日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

社長さんの会社の営業は「件名商売」
成り行き任せ、営業担当者任せではいけません!

 私の場合、社長さんの会社の営業のように、工事に使用する材料やシステム機器を建設現場や工事現場に納入する営業を「件名商売」と言っております。この商売では、不特定多数の人たちへの販売と異なり、実際に建物の建設など工事物件がない限り、いくら販売しようと努力しても、もがいてもどうにもならないものです。また、この種の商売には必ず波があるものです。
  社長さんが事業計画を立てる場合、毎月売上金額に凹凸のない平準な販売計画をベースにしたい気持ちはよくわかります。工場での製造も、販売計画が平均していれば、原材料や作業者など無理なく確保でき、数量、納期、品質面でも安定した生産ができます。販売計画の平準化は、資金繰りの安定化にも欠かせません。
 そこで、社長さんの会社も売上予算管理方式を導入することにしましたが、先ず「売上計画」の作成です。成り行き任せではいけません。営業担当者任せでもいけません。「件名商売」にあっては、トップ営業も含めた顧客別物件調査がしっかりできなくてはなりません。
 


製品や技術のPRに裏付けされた
年間売上計画の作成から!
 社長さんも年度始めから売上計画が未達だと、大丈夫だろうかと心配になりますね。年度後半になって追い込みをかけなくてもいいように、年度始めの内に無理してでも実績を上げておきたいという気持ちはよくわかります。しかし、年度始めの時期に実体のない売上金額を予算化しても実績に結びつきません。最初から無理な計画では年間の計画自体をいい加減なものにしてしまいます。それだけでなく、そもそも実現の見込みのない計画を営業担当者に無理に押し付ければ、やる気にさせるどころかしらけさせるだけです。

  先ず基本に返って、過去2〜3年間の売上実績を分析することから始めることです。毎年の販売金額の推移は、毎年同じような傾向を示します。この傾向を正しく把握した上で、自社の製品や技術のPR実施計画を練り、その上で年間売上計画を作成するようにしたいものです。勿論、経営が成り立つための最低限の売上は実現しなければなりません。これを正しく数字で設定した上で、担当者の経験や実力も加味し、顧客別に年間の売上目標を予算化します。
  この売上目標は、「件名商売」の現実を直視し、現実にマッチしたものを担当者とじっくり話し合って決めたいものです。顧客がどんな案件を計画しているか、トップ営業も含めた顧客別物件調が重要です。社長さんとしてはいろいろご心配がおありでしょうが、顧客別に作成した売上計画を承認した上で、担当者任せにしないで、毎月状況を確認し、目標数字を達成するための攻め方をフォローする「販売予算会議」を上手く運営してほしいと思います。(2007.6.15
 中小企業診断士 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
ネットを活用した製品・技術のPRで
しっかりした販売計画を作ることから!

  企業が必要な品物を購入する際、最近ではインターネットによる入札が常識になっている。買い手は国境をまたいで、世界の売り手が管理するウエブサイトを基本にしたカタログを利用し、製品やサービス情報を収集している。このことは売り手側からすれば、我社はどんな製品や技術、サービスを売り物にしているかをサイトを使ってPRすることの重要性を物語っている。
 さらに、ここでいう「件名商売」にあっては、取引候補となる顧客一覧をインターネットで容易に検索できる。これまで取引のあった企業も含めて、我社が供給できる製品や技術、サービスはどういうものかを公開サイトで発信するとともに、絞り込んだ企業に対しては、直接メルマガを発信したり、直接訪問することで詳細をPRすることができる。
  「販売予算会議」を実のあるものにするには、先ずしっかりした「販売計画」ありきである。しっかりした「販売計画」があることによって、お客の開拓が進み、お客とのやり取りも密になり、距離も縮まる。
  「6シグマ経営」のGE社にあっても、ジャックウエルチは、経営の効率向上のための問題解決に全精力を傾けてきたが、「今後は、GE社の取引きのほとんどをインターネットで展開する」と語っていることを、ここに明記しておくこととしたい。


back