日本版
6シグマ
社長さんへの手紙

オーナー会長の息子さんに
社長業をバトンタッチするそうですが!

 社長さんの会社とは、現オーナー会長の社長時代からのお付き合いでした。この度、社長さんは、顧問となり、会長の息子さんにバトンタッチされるとのことです。第二代目社長として、お客様からの評判も良く、業績も順調でした。大手会社への大型設備の納入という事業を引継ぎ、先代の社長の不得意なお客様への対応も十分誠意をもってこなし、その経営手腕はさすがでした。
 この間、取引先が国内中心で輸出はほぼゼロということで、私の関連する海外のお客様をご紹介させて戴くことができました。社長さんは、海外のお客様の来社はモチベーションアップになると、積極的に準備し、歓迎してくれました。5Sの実践状況や販売金額推移の棒グラフ等を食堂に掲示し、従業員全員に知らしめる経営手法は、私のお連れした海外のお客様にとっては大変新鮮だったようです。QCサークル活動の発表会にも案内して戴き、いろいろ機密事項的な質問にも丁寧に答えて戴きました。工場内の写真撮影も自由にさせて戴きました。
 いずれもお客様からは大変好評でした。社長さんの会社訪問で、日本の中小企業経営の好事例として、その強さの原点を見てもらったのではないかと思っています。 


三代目社長への引き継ぎでは
何がポイントですか?
 三代目社長は、オーナー会長の息子として会社経営にあたることになるわけですが、お客とのお付き合いがあまり得意ではないとのこと。その上、人からあれこれ言われるのはあまり好きでないとも聞いています。この点が気になります。ただ、まだ1年ほど時間はあります。引き継ぎにあたって何がポイントと考えていますか。
 社長さんは、三代目社長として、得意とするところを十分発揮することが一番とおっしゃっていますが、確かにお客さんとのつきあいも、息子さんは営業主体でなく、技術中心で上手な対応をされるかもしれません。お客様への対応方法は、顧客別に具体的に文書にして引き継ぐ程度でいいのではないでしょうか。
 社長さんがリタイアした後の業績は、新しい社長が責任を負うことになります。普通であれば、2年から3年後の業績まで気になるところですが、社長さんは、田舎へ引っ越されるとのこと。引継ぎ後はできるだけ出社しないとしていますね。その点は、オーナー会長さんに理解して戴ければ、結構なことだと思います。
 ただ、社長さんの正式リタイアまでには、2年近く時間があります。会社はイノベーションなしには生き残れません。社長さんが、2代目社長として築いた会社を、三代目にどう改築して欲しいかについて、別途いろいろ考えておきたいものです。何かあれば、是非ご相談戴ければと思います。(2012.5.10
 加藤文男)


「日本版6シグマ」からの提案
ジャック・ウエルチの引退から学ぶ
後継プランニング!

 「6シグンマ」のジャック・ウエルチは、アメリカのビック企業GE社の会長兼CEOとして、世界最高の経営者と謳われたが、彼が辿った引退の道からは、企業の大中小を問わず、日本の中小企業にも通じる後継プランニングを学ぶことができる。
 ジャック・ウエルチがジェフ・イメルトをCEOに抜擢した要因の一つは、ウエルチが任期の最後数年に執心していた品質改善プログラム「6シグマ」に、ジェフ・イメルトが力を注いでいたためであった。イメルトが他の候補者に比べて若いことも重要なポイントであった。GE社をイノベーションするための時間を十分に与えたいと考えたからである。
 ちなみに、ジャック・ウエルチは、「ジェフは、GEの医療機器部門を、世界中から頭脳、部品、管製品を調達するという『グローバル製品企業』というコンセプトを考案した。これはGE社のほぼすべての事業のモデルとなっていくであろう」と、その実行力と実績を称えている。
 それでは、ジェフ・イメルトはジャック・ウエルチが築いたGE社をどう改築したか。GE社の「6シグマ」をどうイノベーションしたか。彼は「顧客のもとで、顧客のために(ACFC:At the Custmer,For the Customer)」という重要な新コンセプトを追加した。
 これは、「GE社の社員として、自らを顧客の立場に置く」ということであり、「顧客の成功を助けることがGE社社員自らの仕事である」という考え方である。ジェフ・イメルトは、「顧客のもとで、顧客のために!」をGE社の行動基準としてオーソライズすることにより、「顧客重視」というジャック・ウエルチのコンセプトをさらに一段上の水準に引き上げたのである。 


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