。 


「日本版6シグマ」からの提案
「6シグマ」は
「5S」が出発点であり、鏡である!

 「6シグマ経営」の基本は、顧客にピッタリ密着して逃がさないようにすることであり、そのために「顧客の声」を重視し、顧客の期待に添う、さらには顧客の期待を超えることだ。ここでは顧客との綿密な接触、意志疎通、調整が求められ、顧客との出会い、挨拶をかわしあう親密な人的な関係づくりがスタートになる。
 それは「仕事におけるQ=Quality:品質の安定化、C=Cost:コストの低減、D=Delivery:納期の短縮」という「QCD改善」に向けた、言わば顧客を巻き込んだ問題解決活動のスタートでもある。
 ジャック・ウエルチは「6ッシグマとは何か」について、「私のような普通の人間が、エレベーターに乗って目的のフロアーに着くまでの間に説明してもらって理解できるような簡単なものであってほしい」と言っている。この「6シグマの基本」こそが、ジャック・ウエルチに対する答えだ。

 「6シグマ」は、さらに具体的に言えば、供給する製品やサービスの「QCD」のバラツキを極小にするための問題解決活動である。仕事の中では、常に戸惑いや勘違い、うっかりミス等が繰り返され、これが仕事のバラツキを発生させる。「5S」は、このバラツキの原因となっているい職場環境上の問題を解決する改善活動でもある。即ち、先ず「整理」である。必要なものを明確にし、不要になったなものを捨てる。「整頓」は必要なものを使い易い場所にきちんと置き、仕事のムリ、ムダ、ムラをなくすようにする。「清掃」は職場をきれいにし、あわせて問題点を点検する。「清潔」はきれいな職場を維持することである。そして「躾」は「QCD」の目標実現に向けて、職場のルールをつくり、皆で守っていくことである。
 「5S]は、この仕事のバラツキの原因となっている職場環境の乱れの直し、仕事への取り組み方を再設計していく改善活動につながるものである。その意味で、「6シグマ」は「5S」が出発点であり、その成果を見る鏡であるということができる。


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